2点目を奪った三好は2列目でキレのあるプレーを見せ、攻撃の中軸として存在感を発揮した。(C)Getty Images

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 16日、中国・江陰市で行なわれているU-23アジア選手権において、U-21日本代表はグループステージ第3戦を迎えた。2連勝で既に準々決勝進出を決めている日本は、この試合で「直近の試合から全員を入れ替える」(森保一監督)ターンオーバー策で臨んだ。
 
 こうした流れで代わって出てきた控え組が残念なパフォーマンスをしてしまうようだと、チームの勢いが一気に失われることも珍しくない。”安泰”と感じた先発組に慢心が生まれ、控え組のムードが下がることで練習の活気も落ちる。

  そして、チームとしての成長力自体が損なわれていく。突破が決まった状況の第3戦に控え組を投入するのは、この手の大会を攻略するに際しての常道手段だが、実のところ諸刃の剣としての要素でもある。
 
 グループ内の力関係で言えば、最終戦の相手となった北朝鮮は決して弱小ではない。先のE-1選手権(東アジア選手権)に参加したA代表選手を5名も擁し、個々の力だけなら、大会でも中の上といったクラスだろう。ただ、その相手に対して、ここまで出番に乏しく「うずうずしていた」(FW旗手怜央=順天堂大)選手たちが奮闘を見せた。
 
 序盤から試合内容という意味で言えば、そこまで良かったわけではない。「自分と洋輝のふたりが後ろに構え過ぎていたし、ウイングバックの位置も低かった。全体的に後ろへ重くなってしまっていた」とMF森島司(広島)が振り返ったように、思うような攻撃の組み立てができない時間帯も長かった。ただ、それでも、勝負どころの戦いで一つひとつ日本側が相手を上回った。前半の終盤に差し掛かった32分にMF伊藤洋輝(磐田)のFKからDF柳貴博(FC東京)が先制点を奪うと、43分にはパーフェクトな崩しで追加点が生まれる。
 
 旗手が溜めを作っている間に伊藤がスペースへ走り込み、その折り返しを逆サイドのシャドーである三好康児(札幌)がゴール前まで入り込んでのゴール。ペナルティエリアまで相手を“崩した”と言えるゴールは今大会で初めてで、DF以外のゴールもこれが初めてだった。

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 また、伊藤が見せたボランチのダイナミックな攻撃参加も大きな意味がある。守備では5‐4‐1の形で構える森保システムは、攻撃時にどうしても“後ろに重くなる”傾向がある。この解消のためにはバックラインの押し上げを含めて“後ろを軽くする”意識を持つのと同時に、機を見て“前を厚くする”チャレンジも不可欠だ。

 第1戦でディフェンスラインから持ち上がった板倉滉(仙台)がゴールを奪ったプレーもそうだったし、今回の伊藤の攻撃参加もそう。そして、指揮官はこうしたチャレンジに対してネガティブな考えを持っているわけではなく、むしろ高く評価している。
 
 チーム作りの過程として臨んでいる大会だが、森保ジャパンはここまで”勝ちながら育てる”理想的な流れに乗れている。

取材・文●川端暁彦(フリーライター)