貿易手続きや管理運用のコストは海運全体の2割を占めるという(マースク提供)

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米IBMと海運世界最大手、デンマークのA・P・モラー・マースクは16日、ブロックチェーン技術を活用した貿易情報ソリューションの合弁会社を設立すると発表した。積み荷の受け渡しや通関について、これまで文書で行っていた手続きをデジタル化し、情報をより効率的かつ安全に、リアルタイムで管理運用できるようになるという。

新会社はニューヨークに本社を置く。ブロックチェーンとクラウドコンピューティングに加え、新しいソリューションには人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)、アナリティクスなどの技術も盛り込む。規制当局の認可を受ける必要があるが、システムは半年以内に提供可能となる予定。税関当局や多国籍企業などへの提供を見込み、米ゼネラル・モーターズ(GM)や米プロクター&ギャンブル(P&G)、物流・運送会社などが関心を示しているという。

これに先立ち、IBMとマースクは2016年6月から協力し、ブロックチェーンとクラウドによる貿易管理運用システムの開発をスタート。現在では、米デュポンやダウ・ケミカル、スウェーデンのテトラパック、米ヒューストン港湾当局、オランダ税関、米税関・国境警備局などが両社のソリューションを試験運用している。

両社の発表によれば、海運によって年間4兆ドル(約440兆円)以上の積み荷が出荷され、日常使われている製品の8割以上が船で運ばれているという。ただ、グローバル物流での最大のコストとなっているのが積み荷の受け渡しや通関にかかわる文書手続きと管理運用の部分で、全体の運送コストの約20%を占めると推定されている。

そのため、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)を主催する世界経済フォーラムからは、こうしたコストが軽減されれば、世界貿易は15%近く拡大し、経済が活性化するとの見通しも出ている。