まだ就職先が決まってない大学4年生が「今からできること」とは何か (写真:プラナ / PIXTA)

今年度もあと2カ月半です。報道などで大学3年生にあたる2019年卒の就職活動に関する話題も目立つようになりました。まだ就職先が決まらない、この春卒業予定の学生(2018年卒生)にとっては、焦りが募る日々かと思います。

今回、求人している企業と就活中の学生との間の橋渡しに携わるキャリアアドバイザーの立場から、過去、この時期に就活を行い、卒業までに就職先を決めた学生の実例を踏まえて、「今からできること」について話していきます。

この時期は1カ月の就活で内定が出る!


まず伝えておきたいのは、今の時期でも、採用活動を継続している企業や、「採用活動は終了したが自社での活躍が期待できる学生ならぜひ採用したい」という採用意欲の高い企業はある、ということです。企業の選考は、いいペースで進めば通常おおよそ2〜3カ月かかりますが、この時期なら1カ月ほどで内定が出ることが一般的。今からでも十分間に合います。

効率よく就活を進めて内定を得るためには、「自分の強みを自覚すること」と「その強みに合う求人を見つけること」の2つが重要です。

この時期でも活動する学生と話して気づくことは、多くの人が、”自分の強み”に気づいていないこと。気づいていないどころか、「自分にはいいところなど1つもない」と思い込んでしまっている学生さえいます。

力説したいのは、「強みがない人などいない」ということです。強みがないと思い込んでいる人は、「強みに対する自己認知がないだけ」です。多くの学生と話してきた実績がありますので、これは自信を持って言い切りたいです。

自覚していない強みに気づくには、やはり自己分析が有効です。そのときに気を付けることは2つ。1つは「自分の強みは何か」と直接的に考えすぎないこと。そしてもう1つは「大学時代」にこだわりすぎないことです。

大学時代は人生のほんの一部に過ぎません。小学校、中学校、高校、大学時代などすべてを振り返って、「何をしている時間が長かったか」「どんなことが楽しかったか」「ワクワクしたこと」などを思い出してみましょう。それらをピックアップし、「なぜそれに時間をかけたのか」「なぜそれがワクワクしたのか」ということを解きほぐしていけば、強みや適性のヒントが見つかるはずです。

たとえばわれわれの部署で、かつて担当した学生の中に、就活の途中で自分の強みがわからなくなり、活動を中断した人がいました。少しずつ話を聞いていくうちに、彼が小学生のころ、歴史上のある人物を取り上げた本を何冊か読み、そこに書かれている共通点から人物像を推測するのが楽しみだったということがわかりました。

そこから戦国武将のシミュレーションゲームに興味を持ち、武将の立場になって戦略を立てるのが得意になったといいます。さらに、中学・高校時代に所属していた運動部では、自分のチームと相手チームを細かく分析したうえで、綿密な作戦を考えていたという話をしてくれました。

楽しかった思い出から探してみる

これらのエピソードから、「戦略を立てる」や「仕組みを考える」といった、その人の強みが見えてきます。また、「こだわりが強い」や「1つのことを集中してやり切る」という本人の性質も、垣間見えてきました。こうした話から、何か専門領域があったほうが、そうした強みを生かせるのではないかと考え、それを生かせる求人として、IT企業の技術職を提案することにしました。

すると、自分でも「それならやれるかもしれない」という前向きな気持ちが芽生えてきたのか、実際に面接でも自信を持って話すことができ、IT系企業の技術職への就職に至りました。

このように、周りの人が驚くような強みやエピソードを持っている人は、とても多くいます。それなのに、「今までほめられてこなかった」「周囲とのコミュニケーションがうまくいっていない」といった理由から、自分に自信が持てなくなり、強みを見出せていない人が少なくありません。

自分に自信を持つことは、今後の人生においても大事です。だからこそ、「自分は強みなんてない」と思わず、必ずあると考えて、見つけてほしいのです。

われわれの部署では、専門のキャリアアドバイザーを置き、こうした強みを発見できるようにサポートしています。強みを見つけるのが難しいと感じたなら、大学のキャリアセンターや、われわれのような就職エージェントなどを利用するのも手でしょう。こうしたサービスは学生の利用に関してはほとんどが無料です。

一方、自分に合った求人を見つけるには、強みをもとに考えることが大切です。今ある求人と自分の強みを見比べ、「この環境なら強みを生かして働けるのではないか」や、逆に「どんな環境ならばストレスなく強みを発揮できるのか」ということを考えてみましょう。

ただし、この時期に募集のある職種は、採用活動が解禁となった10カ月前と比べ、やや限定されているという現実も踏まえる必要があります。この時期でも積極的に募集を行っている職種は、「接客・販売」「営業」「システムエンジニア・プログラマー」「施工管理」といったところ。しかし、「自分にはモノやサービスを売りつけたりはできない。だから営業は無理」といった思い込みがあると、それだけで選択肢を狭めてしまうことになります。

営業職にネガティブな印象を持っている学生は、取引実績のない客先に出向いて、「うちの商品買ってください!」というような、「新規の飛び込み営業」のイメージしかできていない人が多いようです。が、営業と一口にいっても、会社にかかってきた電話に応対する営業や、すでに取引のある顧客回りが中心の営業もけっこうあります。各社の営業の内容を確認し、本当に自分にはできない仕事なのかどうか、検討してみましょう。

販売職も仕事場は店舗だけではない

「イメージ先行」という点では、事務職志望の女子学生にも、同じようなことが言えます。志望理由として「結婚しても長く続けられそうだから」と、事務職を考える女子学生は少なくありません。しかし、システムエンジニアの需要が大きいことや、事務職でも営業経験があるほうが転職市場で比較的有利だということは、学生にはあまり知られていません。

スーパーやドラッグストアなどの店舗系販売の仕事も選択肢にあるでしょうか。これらの仕事では、最初の配属こそ販売職ということがほとんどですが、キャリアが上がるにつれ、本部の事務系部門で働けるルートも一定数存在します。さらにマーケティングや総務、企画などの部署に異動できることもあります。

固定概念を捨て、長期的な視点で情報を集めることによって、選択肢が広がり、納得感のあるマッチングにつなげることができます。

この時期に活動をしている学生は、面接に落ち続けてしまったために、不安になっていたり、面接の経験が少ないことによって過度に緊張していたりします。

そんなときは自分の状況にあった選考をしている企業を見つけることも重要です。この時期になると、学生を育てたいという思いから、面接の振り返りを、ていねいにフィードバックする企業が増えてきます。

一度選考に落ちても、学生にやる気がある限り、何度でも再挑戦させてくれる企業もあります。こうした企業を受けることで、面接の腕を磨き、自信をつけることにもつながります。

このほか、個人の事情に応じて、面接の時間を調整してくれたり、交通費を支給してくれたりと、選考の形態もいろいろあります。自信が持てないならば、最も力を出せるような選考をする企業を探すのも、1つの手段でしょう。

とはいえ、自分の強み、状況に合った企業を一人で探すのは、限度があると思います。そんなときこそ大学のキャリアセンターや就職エージェントのサポートは役に立ちます。われわれの部署であった話ですが、面接の直前まで電話で会話をし、気持ちが前向きに温まったところで送り出すというケースもありました。ぜひ周りを頼ってみてください。

「10社」を目標に活動を始めるべし

この時期に就職先が決まっていない学生たちのもう1つの共通点として、活動量が他の学生たちより少ない点が挙げられます。活動量が少ない理由は、「公務員志望だったが、試験に合格できなかった」「研究が忙しくて、十分活動できなかった」「就活に疲れて、途中でやめてしまった」「『ミュージシャン』『漫画家』などの夢があり、就職そのものに迷いがあった」などさまざま。だが、十分な数の企業と接することができず、自分に合う企業に出会えずにいるという部分では共通しています。

やはり、この時期は、活動量を増やしましょう。これまでの経験から、ひとつの目安は「10社」。接触している企業が10社に届かなかったり、選考に漏れて10社から減った場合は、新たな企業を視野に入れ、常に10社程度の選考が進んでいる状態を保つことが理想的です。ぜひ10社を意識して活動してみてください。

この時期に就職先が決まっていないと、「自分はひょっとしたら社会に必要とされていないのかもしれない」と考える人もいらっしゃるようです。しかし、誰にでも強みはありますし、昔と比べて今は求人も豊富なので、募集を続ける企業もあります。強みを自覚し、その強みに合った求人を見つければ、就職は決まります。今までの自分を否定せず、1つずつ強みを見つけて、就職につなげてください。