米国で開催された「CES」の会場内で、IoT機器が集うフロアには、いくつかのジャンルごとにエリアが設定されている。その中でも最も広い面積を使っているのが、「スマートホーム(Smart Home)」だ。このジャンルは、家を模した広めのブースが求められることもあるが、出展者数がそもそも多い。

日本ではまだこれから、大手は注目

 スマートホーム向けデバイスは、アメリカではだいぶ認知されているようだ。たとえば大手家電量販店のBestBuyでは、ある程度の広さでスマートホームデバイスの売り場が確保されている。日本でもGoogle Homeの発売以降、家電量販店にスマートホームコーナーができつつあるが、日本国内にある一般的なスマートホームコーナーをさらに広くし、それが定着しているようだ。

KDDIが出資したAugust Homeの製品。当時はスマートロックだけだったが現在はスマートドアベルにも参入している

Amazonが買収したBlink Home。スマートドアベルと監視カメラが中心

 スマートホーム向け製品というと、アメリカではスマート電球以外にも、スマート監視カメラやスマートロック、スマートドアベル、スマートサーモスタットなど、さまざまなものが製品化されている。

 しかしスマートホームが置き換えられる住宅設備は、国によって規格や住宅事情、利用スタイルが異なるためか、米国で登場した製品群はまだあまり日本には登場していない。

 スマートホームはメーカーの買収や資本提携の動きも多かったりする。たとえば2014年には、グーグルがスマート火災報知器やスマートサーモスタットなどを幅広く手がけるNestを買収した。2017年末にはAmazonが監視カメラやスマートドアベルを手がけるBlink Homeを買収ばかりだ。日本企業でも、2015年、KDDIがスマートロックを手がけるAugust Homeに出資。国内インターホン大手のアイホンは2017年、スマートドアベルのSkybellと資本業務提携を結んだ。さまざまな大企業がスマートホーム分野に興味を示し、買収や資本提携を行っている。

車や人間を識別するスマートライト

AR4(右)とAR5(左)。投光器(フラッドライト)

 Amaryllo Internationalはスマート監視カメラの「AR4」とスマートライト「AR5」を展示している。CESのInnovation Awardでは、前者がベストアワード、後者がスマートホーム部門を受賞した。スマート監視カメラは多数の製品がすでに販売されている中、その分野でのInnovation Awardはなかなかユニークだ。なお、同製品の日本発売は未発表だが、Amarylloは日本でもスマート監視カメラ製品を展開している。

 「AR4」と「AR5」は、玄関先など屋外に設置し、不審者などを撮影・警告することを目的としている。両製品ともにリモート監視できるカメラを搭載していて、動体検知で投光と同時に撮影、転送できるようになっている。しかし設置した場所によっては、頻繁にクルマや人が通ることもある。そのたびに反応して投光と撮影、通知をするわけにはいかないという場合に備え、映像から車や人物を識別できる。

🔗Amaryllo International
http://www.amaryllo.eu

Netatmo、ヒーターをスマート化するモジュール

Smart Electric Heater Module

 日本にも進出しているスマートホームデバイスメーカーのNetatmoは、新製品の「Smart Electric Heater Module」を展示している。こちらは壁面設置型のヒーターをスマート化するユニット。リモートコントロールやボイスコントロール、電力モニタリングなどができるとのこと。AIRELECとAPPLIMO、CAMPA、Noirotの製品に対応している。

 日本で製品を提供するNetatmoとはいえ、そもそも壁面設置型のヒーター自体が国内ではあまり一般的ではなく、本製品の国内展開の可能性は低そうだ。このように、住宅設備の違いによって、日本市場に登場しないスマートホームデバイスは少なくない。

Netatmo Smart Home Botのチャット画面例

 NetatmoはこのほかにもCESにおいて、同社のスマートホームデバイスのコントロールや通知などに、Facebook Messenger上のAIボット「Netatmo Smart Home Bot」が使えるようになったことも発表している。同社は顔認識付きのスマート監視カメラなどを手がけているので、Facebook Messengerを通じて「誰かが来たら通知する」といった使い方が可能になるという。

🔗Netatmo
https://www.netatmo.com/ja-JP/site/

コンコンとたたいて命令する「Otodo Ugo」

Otodo Ugo

 「Otodo Ugo」はスマートホームデバイスをコントロールするためのデバイスだ。つまみ上げてコンコンと机などをたたくと、割り当てられた機能が動作する。Otodo Ugoの側面には、指先でつまむとちょうどよい位置に指紋認証センサーがある。つまり事前に登録したユーザーだけが操作できることが特徴だ。GoogleアシスタントやAmazon Alexaであれば、音声を通じて、たとえば子供でも誤って操作してしまう可能性もある。大人だけに操作させたいスマートデバイスといった場合に役立ちそうだ。

🔗Otodo Ugo
https://www.otodo.com/anglais.html

Googleアシスタント対応目覚まし時計「iGV1」

iGV1

 iHomeはGoogleアシスタント対応のスマートスピーカー「iGV1」を展示している。こちら、目覚まし時計としての利用も想定したもので、時刻やアラームを発光表示するデザインとなっている。同社は昨年からAmazon Alexa対応の目覚まし時計型スマートスピーカー「iAVS16」を発売中。Google HomeやAmazon Alexaに対応するスピーカーは、さまざまなメーカーから登場しているが、枕元に置きやすい目覚まし時計型は、布団から出たくないこの季節にはありがたい存在だ。

🔗iHome
http://ihomeaudiointl.com

電池不要、自家発電するスマートスイッチ「ENY」

ENY

 パナソニックはスマートホーム向けのリモコンスイッチ「ENY」を参考出展している。これは押したときの力で発電し、その電力で無線通信するため、バッテリーは搭載していない。と言っても、少しストロークが長めのスイッチといった程度の感覚で利用でき、押す際の固さや押しにくさはない。無線通信規格が一般的なものではないため、他の機器も含めたソリューションとしてB2Bで4月より展開するという。

ペットもスマートロックの時代、RFID対応のペットドア

petWALK。いろいろなサイズがラインナップされている

 玄関ドアに設置するスマートロックは製品ジャンルとして成立し、すでにさまざまな製品が登場しているが、「petWALK」はペットのためのスマートドアだ。ドアの開閉を通知したり、カメラが搭載されていたり、RFIDで自分の家のペットだけが通れるようにしたりできる。GoogleアシスタントやAmazo Alexaとの連動も予定されている。mediumとlargeの2サイズがあり、mediumは1595ユーロ(約21万円)、largeは1795ユーロ(約24万円)と結構な価格だ。

🔗petWALK
https://www.petwalk.at/

Petricsのペット用スマートベッド

 CESにおいてペット向けのデバイスは、数こそ少ないもののさまざまな種類の製品が展示されている。「Petrics」はペットのためのベッドやアクティビティトラッカーを開発中。今秋をめどに米国での発売を目指している。ベッドやアクティビティトラッカーから得られる情報を元に、言葉ではコミュニケーションできない犬猫の健康を管理しようというデバイスである。

🔗Petrics
https://www.petrics.com

紛失物対策タグ「ORBIT」にカード型

Orbit Card。展示されていた2枚のうち1枚には「〒」のマークが付いていた。電源は充電式

 HBtulerが手がける「Orbitシリーズ」は、日本でも一部モデルが販売されている、紛失防止のBluetoothタグだ。スマートフォンとペアリングして、通信が途切れるとスマートフォンやタグの通知音を鳴らしたりできる。Bluetoothタグは日本でも複数のメーカーが参入しているジャンルだ。

 今回は、日本未発売のクレジットカード型タグ「Orbit Card」やメガネのフレームにつける「Orbit for Glasses」、モバイルバッテリー型の「Orbit Powerbank」などが展示されていた。日本での提供については、代理店と協議中とのこと。展示されていたOrbit Cardにはいわゆる技適マークがあり、国内に登場する可能性は高そうだ。

メガネ用のOrbit for Glasses。メガネをすぐなくす人向けだ。こちらも充電式

モバイルバッテリ型のOrbit Powerbank。もちろん充電式だが、とんでもなく長持ちしそう

🔗Orbit
https://findorbit.com

LoRa対応のGPSトラッカー「Roadie」

Roadie

 InvoxiaはGPSトラッカーの「Roadie」を展示している。IoT向け通信規格のひとつである「LoRa」に対応。Bluetooothタグと違って近くにスマートフォンなどがなくても、GPSやWi-Fiによる位置情報がリモートでわかる。1回の充電で最長8カ月利用可能。今年の第1四半期に提供される予定だが、日本ではLoRaネットワークが対応していないので利用できないとのこと。

指紋でロック解錠できる南京錠や財布

TAPPLOCKシリーズ

 「TAPPLOCK ONE」は指紋認証で解錠できる南京錠だ。基本モデルは99ドルで発売中。CESのInnovation Awardを受賞している製品だ。ややサイズが大きいが、Bluetoothも搭載し、スマホから解錠もできる。今年後半にはより小さなモデルも42.5ドル(約4700円)で製品化の予定。さらに防水モデルの「TAPPLOCK ONE+」も近々発売されるという。

 同様のスマート南京錠としては、別のスタートアップ企業による「BenjiLock」という製品も展示されていた。こちらもInnovation Award受賞。大小2モデルが用意されるが、価格は未定。

 BIO-Key Internationalの「TOUCHLOCK」シリーズも同様に指紋認証対応の南京錠。こちららは製品化済みで、CESではファンシーなデザインのモデルが展示されていた。同社はTSA対応のスマート南京錠も製品化している。

BenjiLock。どちらもやや大きめ

TOUCHLOCKのデザインモデル。やや派手だがサイズはややコンパクト

 「Cashew」は指紋認証付きのスマート財布だ。クラウドファンディング発の製品で、3月より149ドル(約1万6000円)で販売されるが、現在は99.99ドル(約1万1000円)で予約受付中。ロック付きのハードケースになっていて、指紋で認証してロック解除する。内部にはカードホルダーやマネークリップが内蔵されている。Bluetoothも内蔵し、接続が切れたときにスマートフォンに通知したり、スマートフォンからの操作でブザーを鳴らすこともできる。

🔗Cashew
http://www.gocashew.com

ワインを開かせるスマートデキャンタージュマシーン

Avein Smart Wine Aerator

 「Avein Smart Wine Aerator」は、ワインにほどよく空気を触れさせて香りと味を「開かせる」、いわゆるデキャンタージュをするデバイスだ。CESのInnovation Awardを受賞している。ワインボトルの口に装着し、側面のタッチパネルでデキャンタージュする度合いを設定し、あとは注ぐだけでデキャンタージュされたワインをサーブできる。

 スマートフォンでワインの銘柄を撮影、取り込むことで、適切なデキャンタージュができるのだという。ビンに移し替えるだけで味が変わるワインもあるため本製品がどの程度貢献したか、わかりづらいところだが、ワインには詳しくない筆者が、同じワインを異なる設定で注いだ2杯を飲み比べたところ、明らかな味の違いを感じた。

🔗Avein Smart Wine Aerator
http://www.aveine.paris/en/index.html