総合酒類メーカーの英ディアジオ(Diageo)は、音声戦略の一環で、Amazon Echo Show(エコーショー)向けに同社のブランドを活用し、カクテルの作り方を表示するサービスに乗り出した。

同サービスはディアジオがヨーロッパでAmazonの最新の音声制御スピーカー向けに展開する最初のアプリとなっており、少数のブランドやパブリッシャーの支援をうけて11月にローンチされた。ディアジオはAmazonが画面付きのスマートスピーカーを発表したことに興味を持ち、早期に採用した企業のひとつだ。同社はこのデバイスはキッチンでの使用に最適だと考えている。

eコマースとも連動



ディアジオは、Amazonの音声制御デバイス用のアプリである「スキル」について、既存のものを使うのではなく、Amazon Echo Show向けに自社製のスキルを開発した。同社は2013年に自宅で流行りのカクテルのレシピを見られるthebar.comというサイトを立ち上げており、今回のアプリ「The Bar」は、thebar.comのコンセプトを流用しつつ音声制御を可能にしている。同社のスキルには3つの機能が備わっている。まずレシピについて尋ねると教えてくれる機能。次に甘さや酸味など、ユーザーの好みに合わせたカクテルをおすすめする機能。そして、カクテル作りの技術を教えてくれる機能だ。

カクテルの材料は買い物リストに保存でき、それをAmazon Alexaのモバイルアプリに送信してそのまま購入することも可能となっている。このスキルを使えば、ユーザーは材料や、スミノフ、キャプテンモルガン、ジョニーウォーカー等、ディアジオの12のブランドの商品をAmazonから購入できる。

ディアジオで新テクノロジーおよびメディアイノベーションマネージャーを務めるペリクリース・アントニュー氏は、「テクノロジーは、家の内外での社交のありかたを変えつつある」と語り、次のように述べた。「この新しい『The Bar』のスキルは、増加し続ける音声認識デバイスの利用者がカクテル作りをマスターする手助けとなるだろう」。

音声制御の可能性



アントニュー氏が同スキルに意欲を燃やしているのは、Amazonがスマートスピーカー市場を圧倒的な速さと苛烈さで席巻したことも背景にある。イギリスのラジオ企業集団ラジオセンター(Radiocentre)によると、2018年にはイギリス家庭の40%にAmazon Echoが普及するという。Amazonの音声制御デバイスの普及がもたらす価値に注目したディアジオは、今年はじめにAmazonがイギリスの広告業界ではじめて広告枠販売イベント「アップフロント」を行った際、すでに同社に接近している。

ディアジオは、ほかの消費者向けの商品を製造している企業と同様に、消費者への直接販売に苦労してきた。そんななか、Amazon Echoが家庭におけるユビキタスな音声認識デバイスとして普及すれば、同デバイスを販売チャネルとして活用できるようになるかもしれない。

https://youtu.be/9FQLCdBqy-w

いまのところ、ディアジオのAmazon Echoのスキルはeコマースよりもブランド知名度の向上に重点を置いているものの、以前から同社は音声制御デバイスによるeコマースの可能性について言及してきた。総合コンサルティング企業アクセンチュア(Accenture)がイギリスで行った調査によると、ショッピングにAmazon Echoを使いたいと考えている人は約60%、実際にショッピングに使用している人は7%となっている。

音声検索に先んじて



ディアジオの音声制御デバイスにおける本格的な戦略の根本は検索機能だ。

ディアジオでデジタルイノベーション部門を率いるベンジャミン・リックフェット氏は、いずれ「マイタイ」という文字の検索クエリのかわりに、「マイタイの作り方」という音声クエリが増えていくだろう、と予測している。そのとき音声検索を収益に結び付けられるのは、ロングテールで関連性が高く、会話的な検索語を活用できるブランドだろう。そのときに備えて、ディアジオにはライバル企業に先んじたプランがあるのだ。

SEB JOSEPH(原文 / 訳:SI Japan)
Image courtesy of Diageo