「テレビは若い人からお年寄りまで見ているワケです。だから1から10まで聞く必要があるんですよ。視聴者の代弁者だから」。

 元日に放送された「朝まで生テレビ」に出演した際の発言が波紋を広げているウーマンラッシュアワー村本大輔。しかし、ネット上では「無知な人間の政治的意見を聞くほど無駄な時間はない」と、批判の声が殺到した。テレビ番組で"そもそも論"を持ち出すことは問題なのだろうか。15日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、社会学者の宮台真司・首都大学東京教授を招き、村本がたびたび口にした"そもそも論"について考えた。

■「"クズ"のクレームは気にしなくていい」

 「"クズ"のクレームは気にしなくていい。はっきり申し上げると、村本さんのことを無知だと言っている人間がどれだけ知っているのか非常に疑問」、そう切り出した宮台氏は、こう続けた。

 「僕も1993年、まさに"そもそも論"で朝生デビューした。あの空間は人畜無害な"お座敷"で、意味のない議論をやっていた。世の中の流れも、あるいはアメリカや中国が日本をどう見ているのかも分からないヤツが、適当なことをギャーギャーしゃべっているだけ。それを論破していって名を上げた。なんせ僕は援助交際を擁護し、広めた人間だったので、それは集中放火を浴びた。そこで『お前の言う道徳とは何だ』と"そもそも論"を問うことで全て論破していく。それが僕のスタイルだった」。

 自身の立ち位置として村本が盛んに主張する「無知」という言葉についても、「プラトンの書いた『ソクラテスの弁明』に出て来る、"無知の知"という有名な言葉がある。無知であることを知っていることは価値があるということだ。村本さんのことを『無知だ』なんて言っている人間は、自分が無知であることを恥じるべきだ。だって無知を知らないんだから。村本さんは、自分が無知であるということを知っていて、そういう切り口からモノを聞いているわけだから、ソクラテスそのものだ。プラトンの著作について教養のある人間であれば、村本さんのことを無知だなんて言うことはあり得ないし、イコール、"クズ"だ」と述べた。

 その上で宮台氏は「1980年代に人々が毎日を楽しく暮らしたいと消費社会化した時、日本以外の先進国の多くはそうではなく、"正しさ"と"面白さ"をいかに合体させるかに心を砕くようになった。コメディアンやコメディ映画を作る人たちも、お笑いに政治的なメッセージをいかに入れるのかということに腐心してきた。ところが日本のテレビ界、お笑い界は易きに流れた。『政治ネタでは視聴率が取れない』『もう正しさの時代ではない。これからは面白さの時代だ』と、"正しさ"から"おかしさ"、"面白さ"にシフトしてしまった。そうじゃないだろう!正しいことを面白く伝えるのに腐心すべき。他の国々はそうしているではないか」と厳しく批判。「そう考えれば、村本さんは非常にチャレンジング。予定調和の"お座敷"に丸腰で突っ込んでいって『私は無知なので、そもそも論からいかせてください』と言うのは、非常に勇気が要ること。称えるべきだ。村本さんのことを『無知だ』と言うヤツに同じようなことができるのか、コラ!」と舌鋒鋭く指摘した。

 村本が「ありがとうございます。出ようか出るまいかすごく迷った。朝生には僕の発言を訂正してくれる専門家がたくさんいるわけで、僕を呼ぶ意味は、無知を恥じることなく、『僕はこれが分からないのでイチから教えてください』と言うことだと思った」と話すと、宮台氏は「村本さんが出ているから見る人というのは、今までの朝生の視聴者層にはいないタイプ。そこで従来の"お座敷"を繰り返していいわけがない。だから村本さんがやったことは当然のことだ」と重ねて擁護。「エネルギーはないけど方向性を知っている知識人と、方向性は知らないけどエネルギーのある大衆が合体すると、社会がより良い方法に変えられる、という図式は、60年安保闘争の中で崩れていった。それを指摘したのが吉本隆明。そして70年代以降、論壇誌もただの"お座敷"になり、読者投稿欄は『70歳、団体職員』みたいな人ばかりになっていった」と話した。

 朝生で村本と共演した落合陽一筑波大学准教授は番組終了後、「初学者がその場で考えた結論は大抵、先人が既に議論済みであって、時間有効化のために歴史を学ぶこと、それを起点に現代的発展を探す姿勢は小学校訓練から始まる」と感想をツイートしている。

 宮台氏はこれについても「お笑いだね。子どもにしゃべると、何も知らない人間にしゃべることがいかに重要か分かる。ものすごい言語能力がいることがわかる。説明に苦労して、そこで初めて大学教員の側が気づきを得ることもある。"そもそも論"は、議論を深く、実りあるものにするためにも重要だ。大学教員で小学校4年生に教えることができる能力を持つ人間というのは日本にはまだほとんどいない」と指摘、さらに「理系のエキスパートが世界で戦えるのと同じように考えてもらっては困る。日本の文系の学問の水準の低レベルたるや、はっきり言って驚くべきもの。朝生にいる知識人は初学者以下」と切って捨てた。

 村本のm無知であることを傘にきたような物言いが"上から目線"だと批判されたのではないか、との声もある。しかし宮台氏は「居丈高でいいじゃん。村本さんが、そんなんじゃ見てるやつわかんねーよって言って良いんだよ!」と訴えていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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