人は考えるたびに、そして意思決定をするたびに、脳はエネルギーを消費します。エネルギーの消費が激しいと、集中力にも悪影響を及ぼします。そこで今回は、脳が使うエネルギーの節約方法を紹介します。
本連載では、脳の仕組みを活用した世界水準の集中力を磨く技術が網羅されている新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』から集中術のエッセンスを紹介していきます。

注意力のエネルギーを節約できる自動化する脳をつくる

 注意力は、電池のように使えば消耗していきます。

 その原因は、何かを決断したり、思いとどまって自制したりするときに、脳がたくさんのエネルギーを消費するからです。

 それならば、意思決定ごとに消費するエネルギーを抑えたり、自制が必要な場面を減らしたりできれば、注意力は温存可能です。

 注意力のエネルギーを温存するために一番有効な手段が、「決断のスピードを上げる」ことです。つまり即断、即決することです。

 なぜなら、意思決定のたびにじっくり考えるようなことをしていたら、脳が大量のエネルギーを消費してしまうからです。決断が早ければ早いほど、エネルギーの消耗を抑えることができます。

 日常生活でさまざまな行動を起こしますが、それらはすべて意識して行っているものと考えていませんか。

 確かに、「あれをしよう」「これをしなければ」と考えてから行動する場合もありますが、それはほんの一部に過ぎず、ほとんどの行動は無意識に行われているといわれています。

 確かに朝起きてから学校や会社に行くまで、顔を洗ったり朝食を食べたりといった行動は深く考えて行っているわけではないですね。自動車の運転やお風呂で体を洗うときなども、それをすることに対して、意識して行ってはいません。

 これらは「習慣」です。習慣化された行動は脳を自動化し、決断をショートカットすることによって、注意力の消耗を節約できるのです。

 習慣以外でも、注意力を温存できることがあります。

 それは、「考え方のバリエーションをたくさん持っておく」ことです。

 たとえば、チェスや将棋の名人の場合、対局中には高度な認知機能が常に働いているものだと想像しがちですが、実はその逆で、認知機能を司る脳の場所はむしろ機能低下しているそうなのです。

 その理由は長年対局してきたことによって、盤面のパターンや指し手の流れのパターンがいくつも頭に入っているため、局面で選択のたびに意識して頭を使わなくてよい脳になっているからなのです。これもまた脳の自動化です。

「習慣」や「考え方のパターン」、いずれにしても身につけるためには、回数をこなさなければ手に入れることはできません。

 コツコツ続けることが、注意力を養うのです。それが注意力のエネルギーを節約できる自動化する脳をつくることにつながるのです。