日本は結構寒いが、日本株は過熱気味。何かのきっかけで株が急落する局面もありそうだ。あらかじめ「投資家の動向がわかる数字」をウォッチしていると、役に立つかもしれない(写真:miyakawa2449 / PIXTA)

株高が止まらない。16日の日経平均株価は終値で2万3951円となり、昨年来高値を更新した。一方、テクニカル面からは高値警戒感もちらつく。相場の急変に備えるために、今後注視しておくべき指標は何か。今回は、信用評価損益率をもとに、今後の見通しを探ってみたい。

「信用評価損益率」で相場全体の行方を探る

信用取引とは、証券会社に現金や株式を担保として預け、おカネを借りて株式を買ったり、株券を借りてそれを売ったりする取引のことだ。そもそも信用取引は元手の約3倍まで取引できる一方、決済期日があることや金利が掛かるため、短期間で決済されることが多い。また、一般的に、含み益が出た持ち株(建玉)は利益確定の売却(決済)を優先し、逆に含み損を抱えた株はそのまま保有してしまう傾向がみられる。したがって、信用取引の全般的な状況を示す「信用評価損益率」は、通常マイナス圏で推移することが多く、プラス圏へ浮上することは、極めて珍しい。

信用評価損益率(東京・名古屋の二市場)は、買い建ての株を保有している投資家がどれくらいの損益になっているのかをパーセント(%)で表したものだ。投資家の懐具合がすぐにわかり、投資家のセンチメント(心理)や相場全体の天底を推し量るうえでも有用な指標のひとつだ。
計算式は以下の通りだ。

信用評価損益率(%)=評価損益額/信用建玉残高(買い建てのみ)×100

(一般的には、東証で毎週第3営業日(通常水曜日)に発表される前週の「信用取引現在高」データをもとに、日本経済新聞社が計算し、発表しているものがつかわれることが多い)

信用評価損益率を、おおまかに以下の3つ(天井圏・過熱圏・底値圏)に分けてみると、相場全体の傾向が分かりやすくなる。果たして今はどの局面だろうか。

(1)天井圏(0〜5%前後)

評価益が出ている投資家が大半。プラス圏に浮上した直後、相場全体が急変するケースも

(2)過熱圏(-5%前後)

投資家の評価損は小さい。戻り売りや利益確定売りが相場全体の上値を押さえることも

(3)底値圏(-20%前後)

投資家の評価損が拡大する局面では、追証発生による投げ売りが相次ぎ、相場全体が底をつけることも

信用評価損益率は、通常は(2)と(3)の間である「-5%〜-20%前後のマイナス圏」で推移している。勢いのある株高局面が続くと、まれに(1)のプラス圏(0〜5%)に浮上することもあるが、実は、その直後に相場全体が急変することもある。直近(2017年末)の同指標は-5%台の水準まで改善。信用取引で購入した投資家について、株式の評価損の縮小傾向が続いている。とすると、今後は利益確定売りが相場全体の上値を押さえることもありそうだ。ちなみに、2006年1月に起きた「ライブドアショック」と2013年の「バーナンキショック」が発生する直前では、信用評価損益率がプラス圏へ改善していた。

海外勢の買い急ピッチ、今後は円高にも注意必要

2017年の日経平均株価は約19%上昇した。日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れ額は年6兆円近くに達し、月平均で見ると、約5000億円規模の買い手となった。2018年の日本株を見ると、海外勢が買いを膨らませている。

東証が発表した売買動向によると、大発会を含む2営業日(1月4〜5日)で海外勢は4851億円も買い越した。これは前述における日銀のETF買入額1ヵ月分に相当する。さすがに、海外勢の買いピッチもいったん一服することが想定される。

そうしたなか、世界の低金利のアンカー役といわれる日銀の姿勢に再度注目が集まっている。9日に日銀が公開市場操作での、超長期国債の買い入れ額を減らした。市場では日銀の「出口観測」が意識され、為替市場ではドル円相場が円高方向へ振れている。前述のように足元では信用評価損益率が「過熱圏」(-5%前後)近くに達しているうえ、信用建玉残高(買い建て分)もこの5カ月間で2.5兆円台から3.1兆円台へ増えている。仮に調整局面に転じれば、増えた買い残が売り圧力となって、上値を押さえることになる。

一方で、市場では国内企業の業績の先行きに対する期待は依然根強い。もし、日本株が押し目のないままにさらに一段上昇すれば、信用評価損益率が2013年以来5年ぶりのプラス圏に浮上することも考えられる。すると、その場合、何かのきっかけで、いったんは天井から下落を迎える可能性もある。調整局面での押し目買いを想定しつつ、対処できるように備えておく必要もありそうだ。