歓喜するまで一瞬の間があった。「あれ、入っちゃった」。DF柳貴博(FC東京)が笑顔を見せたのは、自身の左ひざに当たったボールが、ゴールに吸い込まれて行くのを最後まで見届けてからだった。

 16日に行われたAFC U−23選手権、北朝鮮とのグループリーグ最終戦に先発出場した柳が日本に先制点をもたらした。前半32分にゴール左約30メートルの位置でFKを獲得すると、 MF伊藤洋輝(ジュビロ磐田U−18)が高いクロスを上げる。ボールはファーサイドで完全にフリーだった柳の元へ。「ボールの高さを考えると前の選手は絶対に触れないだろうと思いました。自分のところにこぼれてくるのは分かっていた」と、ここまでは狙いどおりだった。

「逆に時間がありすぎて、いろいろなことを考えていたら……」

 そう言って柳は笑う。「トラップしようか、そのままダイレクトで打とうか迷って。そしたら左のひざに当たって、入っていました」と狙いどおりのシュートではなかったものの、チームの勝利にしっかりと貢献した。柳にとってはこれがプロ入り後、初ゴール。「それが代表ゴールっていうのはやばい」と顔にうれしさを隠しきれないでいた。

 一方で、冷静に試合を分析する。「後半になって判断が遅くなり、ピンチも増えた。落ち着けない時間帯が長くて、個人としてもミスが多くなってしまった」。チームがここまでの2試合を無失点に抑えていたからこそ、「3戦目もゼロで終わらせたかった」と悔しさをにじませた。

 3連勝でグループリーグを首位通過した日本は、19日の準々決勝でウズベキスタンと戦う。柳は「最後まで集中力を切らさずに戦えるようにしたい」と気を引き締め直した。

取材・文=高尾太恵子