静まりかえったダンスフロアで、若者たちが一心不乱に踊り続けている。なにごとだ? でも、別にみんなイッちゃったわけじゃない。よく見ると、みんなヘッドホンを付けて、そこから流れてくる音楽に合わせて、踊っていたのだ。

 実はこれ、オランダの「433fm.com」という企業が各地で開催している「サイレントディスコ」の光景。DJがかける音楽などは、すべて各自が身につけたヘッドホンから聞こえてくる。参加者がヘッドホンの周波数を特定のモノに合わせると、そこから音楽が流れてくる仕組みになっているのだ。

 2002年から始まり、その後、ベルギー、スペイン、イタリア、スコットランドなど世界各国で開催されている。今年6月に、イギリスで開かれた野外音楽祭「グラストンベリー・フェスティバル」でも、主催者が騒音対策として、「サイレントディスコ」を導入。現地では大きな話題になったという。騒音対策はもちろん、自分たちだけが同じ音を共有しているという「特別な一体感」も人気の秘密だとか。

 このほか、「プラカー」という「サイレントディスコ」に似たイベントもある。こちらはヘッドホンで聴く、ライブ演奏イベントだ。インターネットを通じて配信されたライブ演奏を、ヘッドホンで聴き、同時に参加者とチャットなどでコミュニケーションを楽しむ。9月3日と4日には、東京都目黒にあるホテルCLASKAで開催された。

 ディスコやクラブ、レイブでは、大音量の音楽を長時間に渡ってかけ続けるので、騒音が深刻な問題になる。ライブ演奏も、参加者にとっては心地よい音楽かもしれないが、周辺住民にとっては耳障りな音ってこともあるだろう。でも、ヘッドホンをしている人以外には、ほとんど聞こえない「サイレントディスコ」や「プラカー」なら、そんな心配は無用。しかも、会場で大声を張り上げながら、友だちと会話をする必要もなくなる。将来、新しい音楽イベントとして、定着したりするかもよ。(文/verb)