卵が先か、ニワトリが先か……いえいえ、後先なんて考えず、美味しく一緒に頂いてしまえば、いいんです!鶏肉と卵のもたらす、絶妙のハーモニーと一体感=”愛”を、東西の丼ラヴァーが熱くとろけるように語ります!

今回のお題【親子丼】

親子丼対決 東/バードランド 丸の内 vs. 西/とり安

【東】マッキー牧元 バードランド 丸の内の「奥久慈しゃも親子丼」

 門上様、今回のお題は親子丼ですか。いいですねえ。僕は親子丼を目の前に出されただけで、にやついて、だらしない顔になってしまう男です。
 それは無類の鶏肉好きで卵好きという理由もありますが、この丼に親子の愛を感じるからなのです。
 親(鶏肉)は、子供(卵)を優しく見守りながら、決して表には出ようとしない。卵の甘みを、そっと引き立てている。そんな親子愛にあふれた親子丼が好きなのです。
「バードランド」の親子丼は、卵が力強い。力強く、やさしく甘い。白身がふわりと唇に触れ、風味を高めた黄身がてれんと舌にしなだれる。二回に分けて流し入れた半熟具合も、それ以上でも以下でもない状態に決まって、親子丼の主役は卵なのだ、卵の偉大さがあってこそ親子丼なのだと気づかせる。
 違う食感が楽しい、モモ肉、胸肉、ささみは、ご飯と一緒にかきこめるほどよい大きさで、卵を引き立てつつ、親の尊厳も静かに主張している。
 甘辛い丼つゆは、卵の力強さにピタリと寄り添い、盛り上げる。すべてが親子丼という料理の理想に向かって集結した、美しい親子丼です。
 ああ書いているうちに、また食べたくなってきた。

力強く、やさしく、甘い。鶏と卵が渾然一体となる美しき親子愛を心底感じられる丼

▲奥久慈しゃも親子丼 1600円
肉、卵、スープのすべてに奥久慈しゃもを使用した、贅沢な親子丼。「卵の主張、肉の主張もちゃんとありつつ、それぞれが出過ぎていないという奥深さ。銀座店のそれよりちょい濃いめに仕上げているというのも、ご飯かっこみポイントなのだ」(牧)

バードランド 丸の内
東京都千代田区丸の内1-4-1 丸の内永楽ビルB1
[TEL]03-6269-9825
[営]11時〜13時頃(*売り切れ次第終了)、17時〜22時半(22時LO)、土 17時〜21時半(21時LO)※土はランチ休、またランチ時は焼き鳥なし
[休]日・祝
[席]カウンター16席、テーブル14席 カード可/予約可/サなし *昼は内税、夜は外税
[交]地下鉄東西線大手町駅B1出口から徒歩1分、丸ノ内線東京駅丸の内北口から徒歩5分

【西】門上武司 とり安の「からあげ丼」

 牧元さん、僕は親子丼について、いて、いろいろ考えたことがありました。
 一般的には鶏と卵。ならば鮭とイクラ、ボラとカラスミ、うずらと卵、チョウザメとキャビアなどバリエーションはいくらでも広がり、味わいも個性豊かになるなど妄想したものです。
 しかしやはり親子丼の王道は鶏と卵。

 京都にじつに滋味深い鶏肉屋があります。烏丸御池に近い「とり安」です。ここが営む小体な飲食店で出される〈からあげ丼〉が、見事です。味付けされた鶏肉を唐揚げにして、それを卵でとじる。立派な親子丼なのです。

 この卵がすごい! とろとろというより柔らかめのスクランブルエッグを、しっかりした出汁で絡めたという味わいです。唐揚げですから、その卵がまた、衣にうまく絡むのです。なんと言うか、衣の表面のでこぼこ具合に卵が染みこんでゆく感じです。この一体感こそ、このからあげ丼の真骨頂であり、歯を入れると鶏肉のうま味が充溢してゆくのです。そしてご飯をがっつりかきこむことになってしまいます。丼の醍醐味、満喫状態! 
 牧元さん、鶏肉取り寄せ可能です。

お出汁の国の丼の雄は瞠目の“唐揚げ”戦法で究極の一体感を実現。いざ、かきこめ!

▲からあげ丼 800円
「厳選された若鶏を朝挽き。鶏肉はそのまま塩で食べてもじつに旨いのですが、タレを染み込ませることで味にふくらみが出ます。また、卵との相性だけなら最強コンビネーションといえるかもしれません。鶏肉店の強みを生かした献立です」(門)

とり安
京都市中京区烏丸通押小路上ル 秋野々町534番地
[TEL]075-241-0456
[営]11時半〜13時45分(LO)、17時〜19時半(LO)
[休]木・土・日・祝
[席]カウンター7席、テーブル6席 カード不可/予約不可/サなし
*昼のみ中学生以下のお子様は入店お断り
[交]地下鉄東西線烏丸御池駅1番出口から徒歩1分

プロフィール

【東】
マッキー牧元/タベアルキストを自称して早30年、ひたすら美味しいものを食べ歩き、それを生業とすべく、各誌への寄稿に励むコラムニスト。東の食雑誌『味の手帖』編集主幹でもある。

【西】
門上武司/小誌でもおなじみの、あらゆる食情報に精通している西のグルメ王。食関連の執筆・編集を中心に、各メディアに露出多数。関西の食雑誌『あまから手帖』の編集顧問も務める。

2015年12月号発売時点の情報です。