娘が巣立ったあと、1人で迎える老後も心配です(写真:siro46 / PIXTA)

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私は数カ月前、借金を繰り返す夫と離婚しました。以前にも多重債務をしたことがある元夫は今回もまた、債権者から弁護士事務所を通じて一括返済を求められており、その他督促の電話も数社からありましたので、離婚を決意しました。娘は高校3年生で、進学先が決まるまでは生活環境を変えたくなく、夫が出て行きました。
相談したいことの1つは両親にも元夫の母親にも、まだ離婚を伝えていないことが、とても心苦しいということです。両者とも年配のため、離婚に驚き、私を心配して体調を崩すのではと思うと伝えることができません。
そしてもう1つは、私はこれからどのようにして生きていくべきかということです。私は今までずっと内職をしてきました。借金癖のある夫に隠していた貯金が少しありますので、離婚前は起業も考えました(慎重に考え、実現できませんでしたが)。今は両親を支えたく、家の近くで勤めをしたいと思っています。田舎なのでできる仕事も少なく、長年、元夫の借金癖と闘ってきた疲れもあり、しばらくは心を休めたいとも思っていますが、一人で迎える老後も心配です。アドバイスを頂けませんか。
聡子(仮名)

まずは悩むより行動を


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借金漬けで再起不能の先を見通せない夫との離婚には大賛成です。今後の生き方ですが、まずは悩むより行動することが大切な局面かと思います。

まずは仕事です。タイプにもよりますが、就職活動なり仕事に向けた勉強なりは、早いほうがいいでしょう。少しの休養のつもりで会社を辞めたのに、いったんその気楽さを覚えると、社会復帰への壁が、自他ともに高くなっている人をよく見ます。聡子様も社会復帰への敷居が高くなる前に、行動を開始するべきです。

内職経験からいきなり起業しなかったのは正解だったと思います。たとえば飲食業を例に取りますと料理の腕はいいのに原価計算を無視した価格設定やどんぶり勘定で、客は入っているのに赤字という店が、たくさんあります。その両方はよいのに接客がまずい店も続きません。

職種にもよりますが、不特定多数の人を相手にする職に一度就いてみるのは、よっぽど情熱と適性がある天職に巡り合ったのでもないかぎりは、必要な修業だと思います。

仕事をしながら、関心のある分野での資格取得の勉強をする方もたくさん見てきました。聡子さんは貯えをお持ちとのことですので、就職と同時か、その前に始めるいい機会だと思います。就職に必ず有利とは限らない資格もありますが、いつどこで役立つかもわかりませんし、自信にもなります。もちろん、興味も適正もない資格のための資格勉強は、まったく意味がありませんが。

希望は自身で育て上げ、成長させていくもの

希望は自分自身で育て成長させるもの――「しあわせは歩いてこない、だから歩いてゆくんだね」と水前寺清子さんに歌われてもピンとこない人でも、「希望はやってこない、自身で育て上げ、成長させていくものだ」と、2年前に夫を予期せず突然亡くしたフェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOの、自身の経験に基づいた言葉だとしたら、心動かされる人は多いと思います。

詳しくは2017年、バージニア工科大学での卒業式のスピーチをご覧いただければ、と思いますが、人生の困難時にこそ希望を持つことと、「立ち直り」には周囲の人と絆を作ることの大切さを、感動的に語っておられます。

「失敗も含めて、人生に無駄なことはない」と私が申し上げても、そんなこと100回以上聞いたと言われそうです。ところがこれがあのスティーブ・ジョブズ氏でしたらどうでしょう。「将来をあらかじめ見据えることなどできない。今やっていることが、人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない」は、「ハングリーであれ、愚か者であれ」(2005年スタンフォード大学卒業式)の名セリフで有名な伝説的スピーチの中にあります。これらのスピーチ原稿などもネットでご覧になられますと、今のあなたの心に響く言葉で満ちているかと思います。

最近、私はネパール人のライ・シャラドさんの生き方に感銘を受けました。本来なら満足な教育を受けられないネパールの田舎で育った彼は、国費で「最高の」大学教育を受け、日本に留学まで果たします。国に恩を返す方法として、彼は日本で働きながら故郷に学校を建てます。2012年、竹とトタン屋根の学校から始めて現在では、153名の生徒が通う学校になりました。彼の夢は地域から国のリーダーを目指し、地域を発展させ豊かにすることです。

彼の夢を応援する大勢の日本人も登場します。この話も希望と絆がキーワードで、希望は自分で描き、育てる話です。

遠い海外の立派なリーダーの話だと思われるかもしれませんが、この“周囲の人との絆を大切に、希望は自分で育て、成長させる”ことの大切さは、誰にでも当てはまる大切な教訓だと思います。

それでも、どれも登場人物がビッグすぎてピンとこないでしょうか? ならばこれはどうでしょう。最近私はたまたま市バスで横に座った女性から、楽しくてしようがないという笑顔で語りかけられました。ずっと単純労働に従事し、義父母や夫の介護と看取りで苦労が絶えなかった人です。今は美術館や博物館巡りで楽しくてしようがない毎日だと言います。

私たちの市では70歳になれば市バスや地下鉄、美術館などの施設が無料で使用できるパスを得られます。70歳になった彼女はそれを思う存分利用し、国宝展も紅葉狩りもすべて無料で自由に満喫し、満ち足りた毎日なのだそうです。「こんな日々が自分に訪れるとは夢にも思わなかった。好奇心は膨らむばかりで、今がいちばん幸せ」というわけです。あなたの老後の社会も予測難しく、あれこれ思い煩うよりは、今を一生懸命に生きることですね。

以下は、非常に貧しい生活苦の中で、いわゆる3K仕事の中で四苦八苦していた、30代の外国人男性の話です。知人宅に居候し、肉体労働でその日暮らしが2年ほど続き、荒れていました。それでも彼は「夢があるから生きていける」と言うので、思わず私がぶしつけにも、「その境遇でまだ夢を持てるの?」と聞きましたら、「夢のない人なんて、いるのですか?」と逆に聞かれました。私が日々忙しく、就寝中の夢さえ見るのも忘れていた時代のことです。彼はその後「パンツ1枚でお国に帰って」事業に成功し、多くの雇用を創出しています。

世の中には、十人十色の生きがいや夢があります。ぜひ聡子様に参考になる生き方をご自身でリサーチされ、ご自身にあった生き方を探り続けてください。

失ったものより足りていることを数えよう

聡子様の境遇は、見方を変えればまだまだ勇気を出して頑張れる境遇です。借金漬けの元夫はすんなりと出て行ってくれました。借金の連帯保証人にもなっていません。わずかでも貯えがあります。子どもさんが手のかかる時期も乗り切りました。あなた方を心配してくださるご両親がいて、親孝行できる機会が増えそうです。何よりも全員が健康で、あなたに就労意欲があります。

本連載では、5年近くにわたってさまざまな離婚などの相談を受け付けてきましたが、比較にならないくらい悲惨な境遇で頑張りぬいた方もたくさん知っています。不安でおつらい気持ちももちろんわかりますが、子どもとご両親、そしてなによりご自身のためにも、勇気をもって希望を抱き、とにかく悩むより行動に移していただければと思います。

離婚を知ったご両親が心を痛めるかどうかは、あなた次第です。いかにこの離婚が、あなたらしく生きるためには正解であったかを、あなたが確信をもって伝えて、むしろ安心していただきましょう。元義母にもあなたが気になるのでしたら、離婚しても時々は連絡を差し上げるとか、孫は時々伺わせるなどの約束をして差し上げるのはどうですか。

これまで巡り会えなかった、多くの人とのすばらしい出会いを作るのもあなた次第です。これからの希望あふれる人生を思い描き、力強く歩んで行ってください。