【東京五輪・2020への予習ノート 】レジェンド二人からお墨付き! “高校生”MF伊藤洋輝が持つ巨大なポテンシャル/第9回

写真拡大

「(イタリア代表MF)チアゴ・モッタのようだ」。MF伊藤洋輝(ジュビロ磐田)をパリ・サンジェルマンの大型MFにたとえて評価したのは、日本サッカーのリビングレジェンド・MF中村俊輔その人だ。「そう言われてちょっとうれしかった」と照れ笑いを浮かべる188cmの大型ボランチは、開催中のAFC U−23選手権に臨んでいるチームにおいて、唯一の高校生である。

 190cm近いサイズに加えて、左利き。これだけで稀少性の高い存在だが、もちろんそれ“だけ”の選手ではない。自らの売りを「推進力とミドルシュート」と語るように、中盤の底からボールを運び、ダイナミックにゴールを狙っていくプレーが持ち味だ。また、磐田の名波浩監督からは「それだけのサイズがあって視野が広いのは武器だぞ」とも言われているそうで、大きな展開をするプレーにも意識して取り組んできた。

 今大会では唯一の高校生にして最年少プレーヤーだが、年下組で年上に混ざること自体は慣れたもの。飛び級招集だった昨年のU−20ワールドカップに関しても最後まで候補メンバーに残っており、磐田では高校生のうちからトップチームへの帯同を続けてきた。今回はFW田川亨介(サガン鳥栖)と同部屋だが、「先輩ではなく友達みたいな」感じでリラックスして臨めていると笑う。臆するところは何もない。

 もっとも、今大会のスタートは誰よりも「寒い」立場だった。昨年7月に行われた予選最終戦で退場してしまったため、今大会初戦は何と出場停止。寒風吹きすさぶスタンドでの観戦を余儀なくされたが、「もうホントに寒かったですけれど、静かにスタンドで観ていました」と笑いつつ、ただ「もし自分ならもっと高い位置を取るだろうなとか、考えながら観ていた」と、プレーのイメージも膨らませた。元よりサッカーを観るのが好きで、「いまも一晩で2試合とか観ちゃう」というタイプだけに、森保一監督のシステムに対する理解を深めるためにも、ポジティブな経験になったようだ。

 グループステージ第3戦となる北朝鮮との試合ではどうやら先発機会もありそうだが、本人はそこに満足する気はない。「決勝トーナメントへ行くことは決まっているので、(監督が)そこから先発で使いたくなるようなプレーをしたい」と意気込む。

 大会に臨むにあたっては「当然チームとしての優勝がまず一番」としつつも、「数字の残る結果を出していきたい」と、ビッグプレーも狙っている。「自分が左足でボールを持つときは観てほしい。ボールの配球、後ろの組み立てもちゃんとやって、その上でゴールも取りたい」と意欲的だ。

 代表ではこの大会の予選、そして昨年11月にモンゴルで行われたAFC U−19選手権予選と、かつて「得意じゃない」と漏らしていたヘディングでのゴールを重ねてきた。長身を活かせるようになってきたのは明らかな進歩だが、本人的には「そろそろ足で取りたいんですよね」ということになる。特に今回はリトリートしてくる相手が多そうなので、入らなくても相手を引き出せればということを意識しながらミドルを狙っていきたい」と明確なイメージを持って試合に臨む。

 ボールをさばけて運べて、点も取れる大型のセントラルMF。伊藤の描く理想像は高いものにも思えるが、「ヨーロッパで活躍するのが目標」と常々語り、そのサッカーに熱視線を送ってきた男にしてみると、目指すべき当然の水準なのかもしれない。

「最年少だけれど、最年少に見えないようなプレーをしたい」

 磐田で二人のレジェンド級レフティーから薫陶を受けてきた規格外の大型ボランチが、今大会を通じてどこまでの成長を見せてくれるか。まずは楽しみにしておきたい。

文・写真=川端暁彦