サンドイッチチェーン「サブウェイ」の日本国内での店舗数が激減、最終損益も2期連続赤字となるなど、その苦戦ぶりが明らかになりました。何が同社を追い詰めたのでしょうか。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者の佐藤昌司さんがその原因を探るとともに、今後の展望について冷静に分析・予測しています。

サブウェイ、店舗数が激減。2期連続で最終赤字

サンドイッチチェーン「サブウェイ」について驚きの事実が伝えられました。

ビジネスニュースサイト「ビジネス インサイダー ジャパン」は12月25日、「2017年にアメリカ国内のサブウェイの店舗数は909、割合にして3%以上減った」「世界全体の店舗数は、2016年の4万4,485から471減って、4万4,014店舗となっている」と報じたのです。

また、ニューヨーク・ポストは12月13日、「サブウェイの来店者数はここ5年間で25%減少した」と報じています。

アメリカのサブウェイはマクドナルドやヘルシー系ファーストフードなど競合との競争が激化しています。価格面ではマクドナルドほど安くなく、ヘルシーイメージの面ではヘルシー系ファーストフードほどではないという中途半端な立ち位置が苦戦を強いられている要因となっています。

一方、日本でも実は苦戦を強いられていて、店舗数が激減している状況です。2011年の期末店舗数は324店でした。12年は一気に出店を推し進め、同年11月には400店を突破しています。そして、14年には約480店にもなる店舗網を構築するにまで成長しました。しかし、その後は減少の一途を辿り、現在は360店にまで減っているのです。

運営会社である日本サブウェイの利益も減っています。最終損益は、10〜14年度は黒字でしたが、15年12月期は4,863万2千円の赤字、16年12月期は5,047万3千円の赤字となっています。また、赤字が積み重なったことにより、16年12月期の利益剰余金は11億円超のマイナスとなっています。

日本でサブウェイが苦戦している最大の理由は「価格の高さ」にあると考えられます。サブウェイのサンドイッチの単品価格は300〜580円程度で、ドリンクSサイズとポテトSサイズをセットにする場合は320円を追加する必要があり、合計すると620〜900円にもなります。ファーストフードチェーンでは高額の部類に入るでしょう。

サンドイッチとしての価格の高さもあります。日本は欧米と違い、「サンドイッチ」というとコンビニで売っている低価格のサンドイッチを思い浮かべる人が少なくないと考えられます。そういった認識の人はサブウェイを「サンドイッチなのに高い」と思うはずです。

ハンバーガーであれば近年はグルメバーガーが話題になるなど高価格帯のものでも需要があります。しかし、サンドイッチにはそれがないため、低価格のコンビニサンドイッチやマクドナルドのハンバーガーなどと比較されてしまうのです。

13年末に、過去に販売したローストビーフを使用した商品で食品衛生法に違反した調理をしていたことが発覚したことも影響していると考えられます。健康被害はありませんでしたが、少なからずイメージが悪化したのではないでしょうか。

こうしてサブウェイは日本で苦戦し続けているのですが、そのためか、日本サブウェイの完全親会社だったサントリーホールディングス(HD)は日本サブウェイの過半の株式を手放しています。

日本では、サントリーHDが1991年に米サブウェイから日本におけるサブウェイのフランチャイズ(FC)権を取得し、完全子会社の日本サブウェイを通じて運営してきました。しかし、16年3月末でFC契約が終了することから、サントリーHDはFC権を返上し、65%の株式をオランダにある本社、サブウェイインターナショナルグループに売却したのです。

サントリーHDとしては、今後の成長が見込めない日本サブウェイに見切りをつけたのでしょう。ただ、サントリーHDは引き続き35%を保有し、一定の関与は続けています。

そのサントリーHDはハンバーガーチェーン「ファーストキッチン」の株式も16年6月に売却しています。投資ファンドのロングリーチグループが、ハンバーガー店「ウェンディーズ」を展開するウェンディーズ・ジャパンに増資し、その資金でファーストキッチンの全株式を取得しています。

現在、ファーストキッチンの店舗数は125店(ウェンディーズとのコラボ店を含む)となっています。ファーストキッチンではハンバーガーやフライドポテトといった一般的なハンバーガーチェーンにあるオーソドックスなメニューを扱うほか、競合ではあまり見られない斬新なメニューも取り揃えています。

たとえば、カルボナーラなどのパスタ、クラムチャウダーなどのスープ、フランスパンの中をくり抜いてスープを入れた「スープパン」、焦がしバター醤油味ポテトなどの「フレーバーポテト」、フライドチキン、サラダ、白玉クリームあんみつなどのデザートなども扱っています。

こうしたメニューは特に女性に人気で、そのためハンバーガーチェーンでは珍しく、顧客の女性比率が高いことで知られています。

ウェンディーズ・ジャパンは、ウェンディーズとファーストキッチンのコラボ店「ファーストキッチン・ウェンディーズ」にも力を入れています。1号店を15年3月に東京・六本木に出店したのを皮切りに、現在は26店を展開しています。コラボ店ではファーストキッチンで扱っている一部のメニューのほか、ウェンディーズのバーガーや両ブランドのコラボバーガーも販売しています。

ハンバーガーの価格帯は、ファーストキッチンが220〜550円程度で、コラボ店のウェンディーズバーガーやコラボバーガーが370〜900円程度です。ポテトMサイズとドリンクをセットにする場合は390円必要です。パスタは500〜720円程度です。

マクドナルドと比べると価格帯は高くなりますが、近年は高級グルメバーガーが台頭していることもあり、割高感は薄まりつつあるといえます。また、女性に支持されているハンバーガーチェーンという差別化された武器があるため、ある程度価格帯が高くても受け入れられるのではないでしょうか。

サントリーHDつながりでサブウェイとファーストキッチを見てきましたが、価格帯でいうと両者はさほど違いはありません。ただ、「許容できる価格帯」という意味では、サンドイッチはあまり高くなく、ハンバーガーは上限が高まっているという違いがあります。そのため、サブウェイの今後は厳しく、ファーストキッチンは希望が持てるといえるでしょう。

サブウェイは店舗数が激減していますが、今後、反転攻勢があるのかに注目が集まります。ファーストキッチンはコラボ店が好調で店舗数が増えていますが、店舗数の規模でいえばまだまだ少ないため、200店、300店というレベルにまで到達できるのかに注目が集まりそうです。

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