大塚家具の大塚久美子社長(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

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 ニトリホールディングス(HD)の株式時価総額は、2017年12月22日終値時点で1兆9587億円。ファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングスに次いで小売業で第3位だ。対する大筭家具は180億円で、その差は109倍。かつての家具業界の2強は大差がついてしまった。

 ニトリグループの戸建て中古住宅販売のカチタスが17年12月12日、東証1部に上場した。初値は1665円で、公開価格の1640円を1.5%上回った。その後は値を上げ、12月22日には一時、2539円まで上昇した。上場来の安値(1638円)と比較すると55%高と堅調である。

 カチタスは買い取った中古の戸建て住宅をリフォームし、再び販売する中古住宅の再生事業を手掛ける。ニトリHDは17年4月、カチタス株の33.9%を233億円で取得。持ち分法適用会社に組み込んだ。カチタスの18年3月期の売上高は679億円、純利益は44億円の見込み。

 ニトリHDは年間4400戸超の中古住宅を販売するカチタスの販路を生かし、家具の拡販につなげる。ニトリHDの白井俊之社長は「リフォーム事業で倍々の成長ができるようにしたい」と語る。カチタスは家具なしで住宅を販売していたが、今後は住宅とニトリの家具をセットで提供すると、意欲を示した。さらにニトリの店舗に実験店(ショールーム)を開設することを検討。新たな顧客との接点とする。

 ニトリHDが17年12月22日に発表した17年3〜11月期の連結決算は、売上高が前年同期比11.5%増の4227億円、営業利益は0.3%増の704億円、純利益は7.7%増の512億円。純利益は同期間としては最高だった。

 都心部の出店拡大で客層を広げた。17年6月に東京・渋谷に都心型で最大規模のニトリを開業した。シダックスの旗艦カラオケ店だった「渋谷シダックスビレッジクラブ」の跡地を借り受けて改修。地上9階建てで延べ面積は5980平方メートル。3月15日に東武池袋本店の6階に開いた店(3800平方メートル)を超えて都心型で最大となった。

 既存店も前年同期(8店)の4倍強にあたる35店を改装し集客力を高めた。家具や住宅衣料の販売が伸び、3〜11月累計の既存店売上高は2.4%増、客数は4.5%増えた。

 半面、人手不足に伴う人件費や物流費が増えたほか、積極出店や改装で費用がかさみ、営業利益は微増にとどまった。売上高営業利益率は16.7%と2ポイント弱低下した。一方、3〜5月期に計上した中国の物流子会社の売却益(38億円)が純利益を押し上げた。

 18年2月期の通期予想は据え置いた。売上高は前期比10.7%増の5680億円、営業利益は15.4%増の990億円、純利益は14.2%増の685億円の見込みで、31期連続の増収増益となる。年間配当は92円と前期から10円の増配を予定している。

 似鳥昭雄会長は「次は40期連続の増収増益を達成したい」と述べている。22年に売上高1兆円、1000店舗の目標を掲げる。

 だが、新設住宅着工戸数は減少が続き、インターネット通販との競争も激しい。家具業界の先行きは明るくない。

 そんななかで、コストパフォーマンスが高い商品が若者に人気のニトリは、銀座や新宿、渋谷、池袋など都心部への出店を強化。大阪ではシャープの旧本社ビルを買収した跡地に、19年夏に大型店舗をオープンする予定だ。2018年もニトリの快進撃が続きそうだ。

●父親に経営権を戻すか、大手に身売りするかの二者択一?

 対照的に、大筭家具は業績下落が止まらない。17年12月期の通期決算の売上高は前期比7.5%減の428億円、営業損益は43億円の赤字(前期は45億円の赤字)、最終損益も63億円の赤字(同45億円の赤字)と2期連続の大赤字に沈む。創業者の大筭勝久元会長を“排除”した長女の大筭久美子社長は崖っぷちに立たされた。

 大筭家具は17年11月6日、貸し会議室運営のティーケーピー(TKP)との資本業務提携を発表した。大筭家具は第三者割当でTKPに発行済み株式数の6.82%(議決権ベース)の自己株式を譲渡。TKPは11月21日付で、大筭家具が持つ自己株式129万株を1株815円、計10億5000万円で買い、第3位の大株主となった。

 資金繰りが緊急の課題だ。現金・預金の残高は、勝久氏が実権を握っていた14年12月期決算期末は115億円あったが、久美子社長時代になるとどんどん減っていった。それでも15年12月末には109億円あったが、16年同月末には38億円に激減。17年9月末には20億円にまで減った。

 このままでは資金ショートを引き起こしかねない。窮余の一策がTKPとの資本提携で、10億円の資金を調達した。この資金を大筭家具は運転資金に充てる。

 有明本社ショールーム(店舗面積2万4673平米)、横浜みなとみらいショールーム(同1万9500平米)、大阪南港ショールーム(同2万2242平米)など、1万平米を超える大型店の低迷が不振の原因である。

 店舗売り上げは、感謝フェアを行った特別月以外は前年同月割れが続く。17年10月の店舗売り上げは前年同月比28%減、11月は11%減と落ち込みに歯止めがかからない状態だ。

 久美子社長は会見で、「一番重荷だったのが不動産」と語っている。有明本社や大阪南港を大幅に減床するなど1万平米級の店を減らし、3000〜7000平米クラスの店を増やす計画を掲げる。また、店舗の空きスペースをTKPに貸すことで安定した賃料を得ることを狙う。

 それほど大筭家具が追い込まれているということだ。

 株主が問題視するのは配当政策である。15年の親子対立による委任状争奪戦(プロキシーファイト)の際、久美子社長は「3年間は配当80円」と株主に高い配当を約束し、賛成を取り付けた。しかし、17年12月期の年間配当は40円に減配する予定で、いわば株主への公約違反だ。株主総会で経営責任を追及される可能性が高い。

 株式市場では「父親に経営権を戻すか、大手に身売りするかの二者択一」との観測が飛び交う。18年の大筭家具が辿る道は真っ暗闇だ。
(文=編集部)