【コラム】パチューカで存在感光る本田圭佑、W杯イヤーの2018年を「出来すぎな年」にできるのか

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 ワールドカップイヤーが始まって2週間。年末を日本とアメリカで過ごした本田圭佑(パチューカ)は気持ちを新たにメキシコ・リーガMX後半戦に挑んでいる。新年初戦となった7日のプーマスUNAM戦では1−0とリードしていた39分、カウンターからの右クロスをゴール中央で合わせて2点目をゲット。チームはまさかの逆転負けを喫したが、本田自身はいきなりインパクトを残した。

 14日のクラブ・アメリカ戦でも、0−1のビハインドを背負って迎えた後半開始直後、自らの右CKからオスカル・ムリージョの同点弾をアシスト。89分のビクトル・グスマンの2点目も右サイドにいる本田が起点となり得点を演出している。試合は2−2のドローに終わり、新年初白星を挙げられなかったが、本田はこれでリーグ戦4試合連続フル出場。12月のFIFAクラブワールドカップ UAE 2017でも準々決勝のウィダード・カサブランカ戦、準決勝のグレミオ戦と2試合続けて120分間フル出場を果たしており、コンディションは完全に戻ったと言っても過言ではないだろう。

 2017年9月5日、2018 FIFAワールドカップ ロシア・アジア最終予選最終節のサウジアラビア戦(ジェッダ)でまさかのミスを連発し、前半45分でピッチを去った時、本田は「(ボールを奪われたところは)感覚的なものかなと思いますし、取り戻していかないといけないと思います。まあ全然ダメですね。何を言っても言い訳になるんで。ダメやったっていう結果しか残らないんで。いろんなものを取り戻していかないかなというふうに思います」と試合勘の不足を認めていた。昨シーズンは1年を通してミランでベンチに縛り付けられ、昨夏のパチューカ移籍直後も負傷で出遅れていただけに、彼自身の危機感は非常に強かったに違いない。

 そこから約4カ月が経過し、復調傾向にあることを本人も強く実感している。だからこそ、12月末に帰国し、全日本空輸株式会社(ANA)と共同でサッカースクールを行った際も「現状をポジティブに捉えている」と発言したのだろう。

「2017年を総括すると満足できるものではなかった。サッカー面、それ以外の部分でも課題が多く残った1年だったと思います。ただ、改善できている部分もあり、さらに良くするメドも見えてきているという意味では悲観はしていない。来年が非常に楽しみではあります」と本田は笑顔をのぞかせた。

 日本代表から離れて4カ月も経つのに、精神的余裕を持てているのは「ワールドカップは直前の半年間が全て」という自負があるから。出場した過去2回の世界舞台を振り返ってみても、10年の南アフリカW杯は同年1月にオランダのVVVフェンロからロシアのCSKAモスクワへ移籍。UEFAチャンピオンズリーグ・ラウンド16、セビージャとの第2戦で約30メートルの直接FKを叩き込み、瞬く間に勢いに乗った。代表でも直前までレギュラーではなかったが、本番直前に1トップに抜擢されると、初戦のカメルーン戦と第3戦のデンマーク戦でゴール。一気に主役の座に躍り出た。14年も1月にミラン移籍へと踏み切り、ケガなどに悩まされながらも、ブラジルW杯では初戦のコートジボワール戦でワールドクラスの一撃を決めている。そういう経験値が「本当の勝負はここから」という気持ちにさせるのだろう。

 最近のパチューカではトップ下や右サイドで起用されているが、今の彼なら1トップや左サイド、インサイドハーフ含めてある程度のポジションをこなせるだろう。欧州組の近況を見ても、右サイドの浅野拓磨(シュトゥットガルト)、左サイドの原口元気(ヘルタ・ベルリン)がウィンターブレイク明けのリーグ戦で揃ってベンチ外。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の寵愛を受ける井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ)も新天地でどうなるかまだ分からない。攻撃陣で計算できる選手が乾貴士(エイバル)ら数人しかいない中、調子を上げつつある本田の存在はやはり無視できない。「自分が『絶対に選ばないといけないな』と思わせる活躍をしないといけない」と本人も語っていたが、そういう状況に近づきつつあるのは確かだ。

 ここからの本田に求められるのは、まずはゴールという目に見える結果をコンスタントに残すこと。新天地に赴いてからリーグ戦の得点数は4とまだまだ足りない。ムリージョやグスマンが得点源と位置付けられているだけに、本田に決定機が巡ってくる回数は少ないが、そういう形を作る努力がより一層求められるところ。リスタートのキッカーも任されているため、南アフリカW杯で見せたような直接FKからゴールも決める必要がある。もう一つは守備。高地ではオフ・ザ・ボールの走りの量を増やし、球際で果敢に勝負していくことは非常にハードルの高いテーマだが、それをやらなければハリルホジッチ監督を納得させられない。賢く理解力の高い彼ならば、その重要性をよく分かっているはずだ。

「2018年は『出来すぎな年でしたね』と言える年にしたい」と年末に語っていた本田。そうなるかどうかは今後の一挙手一投足次第だ。かつて4年間プレーしたロシアでのワールドカップで自身のキャリアの集大成を飾るためにも、もう一段階のステップアップを果たすこと。代表のピッチで光り輝く本田圭佑の姿をもう1回、見せてほしい。

文=元川悦子