2月に通信関連の展示会「Mobile World Congress(MWC)」を控えていることもあり、「CES 2018」のクアルコムのブースは、技術展示が控えめな印象だった。目立ったのは、クアルコムのチップセットやプラットフォームを使った、コンシューマー向け製品の紹介。CESでの代表的な製品として、レノボとグーグルが発表した「スマートディスプレイ」のデモが行われた。

レノボのスマートディスプレイを出品

 スマートディスプレイは、一言でいうと、「Google Home」のようなスマートスピーカーの機能をディスプレイに合体させた商品。通常のスマートスピーカーは結果が音声で返ってくるが、スマートディスプレイは音声に加えて、画面に文字や写真、動画、イラストなどで情報を表示できるのが特徴だ。タッチパネルも搭載しているため、たとえば、細かく楽曲を指定したいときなどは、音声でコントロールするよりも素早く操作できる。

ディスプレイがあることで、ユーザーに伝える情報量を増やすことができる。タッチ操作も行える

クアルコムの「SDA624 Home Platform」を採用

 このスマートディスプレイには、クアルコムの「SDA624 Home Hub Platform」が採用されている。これは、600番台のSnapdragonからLTE、3Gなどのセルラー用の通信モデムを抜いたアプリケーションプロセッサーだ。このプロセッサー自体も、CESで発表されている。スマートディスプレイのOSには、IoT機器向けに機能を絞り込んだ「Android Things」が採用されている。

 こうしたホームIoTが、家庭内でスムーズにつながるためのソリューションとして、各メーカーが開発するWi-Fiメッシュネットワーク対応のルーターも出品。クアルコムによると、米国では、すでに販売されるルーターの4割程度がメッシュ対応になっており、急速に普及が進んでいる。同社は、チップセットやソフトウェアを提供する立場だが、固定系の通信事業者に対しても技術提供していく方向性を検討しているという。

IoT機器を家庭内で、確実に接続させるためのソリューションとして、Wi-Fiメッシュネットワーク対応のルーターを展示

 5Gの技術紹介は、MWCまで“お預け”状態だったクアルコムのブースだが、CESでは、自動車関連、自動運転関連の出展が増えたことを受け、「セルラーV2X」の展示には力を入れていた。セルラーV2Xとは、自動車と自動車、自動車とインフラ、自動車と人がダイレクトに通信する技術のこと。これによって、自動車が故障して停止していることをいち早く周囲の自動車に通知したり、緊急車両に合わせて信号を変えたりといったことが可能になる。

 CESの会場では、米サンディエゴで実施されているデモを、モニター越しにライブで確認できる形になっており、モニターに、車が故障したり、緊急車両の接近で信号が変わったりする様子が、ステータスとして表示されていた。

セルラーV2Xのライブデモ

 車とインフラの直接通信にはLTEが使われ、5.9GHz帯の周波数を利用することが想定されている。日本では、1月12日にコンチネンタル、エリクソン、日産自動車、ドコモ、クアルコムの6社が共同でプレスリリースを出し、セルラーV2Xの実証実験を行っていくことを発表。クアルコムによると、セルラーV2Xの実験は米国、欧州、中国などでも進められており、世界各国で、検証が行われるようになっているという。

キャリアや自動車メーカー、インフラベンダーと実験が進められている。ここに、日産自動車やドコモが加わる形となる

 また、同社は2015年に、英国チップメーカーのCSRを買収している。このCSRが開発したハイレゾ音源をBluetoothで伝送するコーデック「aptX」のデモを実施。MPEG-Hをソースに使い、3Dオーディオを再生するデモも行っていた。

MPEG-Hの3Dオーディオを試すことができた