Googleのアドブロック版Chrome は、パブリッシャーたちの準備が整っているかどうかを問わず、2018年2月に稼働される予定だ。

Chromeアドブロッカーの速報が2017年4月に流れたとき、パブリッシャーたちは当初懸念を表明した。いまでは、プレミアムパブリッシャーたちはその取り組みを公に受け入れている。なぜなら、悪いユーザーエクスペリエンスは競合他社のサイトを一掃するための圧力になると考えているからだ。しかし、本音を聞けば話は違ってくる。

「いまだに不安を感じている。広告と一緒にサイトが読み込まれ、ページビューを促進するモデルに人々は慣れてきたが、Googleは我々がデジタル体験を優先する必要があるといいだした。それは悩ましいことだが、彼らは強大なので逆らう気にはなれない」と、従来型のニュース・パブリッシャーのエグゼクティブは匿名を条件に語った。

残された不安の中身



Googleはアドエクスペリエンスレポートを作成し、パブリッシャーの自社サイトが用意された基準を満たしているかどうかを確認できるようにしている。ひとつの問題は、パブリッシャーが問題を解決したあとでも、悪質な広告表示に対する警告はGoogleのツールに残る可能性があるということだ。このエグゼクティブが監督しているサイトのひとつは、画面の右上にしつこい動画広告を表示していたことに対して警告を受けた。このサイトは広告を削除したが、警告表示は数カ月にわたってGoogleの一般公開ツールで継続していた。

Googleの広報担当者によると、警告表示は自動的に削除されない。パブリッシャーは、Google Ad Experience Report APIでそのステータスが変更される前に、サイトの再審査をリクエストしなければならない。通常、パブリッシャーのステータスは、新たなサイト審査依頼から2日以内に変更されると、広報担当者は述べている。

パブリッシャーは、通常GoogleのChrome部門と直接接触することはほとんどないと、テック情報サイトであるテックレーダー(TechRadar)のオペレーションおよびマーケティングディレクター、ザック・サリバン氏は述べる。Googleの担当者は、パブリッシャーに対するこれからの変更点とその理由を説明して、パブリッシャーたちの不安を和らげていると、サリバン氏は語る。

Googleを評価する声



Googleの巨大な広告事業と、Googleが既存のアドブロック機能であるアドブロックプラス(Adblock Plus)へ資金を投じて自身の広告がブロックされないようにしている事実を考えると、Chromeの戦略は他社に対する偽善的行為のように感じられる。しかし、Googleは、その広告サプライチェーンの自浄を強いるだけの力を持つ、数少ない組織のひとつであることを評価するものもいる。Chromeの広告ブロック機能は、デジタルパブリッシング業界にポジティブな変化を強いるGoogle流のやり方にすぎないと、デニスパブリッシング(Dennis Publishing)のプロダクトおよびコマーシャルオペレーションディレクターのニック・フラッド氏は語る。

この検索業界の巨大企業が、ドメインのなりすまし(ドメインスプーフィング)や不正な転売の弊害を抑えることを目的としたIAB(インタラクティブ広告協議会)の推奨するads.txtを採用するよう企業に圧力をかけたとき、広告主たちも同様に広告業界に対するGoogleの威力を受け入れた。

メレディス・コーポレーション(Meredith Corp.)のチーフデジタルオフィサー、マット・ミノフ氏は、こうした動きがIABやデジタルコンテンツネクスト(Digital Content Next)のような広告主やパブリッシャーを代表する業界団体によって推進されれば、パブリッシャーたちにとって好ましいだろうと認めている。異なる企業からなる大規模なグループを調整するのではなく、オープンウェブ全体で変更を実施する方が、ブラウザにとってはより簡単だと、ミノフ氏は述べた。

エンターテインメントパブリッシャーでプログラマティックに精通したあるスタッフは、匿名を条件にこう語っている。「Googleがこれを強いる立場にあることを歓迎はしないが、最終的にそれは意義があることだ」。

Ross Benes(原文 / 訳:Conyac)