誰が見てもわかりやすいことが肝要です(イラスト:chepilev / PIXTA)

営業、交渉力などの研修講師として5000人以上を指導してきた大岩俊之氏による連載「入社1年目の営業」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボにより一部をお届けする。

正しい目標設定のための工夫


アルファポリスビジネス(運営:アルファポリス)の提供記事です

こんにちは、ロールジョブの大岩俊之です。営業マンは、営業数字、訪問件数、新規案件数など、売上げに直結するような目標を立てることが一般的です。みなさんは、納得のいく、達成しやすい目標を明確に立てているでしょうか?

会社員として働いていれば、会社の方針に従い、自分自身の目標を決め、その目標が、どれだけ達成できたのかという達成度合いが、ボーナスや人事考課の評価対象になっているはずです。営業マンは、訪問件数の設定や、売上げ目標を持たされるケースが多いと思います。

この目標を設定するときに、会社や上司からの指示や他の人に大きく差をつけようとして、つい達成が不可能に近い目標設定をしてしまうこともあります。内容が具体的ではなく、曖昧なため、何をしたらよいか分からず、達成しにくい目標設定になってしまうこともあります。

目標は、自分が仕事で目指す指針のようなものです。自分自身が頑張れば、達成できるものでなければなりません。そのためには、作成時にいくつかの工夫をしておく必要があります。そんなときは、目標は「SMARTの法則」に基づいて設定すると、より達成しやすくなるでしょう。

「SMART」とは、Specific(目標が明確、具体的)、Measurable(測定可能な)、Achievable(達成可能な)、Realistic(現実的な)、Time-bound(期限のある)の頭文字をとって、SMARTの法則と呼ばれています。

では、どのようにして、目標設定をすればいいのでしょうか?

「SMARTの法則」に合わせた目標設定とは

SMARTの法則に合わせ、「ダメな目標設定」と「よい目標設定」を例に出して話しを進めていきます。

例)ダメな目標設定:昨年より、多くのお客さまを訪問する
よい目標設定:半期(6ヶ月)の売上げ目標3000万円の達成

ダメな目標設定は、なんとなく曖昧なのは分かりますが、よい目標設定のケースでも、この目標設定を見ただけでは、実際にこの目標が達成できるのか、できないのか、設定自体が合っているのか、合っていないのか分かりません。「SMARTの法則」に基づいて、チェックをしていきましょう。

Specific(目標が明確、具体的)

どのような目的があって、目標を設定したか、その内容は具体的になっているかです。

●例1のダメな目標設定の場合、新しいお客さまを獲得するために、新規の顧客を重点的に訪問するのか、既存のお客さまの訪問回数を増やすことで、潜在的なニーズを見つけるのか、方法論を明確にする必要があります。例えば、「新規のお客さまとの取引を増やすため、昨年より、多くの新規顧客を訪問する」とした方が、具体的になります。

●例1のよい目標設定の場合、内容は明確です。しかし、半期で3000万円という数字は、会社の目標やビジョンに合わせて設定したのか、自分への負荷を増やし、成長するために設定したのかなど、数字に対する目的を明確にすることで、より具体的な目標になります。

Measurable(測定可能な)

数字で表せば、たいていは測定可能となります。誰が見ても可否を判断できるようにしないといけません。

●例1のダメな目標設定の場合は、昨年より多くといっても、「どれくらい多いのか?」「その件数は何件なのか?」など、誰が見ても分かるよう数字に表さないといけません。この場合であれば、昨年が「月に100件」ならば、今年は、「月に120件」で1.2倍などと、きちんと測定できる数字にします。

●例1のよい目標設定の場合、具体的な数字が明確なので、これで目標が達成できたか、できなかったのかは、誰でも測定をすることが可能です。

達成が難しい目標では、やる気が失せてしまう

Achievable(達成可能な)

達成ができる目標かどうかです。達成が難しい目標では、やる気が失せてしまいます。

●例1のダメな目標設定の場合、目標自体が曖昧なため、昨年よりも訪問件数が増えれば、目標が達成されたということができますが、このような曖昧な目標設定では、会社に認めてもらえません。前述のように、昨年が「月に100件」でしたら、今年は、「月に120件」で1.2倍と数字に表すことになります。

ですが、問題なのはこの「月に120件」が達成できる数字かどうかなのです。月に20日稼働で、1日6件の訪問です。1件あたり、商談時間が15分と短い「御用聞き」のような営業スタイルであれば可能な数字ですが、私が営業マン時代に経験していた提案企画営業では、1回の商談が1時間はかかりますし、社内準備も多いため、現実的には難しい数字となります。

●例1のよい目標設定の場合は、Realistic(現実的な)とも関連してきますが、「半期(6ヶ月)の売上げ目標3000万円」というのは、達成可能かどうかということです。

会社にもよりますが、上層部から部に売上予算が割り振られ、それを課ごとに分け、個人に割り振られるということがあります。昨年の実績が、「半期で売上げ1000万円」だった場合、今年は、新しく成約した案件が増えていなければ、「半期で売上げ3000万円」という目標数字自体に無理があると言えます。この場合は、再度、上司と話し合いをする必要があります。

私は、電子部品の商社時代、半期で数億円売上げていた仕入れ先との契約が終わることが確実だったにもかかわらず、部の予算が足りないからと、予算を組まれてしまい、大変なことになった経験があります。最初から達成が難しい数字の場合は、自分自身の士気にも影響してきますので、しっかり上司と話し合いましょう。

Realistic(現実的な)

現実的な目標かどうかです。社内評価を上げたいからと、現実的ではない数字目標を立ててしまうことがあります。

●例1のダメな目標設定の場合、昨年が「月に100件」に対して、今年は、「月に200件」で2倍と、非現実的な数字にしてしまうケースです。月に200件であれば、1日に10件の訪問が必要です。配達兼営業のような配達が中心のルートセールスでない限り、難しい数字です。

●例1のよい目標設定の場合、扱う商品によっては「1000万円」が限界なケースもあります。そんな時に、「3000万円」と無理な目標設定をしてしまうと、現実的ではありません。無理をした目標ではないかを確認します。

必ず期限、日付を設定する

Time-bound(期限のある)

必ず、「いつまでに達成する目標なのか?」と、期限、日付を設定します。

●例1のダメな目標設定の場合、この目標には、期限がありません。1ヶ月単位で、昨年より多くのお客さまを訪問する目標設定なのか、6ヶ月単位の合計で、昨年より多くのお客さまを訪問するのかが見えません。

●例1のよい目標設定、6ヶ月で達成するという期限があります。毎月、目標数字を設定して、1ヶ月単位で目標を達成していく方法や、6ヶ月という長いスパンで見て、目標数字を達成していく方法など、さまざまです。

会社から、1ヶ月単位で設定するように指示される場合もありますし、会社からの指示がなくても、1ヶ月単位で目標数字を設定している人もいます。期限が明確になっているので、向かう方向が明確になっています。

このように、目標を「SMARTの法則」に合わせて設定することで、誰が見ても分かりやすく、きちんと評価できる内容になるのです。これによって、業務上で自分が向かう方向が明確化されるため、営業マンの目標が達成しやすくなるのです。

アルファポリスビジネスの関連記事
できる営業マンを真似することが、成功への近道
営業マン必須の「上手な質問の使い分け」
「聴き上手な営業マン」が実践する5つのスキル