グループリーグ突破の条件は(時事通信フォト)

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 6月に開催されるサッカーW杯ロシア大会。日本代表は6度目の出場となるが、日本には1974年(西ドイツ大会)以来W杯に10度“出場”した大ベテランのサッカージャーナリストがいる。FIFA(国際サッカー連盟)からも表彰された取材歴60年以上の“レジェンド記者”は、ハリルジャパンの戦いをどう予想するのか──。

ハリルホジッチ監督が今、考えているのは、グループリーグ(グループH)の3試合のうち『どの試合を勝ちにいくか』でしょう。今の日本代表の力なら、強豪相手でも点を取られないことに専念してスコアレスドローを狙う試合はできる。ただ、グループリーグはそれだけでは突破できない。最低1勝が必要だから、それをどこから勝ち取るか。その戦略をどう練るかが重要になります」

 そう語るのはジャーナリスト・賀川浩氏。昨年12月に93歳の誕生日を迎えた同氏は、西ドイツ大会以降、W杯を10回にわたり現地取材してきた。“現役最高齢サッカー記者”として世界的に知られ、2015年には日本人として初めてFIFA会長賞を受賞した。

 今回日本はコロンビア、セネガル、ポーランドの順にグループリーグを戦うが、賀川氏は意外にも最も格上であるコロンビアと当たる初戦が“勝ちにいく1戦”になり得るという。

「コロンビアにはハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン、26)をはじめ高い個人技を持つ選手が多く、ブラジルW杯では1-4で大敗した相手。調子に乗せたら手がつけられません。ただ、リードされると焦りからプレーが雑になるという南米のチームに特有の傾向が見られます。あえて『コロンビア戦で1勝』に狙いを定める戦略を考えてもいい」

◆ワンチャンスを活かす戦い方

 賀川氏はこう続ける。

「もちろん格上相手に勝つためには、守備を固めるのが絶対条件。アジア予選では、陰のMVPは吉田麻也(サウサンプトン、29)だったと思います。18試合にフル出場し、カードをもらいやすいセンターバックながら警告は1枚のみ。吉田が本大会でも同様の安定感を発揮した上で、川島永嗣(FCメス、34)のスーパーセーブが何度か出て初めて、勝機は見えてくる。

 攻撃では、“ワンチャンスを活かす”ことにすべてを懸けられるかがカギでしょう。一部のヨーロッパの強豪国のように、守りに徹した上で、ボールを奪った瞬間からのカウンターで1点を取り、それを守り切る。そんなサッカーを徹底できれば、勝ち上がるチャンスは十分にある」

 93歳7か月でロシア大会開幕を迎える賀川氏は、今回も現地取材に行きたいと願っている。

「サッカーを通じたロシアと日本の“縁”は意外と深いんです。1964年の東京五輪前は、旧ソ連のクラブチームとの親善試合などで強化が図られ、1968年メキシコ五輪での銅メダルにつながった。日本代表にとっては恩師のような国なのです」

 11度目のW杯取材で、賀川氏は“日本躍進”の記事を書くことができるのか。

※週刊ポスト2018年1月26日号