イベント会場や音楽の練習など、様々な目的で市民に親しまれる現在の大倉山記念館。TVドラマや映画のロケ地になることも/(C)KADOKAWA 撮影=宮川朋久

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1932(昭和7)年まで、東急東横線の大倉山駅は太尾(ふとお)駅という名前だった。さらに2007(平成19)年の住居表示によって、太尾町から大倉山と街の名称も変更された。この大倉山という街や駅の名前は、大倉山公園に建つ「大倉山記念館」が由来になっているという。その「大倉山記念館」ってどんなところ? と、いうことで、記念館について話を伺ってきた。

【写真を見る】天井の木組みが美しいホール。ここの柱も裾細りのプレ・ヘレニック様式になっている/(C)KADOKAWA 撮影=島本絵梨佳

その歴史を紐解くと、1932(昭和7)年4月9日に、実業家・教育者であった大倉邦彦が私財を投じて、神奈川区太尾町(現 港北区大倉山)の丘を東急から買収し、大倉精神文化研究所を設立したのがはじまり。さらに、哲学・宗教・歴史・文化などを中心に世界中の本を収集し、誰もが自由に利用できる無料の図書館も開設したそう。

戦争の被災を免れ、現在もほぼ当時のまま存在感を放つクラシカルな建物は、東京駅などを設計した辰野金吾の弟子である、長野宇平治が設計。古代ギリシャ以前の文明の建築を模した西洋の意匠「プレ・ヘレニック様式」と、東洋の意匠を融合させたデザインが取り入れられ、世界的にも類のない珍しい造りをしているのが特徴だ。

正面玄関の階段を上がり、当時のままという貴重な扉を開けて建物内に入ると、吹き抜けの広々したエントランスホールとなる。ここは、「心の間」と呼ばれ、訪れた人が精神を整えるための空間と伝えられている。真上を見上げるとテラコッタ製の鷲と獅子を模した彫刻がコチラを見下ろすように並んでいる。どの位置に立っても、これらの彫刻のうちどれか1つと目が合うようになっているそう。ここは訪れたら忘れずに見ておきたいスポットの1つだ。

階段を上がった先にあるホールは、かつて講堂として使われていた部屋で、木組みの天井とプレ・ヘレニック様式の柱が特徴。2Fのロビーや廊下に、かつて講堂で使われていた椅子がそのまま置かれていて、現在でも現役で座ることができる。

横浜市指定有形文化財として登録されている歴史ある建物だが、実は、館内の共有スペースは無料で見学できるほか、TVの収録(最近では、「東京タラレバ娘」や「相棒」)などにも活用されている。また横浜市民であれば、横浜市市民利用施設予約カード(はまっこカード)に登録すると、集会室、ホールとギャラリーを低料金で利用できる。楽器の音を出せる部屋もあり、練習やコンサートなどに利用されることが多いそうだ。さらに、大倉精神文化研究所附属図書館も一般公開。哲学・宗教・歴史・文化など貴重な蔵書の閲覧や、貸し出しも行なっている。

また、毎年2月と9月の年2回、普段は利用されている集会室やホールなどを自由に見学できる公開日として「オープンディ」を開催、日頃、非公開の「塔屋」と呼ばれる屋上を見学できる館内ツアーも無料で実施。次回2月11日(日)は、10:00〜、11:15〜、13:30〜の各回45分。予約は記念館の窓口または電話(045-544-1881)にて受付中。また、「大倉山記念館オープンデイ〜おしえて!まちの先生〜」の一環として、茶道デモンストレーションなどのワークショップ¥100なども同時開催される。

この機会に、身近な有形文化財に触れて学んでみよう!

【横浜ウォーカー】(横浜ウォーカー・取材・文=北村康行)