四季報や決算資料を読み込んでも、公には浮上してこない「裏の顔」を持つ企業が少なくない。名証上場のジャニス工業など、その好例。便器や洗面化粧台が、表の顔。タカラスタンダードやLIXILへのOEM供給などがあり、収益的には上々。

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 さて裏の顔だが、建設現場やイベント会場に不可欠な簡易式トイレ用の便器をはじめとした部材の製造。兜町関係者の間では「ジャニスは隠れた好材料銘柄」などと呼ばれてもいる。一口で言えば、簡易式トイレの従来の主役「和式ポットン便所」が「洋式簡易水洗トイレ」にその座を奪われつつあるからだ。兜町筋の説明は具体的にこんな具合だ。

 「近年建設現場・イベント会場・公園などの仮設トイレの主流は洋式簡易水洗トイレ。ゼネコンや自治体に問い合わせれば、潮流は容易に確認できる」。

 「リニア新幹線の工事が始まれば、洋式簡易水洗トイレ需要の流れは加速しよう。リニア工事の現場は殆どがトンネル内。閉鎖空間。衛生性が強く求められるからだ」。

 「そして最大の材料は、2020年の東京五輪・パラリンピック。競技場の内外に観戦客が密集する。仮設トイレの増設が必須になる。そしてなんといってもポイントは、外国人。彼らにはボットン便所では対応できない。馴染んでいる水洗トイレであることが最低条件。そうでなくては、日本の文化の低さにも繋がりかねない」。

 実は簡易式トイレの大手格としては、ハネマツや日野興行が存在するが非上場。かつ洋式簡易水洗トイレの便器など諸部材は目下、ジャニス工業の独壇場。代理店経由で最終商品を扱う業者に売られる流れだが、「リニア新幹線の工事や東京オリンピックは御社の収益を大きく押し上げる効果をもたらすのではないか」という質問に同社の答えは「さあ」とまるで他人事の風。

 だがどうやら相場は依然として薄商いだが、昨年末「ヒゲ長な大きな陽線」がついた。以来、徐々にではあるが株価は上向き傾向。どうやら「裏の顔」の材料性に気付き始めたようではある。