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Buvette

レストラン

アメリカ/ニューヨーク

住所:42 Grove St, New York City, NY 10014-5310

電話:+1 212-255-3590

営業時間:[月〜金]7:00-26:00 [土日]8:00-26:00

この3月に日本に進出する人気のビストロ、先んじてニューヨークで堪能してきた。



以前本連載の「Blue Hill at Stone Barns」の回でも報告したが、とにかく今NYは食が熱い。アメリカ人の生活に対する意識の変容ぶりがそれを牽引しているのだけど、やはり彼らはパワフルだ。ファッション業界の人達と話していても話題はもっぱらグルメ・ディスティネーション。

特に新しいスタイルのフードコートに皆夢中のようで、このトレンドはここで追って紹介できればと思う。また日本でも最近になってUberEATSが上陸し話題となったが、その他にもCaviarなど様々オンラインのフードデリバリーサービスがあり隆盛を極めている。自前で出前のサービスが提供できない美味しいレストランの料理でもピックアップと配達だけやるサービスと融合することで手軽に味わえる。

またランチ時のオフィス街では配達してもらわずともオーダーだけアプリ等で済ましておいてお店でピックアップするサービスも流行っているようだった。便利なものは徹底して利用。なんにしても流石のスピード感だなと感心した。

さて、この3月に日本にも進出するという人気のビストロ「Buvette」を訪れた。ウエストヴィレッジにあって、朝オープンしたら深夜まで通しで営業するオールデイダイニング。



好きな時間に自由に楽しむ趣向のお店なのだけど、さすがに夜は行列が絶えない。予約は不可。正確にいうと並んでいられる場所もないので、まず店に来て名前と人数を告げ、だいたい席に着けそうな時間を聞いてから再訪するスタイル。

オーナーシェフのジョディ・ウィリアムズは、ニューヨークでキャリアを積み、イタリアやフランスでも修行。ニューヨークに戻った後は人気店「Il Buco」や日本でもお馴染みの食のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」の共同経営者であるジョルジオ・デルーカ氏の店「Giorgione」などでシェフを務めた。そのキャリアは「Buvette」の料理に遺憾無く発揮されている。



どれもポーションは小さめ。なので、いろんな味を楽しむことができる。外連味(けれんみ)の無さが、フランスのどの家庭でも食べられているような伝統料理を思わせるが、もちろんそのままではない。



ビーツのサラダにはサワークリーム。キャロットラペにはナッツが散りばめられるなど技あり。チキンの煮込みは滋味溢れ、まるで和食の肉じゃがの様なホッとする味。



ロブスターのシチューはポットパイに仕上げられ供される。この日のスペシャリテであるミニハンバーガーは、フォカッチャで挟まれ、焼き加減はちゃんとミディアム。極細のフレンチフライとともに。



そしてスタッフは押し付けがましくなくフレンドリーだ。カジュアルでちょっと古めかしいインテリアと相まって、まるで料理上手な海外の友人にもてなされているような気にもなる。

この日、途中でジョディ本人が我々のテーブルに現れた。同席していたこの店のファンである現地在住の友人は、興奮気味で如何に自分がこれらの料理、そして系列のお店までをも愛しているか彼女に熱く語っていた。それを満足げに聞く姿はこの店の暖かさに通じるものだった。



気取りなく特別ではないけれど、ちゃんと美味しい料理。派手さはないが真っ当なものを提供し続けることが、目紛しく変化し続けるニューヨークでここまで支持されている。このままの姿で日本に来てもらいたいものだ。期待せずにはいられない。

梶原由景(かじわらよしかげ):幅広い業界にクライアントを持つクリエイティブ・コンサルティングファームLOWERCASE代表。デジタルメディア『Ring of Colour』などでオリジナルな情報を発信中。

※『デジモノステーション』2018年2月号より抜粋。

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