『あんステ』開幕! 前山剛久×安井一真が紐解く、最強ユニット・fineのヒミツ

『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』(通称『あんステ』)で、アイドルユニット・fine(フィーネ)のメンバーを演じる前山剛久と安井一真。fineは作中で“常に勝利をおさめてきた夢ノ咲学院最強ユニット”と謳われる。初登場となったシリーズ2作目から1年が経ち、今作ではメンバー間の稽古にも変化があったという。4人で作り上げたユニットの姿、「性格は4人とも異なる」というメンバーの一面…。途切れることのないトークから、ふたりの『あんステ』に懸ける熱量の高さを感じた。

撮影/川野結李歌 取材・文/渡邉千智 制作/iD inc.
ヘアメイク/松野亜莉沙

『〜Take your marks!〜』を経た、稽古時の変化

1月19日からはじまる、『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜To the shining future〜は、2016年から上演されている『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』のシリーズ4作目になります。おふたりが演じるキャラクターが所属するユニット・fineは、2作目からの参加ですが、今作の台本をご覧になった印象はいかがですか?
前山 原作のゲームアプリで描かれた、メインストーリーの最終決戦が描かれるということもあって、fineとしては今までで一番見せ場が多いなという印象です。
安井 そうですね。
前山 2作目の『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』〜Take your marks!〜と、3作目のスピンオフ『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』〜Judge of Knights〜で、役それぞれの見せ場はいろいろとありましたが、今回は、ユニットとしての活躍が見どころになると思います。
安井 はい。今回はfineとしてのお芝居パートも、これまでと比べると一番多いですね。
▲前山剛久(天祥院英智役)
▲安井一真(日々樹 渉役)
4人組ユニットのfineで前山さんが演じるのは、病弱ながら超越的な魅力を持つ学院の生徒会長で、リーダーの天祥院英智(てんしょういん・えいち)。安井さんが演じるのは、独特な世界観を持つもパフォーマンス力はピカイチな日々樹 渉(ひびき・わたる)です。完璧なユニットだからこそ、よりレベルの高いものを求められ、プレッシャーが大きいのかなと思うのですが…。
前山 僕は、『〜Take your marks!〜』から公演を重ねて、英智のことを知っていくにつれて、緊張やプレッシャーが大きくなってきていますね。声のトーンや立ち居振る舞いなど、「こうしたほうが英智らしい」というのが、経験を積んでいくなかで増えてきて。そこから外れたら英智ではなくなってしまう…というプレッシャーと日々、戦っています。
安井 僕は逆で、やればやるほど楽しくなってきました。渉はずっとテンションが高いキャラクターなので、テンションを下げることなく、いかに自分が楽しく演じるかが重要だなと思っていて。彼は演劇部で、常に何かを演じている意識なんです。僕としても、“何かを演じている人を演じる”という意味ですごく面白さを感じています。
そういった緊張や楽しさを心に留めていらっしゃると、同じfineメンバーである、英智と同じ生徒会に所属する伏見弓弦(ふしみ・ゆづる)役の野嵜 豊さん、姫宮桃李(ひめみや・とうり)役の星元裕月さんの4人での稽古にも、より熱が入っていそうですね(※取材が行われたのは12月下旬)。
安井 はい。みんな高い集中力を持って、めちゃめちゃ張り切って稽古に臨んでいます。
前山 そうだね。僕としては、とくにfineの見せ場が多いので、稽古に入る前は今まで以上にユニットとして厳しく臨まないといけないのかなと思っていました。でも、稽古に入ってみて…僕から3人に、芝居に関してはこれまでと比べてもアドバイスをしていないよね?
安井 そうですね(笑)。
これまでは、前山さんから安井さん、野嵜さん、星元さんの3人に指摘やアドバイスをしていたのですか?
前山 『〜Take your marks!〜』のときは、3人とも芝居をはじめたばかりだったということもあって、頑張って一緒に芝居を作っていかないと! と思っていて。芝居に関しては「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」っていうことをよく言っていたんです。
それが、今回ではあまり言わなくなったのには、何か変化が…?
前山 1年前の『〜Take your marks!〜』、半年前の『〜Judge of Knights〜』を経て、それぞれ役への愛着が深まっているし、さまざまな現場で経験を積んで各々スキルアップもしている。僕が何かを口出しするより、自分たちで考えたプランで作っていったほうがいいものが生まれるんじゃないかな、と。もちろん、3人を信頼しているのも大きいです。実際、稽古の仕方とか発言も変わってきているよね?
安井 そうですね。「こうしたらいいんじゃないか」と発言ができるようにもなりました。前までは、はじめての経験が多かったこともあってイチから作っていく感覚でしたけど、今回は稽古の時間も多くないので、できるだけムダを省いて、最速でいいものを作れるように稽古に取り組んでいます。
前山 どうしても稽古時間が限られているので、一回一回の稽古でベストを出していかないといけないんです。でも、『あんステ』は本番が開けて、お客様の反応を見るまではわからないところもあるので…。
安井 (強くうなずいて)そうなんですよね! 稽古場ではそんなに意識していなかったところで、お客様が反応してくださることも多いです。そういう反応を見て「次はこうしてみようかな?」と考えることもあって。
前山 そうそう。お客様の反応で芝居のニュアンスやライブパフォーマンスが稽古時から変わるのは『あんステ』ならでは。だからこそ、稽古場でベストを出しつつ、本番が開けてから対応する柔軟性も持ちたいなと思っています。まだ稽古段階なので、今作ではどんなfineになるかわかりませんが、僕らなりのものを作っていこうという気持ちでいます。

「どのユニットより、一番ダンスの練習をしています!」

今作では、『〜Judge of Knights〜』で橋本祥平さんが演じたKnightsの月永レオを除き、これまで登場した全8ユニット、30人が集結するんですよね。個性豊かなユニットが登場するなかで、やはり稽古場でもほかのユニットの存在は気になるものですか?
前山 気になりますね。それぞれ個性も楽曲の雰囲気も違うけれど、そのなかでライバル意識は少なからずあると思います。お客様に「fineが一番よかったね」って言ってもらえるようにするのはもちろん、ほかのユニットのメンバーからも褒められるような芝居やパフォーマンスを見せないといけないなという思いは毎回あります。
安井 みんな口には出さないけど、胸の内でたぎらせているものはあると思います。稽古を見ながら「紅月やるじゃん…」「Trickstarめっちゃカッコいいじゃん…」みたいな。みんな、ほかのユニットに負けたくない気持ちはとても強い。いい意味で、それぞれ自分のユニットが一番だって思いながら稽古しているなというのは、すごくわかりますよね。
前山 そうだね。ライブパフォーマンスでは、曲の振付がひと通りついて、ユニットで稽古をしたあと、発表会があるんですよ。
安井 あそこが間違いなく、一番緊張しますね…。
演出家さんはじめ、ほかのユニットのキャストさんも見ているなかで披露するんですね。
前山 稽古段階であっても、そこでいいものを見せないと。「あのパフォーマンスだったら、(自分のユニットが)勝てるな」って思われるのはくやしいので。
安井 そこでバーンと見せたい、というのはありますね。
前山 それこそ、“ドリフェス”(※『あんさんぶるスターズ!』でのユニット同士のライブバトル)の感覚に近いのかもしれないです。
安井 『あんステ』の恒例行事みたいなものですね(笑)。
歌って踊るユニットごとのライブパフォーマンスは、お客様も参加して盛り上がる『あんステ』ならではのものですし、力が入るのもわかります。芝居面は個人のプランで作っていくとお話がありましたが、ライブパフォーマンス面はどうやって作っているのでしょうか? 4人で話し合いもされますか?
前山 そうですね。ダンス面は一番話し合うかも。
安井 たしかに。
前山 fineはユニゾン(※動きを全員で合わせること)が大事だと思っているので、そこに関しては「こうしたほうが綺麗に見えるね」など話し合って、日々改善しています。
安井 fineはみんなダンスのカウントを早く取るクセがあるので、「ここはしっかり合わせよう」とか…。
前山 練習用に録った動画を見ながらね。もちろん、ほかのユニットもたくさん練習していますが、fineがダンス練習を一番多くやっているかも。
安井 はい! その自信はあります!
前山 公演の本番前も、曲を最初から流して楽屋で練習しているくらいです! 本番前に4人で合わせてやるのは僕らだけかな。
安井 『〜Judge of Knights〜』のときは僕らだけでしたね。
公演ギリギリまで、4人で合わせてダンス練習をしているんですね。
前山 はい。まあ、僕が異常に心配性ということが大きいのですが(笑)。
安井 それはありますね(笑)。
では、前山さんから「練習しよう!」と声がかかるのですか?
安井 そうですね。僕は座って、曲を聴いて頭のなかで振りを思い返していたりするんですが、本番5分前とかに「…(ダンス練習を)やっとく?」と前山さんから声がかかるので、「やっておきましょう!」と。
前山 絶対に言っちゃうんですよね。「やっとく?」って(笑)。
安井 一度、「公演の疲れもあるし、休むか、練習するかどっちにしようか?」と言ってくださったこともあったんですけど、「だったら、やりましょう!」となって。何だかんだ、毎公演、本番前は必ず4人で合わせますよね。
前山 ずっとやってるね(笑)。役者ってどちらかだと思うんですよ、振り返ってやらないで本番でバシッと決める人と、完璧に振り返る人。僕はビビリなのもあると思うんですけど、ギリギリでも振り返ってやっておきたいタイプなんです。fineは学院の頂点に立つ最強ユニットということもありますし、やっておいて損はないなと思っています。

自由奔放な4人…でも「オンとオフがはっきりしている」

『〜Take your marks!〜』のときに、4人でfineの関係性を作るうえで大変だったことや苦労したことはありましたか?
前山 んー…。みんな歳がバラバラで、それぞれ性格は違いますが、苦労はしなかったですね。
安井 たしかに。何て言うんですかね。個性は4人で全然違うんですけど、根っこの部分が似ているというか。
前山 そうそう。言葉で表現するのが難しい。…みんな、根暗なタイプなんですかね(笑)。
安井 (笑)。
前山 元気におしゃべりもするんですけど、すごく真面目なのかな? 楽屋も一番綺麗だし…。
安井 掃除もずっとしてますしね(笑)。
前山 芝居やパフォーマンス面での苦労はありましたけど、関係性を作るうえでは、根本的な性格が一緒だったこともあって、苦労はしなかったし、そこがfineにマッチしたのかなと思います。
根の部分で感覚的に合うものがあったのですね。
安井 それでいて、4人とも自分の世界観がある気がします。
前山 わかる。ひとりひとりの個性が強いね。
安井 みんな自由奔放なので、4人で一緒にいるときもあるのですが、それぞれほかのユニットのメンバーと過ごしている時間のほうが多かったりすることも(笑)。
前山 意識していなかったら、別のユニットのメンバーとずっと話をしている。
安井 それでいて、ダンス練習など4人でやらなきゃいけないときはカッチリ締まる。オンとオフがはっきり分かれているんです。僕はそういうスタンスがすごく好きなので、とてもやりやすいです。
前山 そうだね。
安井 ただ、みんな自由なので前山さんが「ここでまとめる!」というタイミングでパッとまとめてくれます。そうしないと、みんなほわ〜とどこかへ行っちゃうので(笑)。
それは、前山さんがリーダーとして意識してやっていることですか?
前山 たしかに、そこは気をつけているかもしれないです。「やるよ!」って言わないと、みんな自由だから別々になっちゃうんですよね(笑)。
安井 ただ、別々に過ごしていても絶対に一緒にいる時間はありましたよね。ご飯に行ったり…。
前山 稽古終わりは一緒に帰ったりね。
安井 はい。ちゃんとユニットでいる時間を作ってくれて、前山さんはキッチリ締めてくれるんです。
前山 でも、『あんステ』のいいところなんですけど、面白いことに稽古後は自然とユニットごとに帰るんですよ。
安井 あはは、そうですね。
前山さんのブログでも、稽古の帰りに前山さん、安井さん、星元さんの3人でイルミネーションを見たお写真が投稿されていました。
前山 あのときは豊がいなかったのが残念でしたけど。
安井 あいつは自由度がより高い男なんです(笑)。僕らが自由度「5」だとしたら、あいつは「8」くらい。
前山 ははは! 今度は4人で見に行きたいね。
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