全体に市松模様や花模様があしらわれた「ジャパンカー」。制作チームの学生に、自分が描いた花模様を指し示してもらった

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 これが本当の「日本車」だ――。

 12日に千葉・幕張メッセで開幕した東京オートサロンに、「和の魅力」を一台に凝縮したド派手なクルマが出展されている。

 トヨタ自動車のスペシャリティーカー「セリカ」(1999年式)をベースに、トヨタ東京自動車大学校(東京都八王子市)の学生9人が約4カ月かけて制作。「ジャパンカー」と名付けた。

 まず目を引くのが、屋根に載っている高さ約70センチのお城の模型だ。ピンク色を基調に、天守の上には金ぴかのトヨタ車のエンブレムが飾られている。自動車パーツにも使われる繊維強化プラスチック(FRP)の板を加工して組み上げた。座席カバーは、本物の着物を縫い直した本格的な和柄仕様。後部座席は畳敷きで、運転席のシフトノブにはけん玉を取り付けるといった遊び心が詰め込まれている。

 中でも力を入れたのが、ジャパンカーの和風ぶりを印象づける車体塗装だという。

 東京五輪のエンブレムにも採り入れられた市松模様で、全面を大胆に彩った。さらに、松や鶴などが丹念に描かれている。

 助手席側のドアに花を描いたのは、タイから留学中のタノンブン・オラワンさん(25)。「車の塗装で筆を使ったのは初めてでした」と話す。

 特殊な技術も使った。

 屋根を泳ぐ金魚は、わずかに膨らんで描かれている。手法を試行錯誤した結果、塗料を何度も塗り重ねて凹凸を作り出した。

 ボンネットは赤く透ける塗料で塗られており、その下にうっすらと市松模様が見える。下地の鉄板に紙ヤスリをかける際、場所によって向きを変えることで光り方に差をつけ、一つずつ模様を描いていったという。担当した野口和樹さん(21)は「制作途中で金属板がさびてしまい、作業をやり直すトラブルもありました。合計10時間は紙ヤスリをかけたでしょうか」と笑顔で苦労を振り返った。

 タノンブンさんも野口さんも、今春に卒業する予定。すでに自動車整備士としてトヨタなどへの就職が決まっている。タノンブンさんは「ジャパンカーが、東京五輪でも活躍してもらえたら」と話していた。(信原一貴)