『廣一涼麺』は、シンプルだが濃厚な涼麺が人気。食べ歩きの基本は大小があったら「小」を選ぶこと。1皿50元

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台湾と言えば小籠包。そうでなくても北京ダックや肉まんなど、炭水化物系の粉ものが多いと思われがちな中華料理。

【写真19枚】美味しそう!な台湾麺、おつまみ、店の外観を写真でチェック

だが台湾では意外にも麺率が非常に高い。台湾で食べ歩き取材をしていると、意識しなければお米のごはんを口にできないほど麺中心の食文化だ。

それだけに麺の種類も実に豊富。今回は台北および台北近郊で押さえておきたい麺処を7店ピックアップした。

涼麺(リャンミェン)

涼しい麺というわかりやすい名前は、台湾で唯一の冷やし麺を表す。だが、冷やし中華ではない。冷やし中華が日本のオリジナルであることはよく知られているが、台湾では冷やし中華は日本料理店に行かないと食べられない。

涼麺とは、いわゆる油麺(ちぢれ麺)にモヤシ、そぼろ肉、キュウリなどをトッピングしてゴマダレをかけたシンプルなもの。夏場になると屋台式の涼麺もよく見かけるが、食堂では一年中食べられる。シンプルなだけに、各店オリジナルのゴマダレが味の決め手となる。ピリ辛やニンニク風味など、工夫をこらしたものもある。

龍城市場というごぎれいな朝市の一角にある『廣一涼麺』は行列必須の人気店。濃厚なゴマダレにニンニクのパンチが効いた癖になる味だ。

廣一涼麺(グァンイーリャンミェン)
台北市光復北路190巷39號(龍城市場内110) TEL:0936-670519
7:00〜13:30 月曜休

炸醤麺(ザージャンミェン)

台湾ではなく中国東北地方のオリジナル麺である炸醤麺。日本ではジャージャー麺という読み方で知られている。

夜市ではなく、中国東北地方料理の専門店や、同じ中国発祥の餃子店などで多く見られる。

麺線や担仔麺など、細めの麵を使う台湾料理と比べると、中国本土の麺は太くてボリュームもたっぷり。台北駅の近くにある『豪季水餃専売店』は麺と言っても限りなくうどんに近い食感。

もちもちの太麺に濃厚な肉そぼろソースがよく絡んで、満腹感も満足感も申し分ない。この店はそもそも水餃子専門店なので、うどんと同じもちもち食感の水餃子もおすすめだ。

豪季水餃専売店(ハオジースエジャオジュアンマイデェン)
台北市忠孝西路一段29巷3號 TEL:02-2389-0100
10:30〜20:00 日曜休

意麺(イーミェン)

台湾の麺類は多様だが、そのなかでも筆者がこよなく愛するのが意麺と呼ばれるちぢれ麺。鴨の卵(または鶏の卵)を生地に練り込んだクリーム色の平たい麺で、魯肉飯の上に乗るようなそぼろ肉のソースがほどよく絡む。

湯麺と乾麺の二種類があるが、乾麺のほうが人気だ。小さな丼にひとつかみの乾麺。ちょっとお腹が空いたときの間食にちょうどいい。

台北の臨江街夜市のそばにある老舗『老店頭台南意麺』はなんと24時間営業。麺だけでなく豚モツのスライスや滷味と呼ばれる醤油煮込みの小皿も絶品だ。

老店頭台南意麺(ラオデェントウタイナンイーミェン)
台北市通化街65號 TEL:02-2700-0010
24時間営業 無休

牛肉麺(ニョウロウミェン)の白

台湾を代表する麺料理、牛肉麺。

無数にある牛肉麺の店のなかから、コスパ最強を選ぶとしたら、延三夜市の『汕頭原汁牛肉麺』屋台だろう。

1杯150〜200元が相場の牛肉麺を、この屋台ではなんと1杯70元で食べられる。それだけに常連客で常に賑わっている。

通常、牛肉麺は紅焼(赤=やや辛い醤油系スープ)と清燉(白=牛骨ダシの澄んだスープ)の2種類があるが、この店の看板麺はやや赤寄りの白。

肉は柔らかく、麺もしっかりとコシがあり、スープはあっさりしていながらもダシがきいていて、ほんのり漂う薬膳の香りが深みを添えている。

汕頭原汁牛肉麺(サントウユエンジューニョウロウミェン)
台北市延平北路三段60號 TEL:02-2557-6709
17:00〜22:00頃 土日休

牛肉麺(ニョウロウミェン)の赤

牛肉麺の白(清燉)を選ぶなら、筆者のお気に入りは北投にある『志明牛肉拉麺』。台北市牛肉麺大会で第3位を獲得したこともある実力店だ。

MRT淡水線北投駅のすぐそばにあり、ライバルの呉家牛肉麺と背中合わせで営業しているのがおもしろい。

やはり赤と白があり、どちらも人気なのだが、おすすめは断然「白」だ。赤と白で肉の種類が違うのだが、白は柔らかなバラ肉を使っており、ホロリと口の中で崩れる。スープは透明であっさりしていて、台湾バジルがインパクトになっている。

志明牛肉拉麺(ズーミンニョウロウラーミェン)
台北市中央北路一段228巷3號 TEL:02-2892-9758
11:00〜0:00頃 無休

米苔目(ミータイムー)

台湾の麺文化のなかでもひときわ風変わりな見た目の米苔目。

丸い穴の開いたおろし金のような器具を使って、米の粉で作った生地をトコロテンのように押し出すことで、丸くてふわふわした麺ができる。これをあっさりとしたスープで煮込めば、体にやさしい朝ごはんになる。

台北から少し足を伸ばして基隆を訪れてみよう。基隆駅の裏手にある安楽市場の廟前には、地元の人たちで朝から賑わう名も無き米苔目の店がある。

簡易テーブルと椅子だけの店構えだが、お母さんと小さな子供や老夫婦などが仲良く米苔目をすする姿は微笑ましい。

無名の米苔目の店
基隆市安一路2號前(安楽市場福徳廟前) TEL:非公表
7:00〜13:00 無休

粿仔湯(グオザイタン)

基隆まで足をのばしたら、もう一品、ぜひ食べておきたい幻の麺がある。米やもち米を原料とした、きしめんのような平たい麺だ。

台湾の屋台や食堂はテイクアウトできるのが普通だが、この店の麺はテイクアウト不可。添加物やつなぎをいっさい加えないこだわりの製法なので、テーブルに置かれてすぐに食べ始めないと味が落ちてしまう。

テイクアウト禁止は店長のこだわりというわけだ。

なるほど、麺は米が豊かに香り、とろけるように柔らかい。この店は、あっさり味の麺のほかに、豚モツのスライスも絶品。基隆ならではの手作りちくわも食感が楽しいので是非食べておきたい。

巷頭粿仔湯(シャントウグオザイタン)
基隆市安一路100巷31號 TEL:02-2423-5740
9:00〜14:30/17:00〜22:30 不定休

※今年の5月〜7月、名古屋の栄中日文化センターで私、光瀬憲子の台湾旅行講座(計3回予定)の開講が内定しました。詳細は追ってお知らせします。