弁護士・柳原桑子先生が堅実女子のお悩みに答える連載。今回の相談者は米田彩子さん(仮名・35歳・食品メーカー勤務)。

「最近、女性が男性から“ブス”“デブ”“結婚できない”などの暴言を吐かれたことが、セクハラでは無いかと話題になっていますよね。私は東京生まれ・東京育ちで比較的リベラルな環境で育ってきたので、女性を見下すような発言をしたり、むやみに性的な欲望の対象者とする人が周囲にいませんでした。

この度、私が勤務する会社の地方支店にヘルプで行くことになりました。期間は半年間です。今、私は地元のスーパーマーケットや食品店に営業をする仕事をしているのですが、大口取引先の50代の男性担当者に衝撃を受けると同時に、怒りと無力感を覚えています。

相手は、東京で大学時代を過ごしてきたのが自慢のバブル世代。女性に対して“口説くのが礼儀”と考えているようで、私の子とを“彩子ちゃん”と呼び、なぜ独身なのか、彼氏はいるのか、結婚の予定があるのかなど聞いてきます。

先日は、2人で話していたのですが、“彩子ちゃんみたいにかわいい子だと、部屋にカギをかけたくなるよな”など、冗談交じりで言われ恐怖を覚えました。 飲みに誘われることはあっても、体を触られたりすることはありません。だから誰かに相談しても“自意識過剰じゃない?”と言われることは目に見えています。

でも、その取引先男性のちょっとした言葉が激しいストレスになっているのは事実です。よい対策方法を教えてください。そして、この場合で私が体調を崩したら、法的手段に訴えることは可能なのでしょうか」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

女性に対して、そのような会話をすることが、相手の女性への“親しみを込めたお世辞”と考えている世の男性もいるようです。

しかし、あなたが不愉快に感じれば、それはセクシャルハラスメントとなります。

セクハラはその人の主観による部分が大きく、行為をする者とされる者の感じ方によっても、また両者の関係性によっても違いが生じてきます。

まず、あなたがすべきことは、自分の会社の周囲の人に相談することです。

相手はクライアントということもあります。その前に、あなたが我慢を重ねることはありませんし、我慢を重ねた結果、何らかの不用意な行動をとらざるを得なくなり、あなたの会社と相手の会社の関係に変化が起こる可能性もあります。

ひとりで抱え込んで判断するのは適切ではありません。

まずは直属の上司に相談し、担当を変更してもらうとか、訪問時などは複数人でクライアントと面接する等対策を考えてもらってはどうでしょうか。

社会的な力を振りかざし、個人的な領域に踏み込むのは、セクハラやパワハラに当たるケースが多い。



■賢人のまとめ
セクハラ、パワハラ問題は自分で抱え込まず、周囲の人と情報を共有するところから解決の糸口が見つかるケースも多いです。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/