平昌冬季五輪を「人質」に北朝鮮ペースで進んだ南北会談。北朝鮮の五輪参加確約に安堵する文在寅政権に対し、韓国紙は「本当に重大な問題は北朝鮮の非核化」「国際社会との協力を乱す結果を招いては」などと、くぎを刺している。写真は北朝鮮。

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2018年1月13日、平昌冬季五輪を「人質」に北朝鮮ペースで進んだ2年ぶりの南北高官級会談。北朝鮮の五輪参加確約にひとまず安堵(あんど)する文在寅政権に対し、韓国紙は「本当に重大な問題は北朝鮮の非核化」「国際社会との協力を乱す結果を招いてはならない」などと、くぎを刺している。

朝鮮日報は「南北会談、平昌を越えて核廃棄につなげられるか」との社説を掲載。まず「北朝鮮がなぜ『平昌五輪に参加したい』と突然言い出したのか、その理由はみんな知っている。南北対話を望む韓国政府と北朝鮮の核の廃棄を望む米国政府の間を引き離す契機として活用しようというのだ」と指摘した。

さらに「本当に重大な問題は北朝鮮の非核化だ。北朝鮮が平昌五輪に参加したからといって核を放棄するはずはない」と説明。「(会談で)韓国側は北朝鮮に向けて非核化を強く提起することはせず、形式的に触れる程度にとどめた。にもかかわらず、北朝鮮側の団長は非核化への言及に強い不満を表明したという。北朝鮮には核を廃棄する考えもなく、非核化問題を韓国と話し合う気もない、という意味だ。これが本当の現実だ」と強調した。

その上で「スタートした南北対話を北朝鮮の核廃棄に向けた交渉につなげられるよう、最善を尽くさなければならない。北朝鮮にとっても、その道しかない」としながらも、「韓国政府は南北対話の目的が北朝鮮の核廃棄だという事実からそれてはならない。北朝鮮が核廃棄対話に応じない場合の対策も準備しておくべきだ」と論じている。

東亜日報も社説で「北朝鮮がこのように大々的な平和攻勢を仕掛ける意図を考えなければならない」と前置き。「対北圧力で隙を与えまいとする米国と韓国を仲たがいさせようとする北朝鮮の思惑を忘れてはならない。南北関係の改善は南北だけの問題ではない。南北関係改善に過度な意欲を見せて、国際社会との協力を乱す結果を招いてはならない」と北との対話に前のめりになりがちな文政権に注文を付けている。

同紙は北朝鮮に対しても「最後に残った大陸間弾道弾(ICBM)の完成のための時間稼ぎの平和ジェスチャーではないと、国際社会に信頼を与えなければならない」と忠告。「北朝鮮は平昌五輪参加を国際的孤立から脱する出口としなければならない」と呼び掛けている。

一方、ハンギョレ新聞は社説で「米国のトランプ大統領が『南北対話100%支持』を明らかにしたことは、この間、朝米対決で出口を見いだせなかった南北関係と朝米関係に大きな変化が起きる可能性を見せる信号と言える」と評価。「知恵を集めれば、今回の会談が対決の悪循環を乗り越えて、朝鮮半島の平和にとって転機になりうるという期待を高める友好的な雰囲気だ」と対話の継続を主張している。(編集/日向)