ルイ・ヴィトンが旅行かばん追跡タグEcho開発。IoT無線規格Sigfoxで世界中の空港をカバー
ルイ・ヴィトンが、預け入れた旅行用キャリーバッグの現在地をスマホで確認できる発見できるトラッカー『Louis Vuitton Echo』を開発したことが分かりました。

Echo はスーツケースの内側にセットするスティック型のデバイス。スマホと連携することで、チェックインしたラゲージが世界のどの空港のどこにあるのか、第三者が開閉したかどうか、アプリから確認できるようになります。

【ギャラリー】ルイ・ヴィトン Echo ラゲージ追跡デバイス (4枚)



荷物を探したり、置き忘れを防止するデバイスにはいろいろな種類があり、Bluetooth や携帯電話ネットワークを使うもの、GPSや基地局ベースで現在地を確認できるものなど、各社から商品化されてきました。

ルイ・ヴィトンが準備中の Echo は、ネットワーク技術に Bluetooth でも WiFi でも3G / 4G でもなく、最新のIoT機器向け小電力広域無線(LPWA)規格のひとつ『Sigfox』を採用する点が特徴です。

Sigfox は免許不要の920MHz帯を使い、基地局につき数十kmの広い通信範囲と、低速のかわりに非常に低い消費電力、安価な通信コストという特徴を備えたIoT / センサー向けのネットワーク。

従来のいわゆるトラッカーデバイスには、大別してBluetoothでスマートフォンと直接通信するタイプと、3G/4Gなどセルラー通信ができるタイプがあります。

Bluetoothタイプはコイン型電池でも数か月使えるほど低消費電力で充電の面倒がなく、本体も財布に入るほど小さくでき、スマホと直接つながるために月額の利用料金が要らないといったメリットがあります。

一方で、通信可能な範囲はせいぜい数mから数十m程度、圏外に離れるともう見つけられないことが弱点。こうした性質から、位置情報トラッカーというよりも、置き忘れ防止タグや室内で見失ったときに探す用途に使われています。

3G / 4G対応タイプのトラッカーは自力で携帯電話の基地局まで接続できるため、離れてしまっても携帯電話の圏内ならば通信でき、基地局ベースやGPSで現在地を報告できるのが利点。

反面、消費電力が大きく、バッテリーの容量や測位・通信頻度によるものの駆動時間は一般に時間単位、長くても週単位しか保たず、また携帯ネットワークの利用プランを契約して、利用期間に応じある程度の料金を支払う必要があります。

対する IoT 向けの小電力広域(LPWA)無線規格ならば、高速な大容量データ通信ができないかわりに、小さな電池でも数か月や数年使える、通信費用が従来のセルラーネットワークよりは安くできるといった特徴があります。

LPWAにはSigfox以外にも複数の規格があり、それぞれ得手不得手はありますが、現在地の情報だけを送ればよいトラッカーでの利用に理想的です。



Echo はまだ商品として正式に発表されておらず、現在は米国で無線製品に認可を与える役所FCCから申請書類が発見された段階。しかしルイ・ヴィトンは昨年来、「行方不明にならないコネクテッド・ラゲージ製品」の発売を予告していました。

申請文書からみる限り、 Echo は長さ10数cm程度の角柱状。内蔵の充電池をマイクロUSBで充電する仕組みで、バッテリー駆動時間は最長6か月とされています。製造するのはフランスのIoT機器メーカー Axible。

Sigfox ネットワークの位置情報を使うことで、いまラゲージがどのあたり、どこの国のどの空港ににあるのか、スマホアプリで確認できる仕組み。

具体的にどの精度が期待できるのか、たとえば空港の何番のバゲッジクレームに出てきたのか、まで分かるのかは否かはまだ不明です。

預け入れ後は自動で機内モードになり電波を止め、着陸後にオンラインになりアプリに通知が届くとされています。

Echoが対応するのは「世界の主要な空港」。具体的なリストはまだありませんが、Sigfox自体は現在36か国で、人口にして7億人をカバー中です。日本国内では、京セラコミュニケーションシステム (KCCS) 社がすでに提供しています。
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Echo は「3年分の利用料金が本体価格に含まれる」とされていますが、肝心の本体価格は今のところ不明。正式発表前の製品なので、このまま発売されるのか、仕様変更があるのか含め、現時点では未確定です。

さて、ガスメーターの検針や農業用の環境センサなど産業向けで始まったばかりの新技術 Sigfox を、ファッションブランドであるルイ・ヴィトンがいち早く採用するのは意外にも思えます。

しかしヴィトンといえば自社でもスマートウォッチを投入するなど、新テクノロジーの採用には積極的な企業。
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何より、かばん職人のルイから始まったヴィトン社にとって、旅行かばんやトランクはルーツであり、現在も続く主力商品。 あらゆる分野に展開するファッションブランドとして確立する以前には、旅行かばんの実用性でイノベーションを重ねてきた歴史があるだけに、最新技術で旅行者の利便性を高めるのはむしろ当然の流れなのかもしれません。