毎年、森林整備に約1200億円を補助していますが、それでも年500〜600億円足りず、補正予算で数百億円を追加している状況です。新税の税収600億円で、毎年の不足分を補える計算です。
 補助金は今まで通り、収支トントンとなる森林の整備に使い、新税は採算ベースにのらない森林の手入れから使います。新税の創設で、補助金とは違う方法で森林整備ができる道が開けました。安定的に整備ができる面積が増えたと言えます。

 -新税について森林がない都市部の住民が負担するのは不公平、すでに37府県が独自の森林整備の税があって二重課税という声も聞かれます。

 ようやく課題の整理が見えてきたところです。国産材の利用に一定の支援をしようとなりました。林業の川上から川下も対象とした、まとまり方になりました。東京都港区や川崎市など木材利用を進めている先進事例があります。新税を都市部に木造施設が増えるきっかけにもしたいです。

 -森林整備は国土保全となり、災害から下流域の都市部を守る効果も期待できます。
 水災害や土砂災害対策、さらに二酸化炭素(CO2)吸収対策は山村域だけでなく、日本全国の利益となります。この点でもご理解いただいたのではないでしょうか。
 
 -新税は林業経営者が採算ベースに乗らない森林を整備しようというインセンティブになりますか。
 
 新税を使った森林整備は、市町村からの発注事業です。市町村が考えることですが、地域に意欲と能力がある林業経営者を育てるきっかけになると期待しています。

 -国産材利用を支援するという説明がありました。利用先があるということも、林業をやろうという動機づけにもなるのではないでしょうか。

 川中の製材工場に安定的に木材を供給することも、林業全体にとって重要です。今回のシステムで供給量も充実されると考えています。
 主伐に視点を置くため、高額なA材を切り出せる森林が増えます。A材(注)を安定供給できると、非住宅にも木材の用途が広がります。JAS材として構造計算ができる材になれば付加価値がつき、公共施設、倉庫など非住宅用途にも広がります。川上から川下までつながり、林業の成長産業化ができます。

(注)A材は通直な原木で、主に住宅などの製材用。B材はやや曲がり・小径のもので、主に合板用。C材は枝条・曲がり材等で、主にチップ用。それぞれ明確な定義はない。