成人の日を前に突如営業を停止し、大混乱を引き起こした「はれのひ」。

 同社の篠崎洋一郎社長(55)は依然として行方をくらましている。周囲に「早く上場したい」と明かすなど、強い上昇志向で順調に事業を拡大していたが、最近は急激に業績が悪化。当座の資金繰りにも腐心していた様子が見え隠れする。敏腕社長のもくろみは、どこで崩れたのか。

 「常に自信」

 関係者らによると、篠崎社長はアパレル関係の商社などを経て、平成15年に着物の販売やレンタルなどを行う埼玉県内の会社に入社した。同社の元同僚によると、篠崎社長は当時、店舗の新規開拓営業の部署に所属。自身のノルマは達成した上で、苦戦している同僚には積極的にアドバイスをし、実際に新規契約までこぎつけさせることも多かったという。

 元同僚は「面倒見がよく、与えられた仕事は完璧にこなすイメージ」と振り返り、「この業界では『成人式で失敗すればすべてが台無し』というのは常識。こんな問題を起こすとは驚きだ」と話す。

 20年に福岡市で写真館向けのコンサルティング事業を始めたのち、同市で23年にはれのひを設立。はれのひの経営のかたわら、契約先の企業で社員向けのセミナーなども行っていた。

 約4年前に勤務先の呉服店で篠崎社長のセミナーを受けたという男性は「店舗内での呉服の展示方法、電話営業のノウハウなどを教わった。常に自信ありげな様子が印象的だった」と振り返った。

 経営実態は

 25年8月に事実上の本社を横浜市中区に移転してからは事業拡大に積極的で、26〜28年にかけて東京都、茨城県、千葉県に立て続けに出店した。中国への事業進出にも関心があったとみられ、中国のブライダル情報サイトには、篠崎社長が現地で講演する様子や現地業者と商談したことなどが伝えられていた。

 表向きは「優良企業」とみられていたはれのひ。だが実態は全く違ったようだ。

 民間調査会社によると、はれのひが28年9月期に修正損を計上すると、大口の取引先の銀行は同年11月から、はれのひへの融資を中止。複数の関係者によると、29年8月には千葉県柏市内の店舗が、テナント料を数カ月滞納したとして閉鎖に追い込まれた。篠崎社長は周囲に「茨城県つくば市の店舗と統合する」などと説明していた。

 同9月には、京都市にある呉服・和装小物店の男性社員(54)に「会社の経営が厳しく支払いにも困っている。経営状況を改善するためにアドバイスをしてほしい」と相談。「駅前店舗はテナント代も高く苦しい。一朝一夕には返せる金額ではない」とも訴えていたという。

 給与未払い

 一方、同10月ごろ、つくば市の店舗が入居する商業ビルを訪れた際に、ビル運営会社側へ「売り上げは安定している」と話した篠崎社長。このころには一部の従業員への給与未払いも横行していたとみられるが、そうした状況を明らかにすることはなかった。