16年4月の日本選手権で小関(右)は北島氏に肩を抱かれ会場を後にした

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 またもスポーツ界で不祥事が発覚した。2016年リオデジャネイロ五輪競泳男子200メートル平泳ぎで5位に入った小関也朱篤(こせき・やすひろ、25=ミキハウス)が昨年11〜12月に行われた日本代表のスペイン合宿で、同僚の後輩選手(23)に暴力を振るっていたことが11日、分かった。小関はすでに謝罪し、和解したものの、所属先からは厳しい処分を受けた。五輪2大会連続金メダル2個獲得の北島康介氏(35)の後継者として20年東京五輪でもメダルが期待され、私生活では「良きパパ」と言われていた選手にいったい何が起こったのか――。

 ミキハウス関係者などによると、昨年11〜12月に行われた日本代表スペイン合宿中の12月1日に事件は勃発した。

 小関は後輩選手と同部屋。合宿では同部屋の選手が持ち回りで米を炊く当番ルールがあった。朝9時からの練習を終えた小関は炊飯に45分かかると考え、早めに炊事部屋へ戻り準備。しかし後輩選手は9時30分からの練習を終えると、他選手らとサッカーをして遊び、遅れて宿舎に戻った。後輩選手は炊飯は15分で済むという認識があり、サッカーをしていても当番に間に合うだろうと考えていたようだ。

 生真面目な小関は、そもそも代表合宿中にサッカーをし、炊事当番に遅れたことに激怒。そこで炊事の部屋で手が出てしまい、左手で後輩選手の腹を殴り、左手甲で後輩選手の頬を払った。いずれも全力ではなかったという。すぐに謝罪し、両者は和解。その後も合宿中は2人は最後まで同部屋で過ごした。

 今回の事件が発覚したのは、後輩選手が担当コーチにあごの違和感を訴えたため。スペインで2度、帰国後にも1度病院で検査を受けたがいずれも骨と関節に異常はないという診断だった。小関は12月17日に日本代表選手、コーチらにも謝罪をし、一行は同23日に帰国。ミキハウスは同25日に両者から聞き取りを行い、小関は今年3月末までの対外試合出場自粛と日本代表活動の辞退、減俸などの処分を受けた。

 もともと正義感が強く、高校卒業後は当初、消防士を目指していた。同い年の歯科助手の夫人との間には昨年、第1子となる女の子が誕生。練習以外は家庭を優先させるなど“良きパパ”の顔を持つ。性格は物静かで、小関を知る関係者は「結婚しているのでお酒も飲まないし、たばこも吸わないし、練習が終わったら家に直行する。人見知りをちょっとする。しゃべり始めたら止まらない」と話す。

 そんな男だけに、後輩選手の社会性に欠けた思慮と行動に我慢ができなかったようだが、いかなる理由があっても暴力行為が許されるものではない。大相撲の元横綱日馬富士の暴行問題、カヌーの禁止薬物混入に続き、競技者の資質が問われる事態。競技団体にも、より厳格な対応が求められる。

 今回の件は日本水泳連盟も把握していたが、将来性のあるメダル候補の、仲間内での軽微な争い事であることから、自主的に公表することを控えた。「被害届が出るような事案でなく、所属先の処分も受けており追認した」としている。暴力根絶を掲げるスポーツ界での対応として正しかったかどうかは意見が分かれるところだ。