米アマゾン・ドットコムのAI(人工知能)スピーカー「Amazon Echo」は、すでに米国における市場シェアが7割を超えたと推計されている。しかし、この端末の中核を担う、クラウドベースのAIアシスタントサービス「Alexa」は、今後、スピーカーの枠を越え、さまざまな電子機器の領域へと広がっていきそうだ。

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トヨタの車載機にAlexa導入

 トヨタ自動車は、1月9日、米ラスベガスで開幕した家電ショー「CES」で、アマゾンのAlexaが、トヨタやレクサスの一部の車種で利用できるようになると発表した。

 トヨタは、その具体的な車種について、明らかにしなかったが、2018年中に、同社の車載インフォテインメントシステムである「Toyota Entune 3.0」や「Lexus Enform 2.0」を装備する車種に、Alexaを導入する。また2019年には対応車種が、さらに増えるとしている。

 これにより、運転中にAlexaに話しかけ、道順を尋ねたり、ニュースを聞いたり、エンターテインメントコンテンツを操作したりすることができるようになる。また、家にスマートホーム機器を設置していれば、例えば、自宅に着く前に、室温を調整しておくことができる。

 トヨタの車載インフォテインメントシステムは、すでに米アップルの「iPhone」に対応しており、音声アシスタント「Siri」を介し、各種操作が行える。例えば、電話をかけたり、電子メールを送ったり、再生する音楽を選んだりすることができる。

 しかし、新たにアマゾンのAlexaを導入することで、今後は、より複雑な音声命令が可能になるようだ。

フォード、BMW、日産もアマゾンと組む

 実は、アマゾンがAlexaに関して、自動車メーカーと提携するのは、これが初めてではない。例えば、昨年(2017年)開催されたCESでは米フォード・モーターとの同様の提携が発表された。

 昨年9月には、ドイツ自動車大手のBMWグループとの提携も発表されている。この提携により、今年半ばにも、BMWとMINIの乗用車で、Alexaが利用できるようになる。

 Alexaと自動車との連携は、ほかにもある。昨年10月、日産自動車が、Alexaを使った機能を一部の車種で利用できるようにすると発表。こちらは、家からAmazon Echoに話しかけるだけで、車のドアの解錠や、エンジン、カーエアコンの操作が可能になり、電気自動車「リーフ」の充電管理もできるという。

 このほかにも、玄関ポーチの照明点灯やガレージドアの開閉、ホームセキュリティシステムなど、車と連携する操作は、今後さらに増えていきそうだ。

(参考・関連記事)「アマゾンが怒濤の新製品攻勢」

大手パソコンメーカーも導入の動き

 アマゾンにとって、こうした他社との連携は、Alexaのエコシステム(生態系)拡大につながることを意味する。

 思えば、アマゾンはスマートフォンで失敗したという苦い経験を持つ企業。2014年、同社は、自社ブランドのスマートフォン「Fire Phone」を発売した。だが、その売れ行きが芳しくなく、翌年、スマートフォン事業からの撤退を余儀なくされた。

 しかし、その後市場投入したEchoが大ヒットし、今では、同社と連携する企業が拡大の一途をたどっている状況だ。

 今年のCESでは、パソコンメーカー各社が、Alexaの導入を発表した。今後、米HP、台湾エイスース(華碩電脳)、台湾エイサー(宏碁)いった大手のノートパソコンやデスクトップ機で、Alexaが利用できるようになるという。

筆者:小久保 重信