ソーシャルメディア大手の米フェイスブックが、傘下企業を通じて中国市場への再参入を計画しているようだ。しかも、これを実現するために、中国スマートフォン大手のシャオミ(小米科技)と組むというから、少し意外な展開だ。

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シャオミと提携、中国限定のVRヘッドセット

 フェイスブック傘下のVR(virtual reality、仮想現実)企業であるオキュラスVRの発表によると、同社はシャオミと提携し、中国市場限定のVRヘッドセットを発売する計画。

 製品名は「Mi VR Standalon」。パソコンやスマートフォンなどの機器を利用することなく、単体でVRを体験できるスタンドアロン型のヘッドセットだ。

 オキュラスVRは、これに先立つ昨年10月、「Oculus Go」と呼ぶ、同じくスタンドアロン型のヘッドセットを発表。これを、2018年初頭にも米国などで発売する計画だ。そして中国で展開するヘッドセットは、このOculus Goの技術を利用するという。

 また、オキュラスVRとシャオミは、Oculus Goの生産でも協力関係にあることが、このたび明らかになった。米ウォールストリート・ジャーナルによると、中国市場向けヘッドセットは、シャオミが中心となって販売する。だが製品には、オキュラスVRのロゴも付け加えられるという。

 これにより、長らく、そのソーシャルメディアが遮断されている中国で、フェイスブックブランドの露出が増えることになると、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

中国でのサービス再開、ままならぬ状況

 中国政府は、政府に批判的なネット上の言論に対する規制を強めている。この規制の下、フェイスブックのサービスは2009年から同国で遮断されている。

 また、同社傘下企業には、写真共有サービスの「インスタグラム(Instagram)」もあるが、こちらも2014年に香港で起きた反政府デモ(いわゆる雨傘運動)の際に遮断された。さらに同社傘下のメッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」も昨年7月、一時的に遮断されたと伝えられた。

 こうした状況を打開すべく、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、これまで、さまざまな対中外交を進めている。

 例えば、2015年10月には、中国を訪れ、清華大学の学長と会談したり、同大学で行った講演で、流暢な北京語を披露したりしている。

 同氏はアリババ・グループ(阿里巴巴集団)の創業者、ジャック・マー(馬雲)会長や、シャオミのレイ・ジュン(雷軍)会長兼CEOなどとも会い、中国トップ経営者との交流を深めている。

 2014年には中国インターネット規制当局のトップがフェイスブックの本社を訪れたが、その際、同氏は、習近平国家主席の考えに関する書籍をいつも机の上に置いていると述べ、中国を重視していることをアピールした。

 しかし、こうした努力にもかかわらず、中国におけるサービスの再開はいっこうに、めどが立たないといった状況だ。

(参考・関連記事)「フェイスブックが中国でサービス再開目指す」

簡易型から本格的なテザード型やスタンドアロン型へ

 一方で、VRやAR(augmented reality、拡張現実)のヘッドセットは、これまで主流だった簡易型から、オキュラスVRなどが発売する本格的なものへと移行していくと見られている。

 米国の市場調査会社IDCによると、VR/ARヘッドセットの世界出荷台数に占める簡易型(スマートフォンを組み込んで、その画面をディスプレーとして使うスクリーンレス・ビューワー)の比率は現在、58.8%。

 しかし、今後は簡易型が徐々に減り、2021年には14.8%へと低下。これに対し、パソコンやゲーム機などと接続して使う「テザード型」は今後数年で過半を占める。またスタンドアロン型も5割近くを占めるまでに拡大すると、IDCは予測している。

(参考・関連記事)「我々の職場はどう変わる? 急成長するVR/AR市場」

筆者:小久保 重信