日産の販売をけん引した「シルフィ」(同社公式ページより)

写真拡大

 日系自動車メーカー7社の2017年の中国での新車販売台数は、日産自動車とホンダ、トヨタ自動車、マツダの4社が前年実績を上回り、いずれも過去最高を更新した。三菱自動車も12年に計上方法を変更して以来、過去最高を記録。全体市場の成長は鈍化しているものの、日系メーカーはおおむね好調を維持している。

 日系首位の日産は、主力セダン「シルフィ」が好調だったほか、「エクストレイル」や「キャシュカイ」などのスポーツ多目的車(SUV)も販売増加を後押しした。

 シルフィは日産自動車と中国の東風汽車の合弁会社「東風日産乗用車」で現地生産されている。SUVの勢いを増す中、「家族のためのセダン」としてマーケティングが奏功、市場サイズが最も大きい「Cセグメント」のセダンで確固たる地位を築いている。

 18年以降に電気自動車(EV)の新型「リーフ」を中国にも投入する計画。19年には、仏ルノー、東風汽車と共同で新小型EVの生産も始める。今後は「B、C、Dセグメントも含めて、18―19年に中国に受け入れられやすい商品を展開」(西川広人日産社長)し、市場を深耕する。

 ルノー・日産・三菱自動車の3社連合は22年に、全世界の年間販売目標1400万台のうち3割をEVなど電動車両にする計画。カルロス・ゴーン会長は「中国はEVで最大市場になる」と見通す。

 上位4社のうち最も大きな伸び率を示したのがホンダ。SUV「CR―V」が前年比0・3%増の18万7641台と最も売れたのをはじめ、主力セダン「シビック」も同95・0%増の17万6457台と牽引(けんいん)した。

 躍進を支えるのが、同じベースの車種でテイストの異なる外観や内装を採用した商品を合弁2社で投入する「兄弟車戦略」だ。従来は新車を販売開始する際に合弁2社の間でのシェアの奪い合いを避けるため、どちらかの会社で発売する必要があった。その結果、ニーズが異なる顧客を獲得できたことに加え、同一ベースの車種による開発の効率化といった利点も得られた。

 トヨタはセダン「カローラ」やSUV「RAV4」の好調に加え、高級車「レクサス」が過去最高を更新。マツダは17年8月に一部改良した中国向けSUV「CX―4」が好調で、初めて30万台の大台を達成した。

 中国の自動車市場は変わり始めている。中国政府はEVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)をエネルギー車(NEV)と定め、19年に自動車メーカーに対して生産・販売台数の10%をNEVに義務付ける規制を導入する。20年には比率を12%に引き上げる方針で、自動車メーカーにとって電動車両の生産・販売戦略の重要性が増している。

 一方で、燃費や外観を重視してきた自動車ユーザーが、オーディオやスマートフォンとの連携など車内での“楽しさ”“快適さ”を求めるようになってきた。自動車各社も自社開発やベンチャー企業とタッグを組んで、エンターテインメント性やデジタル機器との連携など新たな付加価値の創出を追求する動きが出ている。

 中国は2009年に年間自動車販売台数が1364万台に達し、米国を抜いて世界最大市場となった。以来、世界トップの座を維持している。自動車保有率の高まりとともに、消費者のニーズも変化しており、完成車メーカーにとっても、新技術をいち早く取り入れたクルマ作りが重要性を増している。