食べ物を変えると、脳も変わる!2017年11月に刊行され、早くも重版の決まった『脳にいい食事大全』。栄養コンサルタントのミシェル・ショーフロ・クックによる「脳のパフォーマンスを最大化するスーパーフード」を連載形式で紹介していきます。

ターメリックは脳を病気から守る

インドのカレー料理を楽しむ理由は、味だけではない。カレーに含まれる黄色のスパイスーーターメリックは、脳を病気から守る強力な食品だ。

UCLAアルツハイマー病リサーチセンターでの研究によれば、ターメリックを黄色くしている色素であるクルクミンにも、脳の炎症やプラーク形成を予防する強力な効果がある。炎症とプラークは、アルツハイマー病を含む深刻な脳疾患と関連している。

炎症とアルツハイマー病の関連性が初めて見つかったのは、ブリティッシュ・コロンビア大学のパトリック・マクギアとアリゾナ州サン・ヘルス・リサーチ・インスティテュートのジョージ・ロジャースが、過去10年間の病院の薬剤記録を調べ、強い抗炎症薬を日常的に投与されていた関節炎患者は、そうでない人に比べてアルツハイマー病の発症率が7倍も低いという事実を発見したことに遡る。

しかし、強力な関節炎薬は深刻な副作用があるため、有効な選択肢ではない。このCOX−2阻害剤として知られる種類の医薬品に含まれる薬物の一部には、服用者を死に至らし得る強い副作用があるため、販売が禁止されていたこともある。ターメリックにはCOX−2の抑制作用があり、炎症を抑える効果もある。

体内で炎症の原因となることの多い化学伝達物質プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ1とシクロオキシゲナーゼ2という2種類の酵素によってつくられている。関節炎薬はCOX−2酵素に作用するが、ターメリックは両方の酵素に作用して炎症を抑える。さらに、薬と違って副作用はない。

金沢大学大学院の研究チームが実施した研究によれば、クルクミンは脳内のベータアミロイドと呼ばれる物質(アルツハイマー病の要因と考えられている)の発達を妨げる。Journal of Neuroscience Research誌に掲載された動物実験では、クルクミンが空間学習能力と記憶力を高める効果があることが示された。

他の研究では、認知症、過敏性、興奮、不安、無関心を含む重度の症状を有する3人のアルツハイマー患者に、ターメリックのサプリメントが与えられた。12週間にわたり毎日ターメリックを764mgとクルクミン100mgを摂取した患者は、臨床症状や検査データに悪影響を生じることなく、症状から回復しはじめた。治療開始から3ヵ月後、患者の症状と介護者への依存度が有意に低下した。治療開始から1年後、患者のうち2人が家族を認識できるようになった。

あるケースでは、ミニ・メンタル・ステート検査(MMSE)のスコアが17%も改善した人もいた。MMSEは、認知障害の測定のために臨床研究で広く用いられている30項目の質問で構成される心理テストだ。

カレーは炎症を鎮める

クルクミンのメリットを享受するための一番簡単な方法は、カレーやシチューにターメリックを加えることだ。ただし、脳疾患の治療や予防のために最良の結果を得るには、食品に含まれているよりも有効成分を多くとらなければならない場合がある。この場合、標準化エキスから1日当たり1200mg以上のクルクミンを摂取すること。現在のところ、クルクミンを大量に摂取した場合でも、身体への悪影響は見つかっていない。私のクライアントの大半では、食事やサプリメントでクルクミンを日常的に摂取することで、記憶力の大幅な改善が見られる。

ターメリックには、COX−1・COX−2阻害薬と同じメカニズムで痛みを抑制する能力がある。また、強力な抗炎症作用もある。最近の研究によれば、ターメリックの主な治療成分であるクルクミンを1200mg摂取することは、強力な抗炎症薬であるフェニルブタゾン300mgと同等の効果がある。しかも、毒性が強く市販が禁止されているフェニルブタゾンとは異なり、ターメリックは安全だ。

ターメリックの強力な鎮痛作用と抗炎症作用は身体全体に効果があり、かつ副作用の心配も無用だ。研究によれば、ターメリックは痛みの神経伝達物質であるP物質の神経終末を激減させることで、痛みを軽減する。このためターメリックを食事やサプリメントから摂取すれば、身体全体の痛みや炎症を減らすことができる。