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●「iPhone X」が新機軸に

絶好調の2018年第1四半期の売上予測を示しているアップル。その背景には、新機軸を打ち出した「iPhone X」の大ヒットがあると見られるが、今年もアップルはその好調ぶりを維持できるだろうか。その鍵を握るのは、やはりiPhoneとなりそうだが、アップルは今年、どのようなiPhoneを投入すると考えられるだろうか。

○新機軸を求める声に応えて好業績を予想

アップルにとって、昨年は新たな転換期を迎えた年だったといえるだろう。その理由は、ホームボタンを排して前面がディスプレイを占めるデザインを採用し、指紋認証の代わりにAI技術を活用した顔認証システム「Face ID」を搭載するなど、新機軸を打ち出した新しいiPhone「iPhone X」にあるといって過言ではない。

アップルは2014年の「iPhone 6」以降、2017年に発売された「iPhone 8」に至るまで、4世代にわたって同じ形状のデザインを採用してきた。iPhone 6の発表当初は、それまでのiPhoneより大画面のディスプレイを採用したこと、さらにより大画面の「iPhone 6 Plus」シリーズを投入したことで大きな支持を集めたが、4世代も続くとさすがに「代わり映えがしない」という印象を消費者に抱かせていたのは事実だろう。

事実、iPhone 8/8 Plusの発売に際しては、従来のiPhoneのように予約が殺到して買いづらくなる事態は起きていない。またそれを販売する大手キャリアも、事前予約数は前モデルの「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」より落ちている旨の発言をしていた。

しかしながら、iPhone 8/8 Plusの発売から約2カ月後に発売されたiPhone Xに関しては、Apple Storeや大手キャリアの予約サイトにアクセスが殺到して繋がりづらい事態となり、各キャリアはiPhone Xの事前予約数が、iPhone 8/8 Plusを大きく超えるに至ったとしていた。部材や製造技術などの問題から、当初より出荷数が少ないと言われていたとはいえ、1カ月以上入手しづらい時期が続いていたことからも、その人気の高さをうかがい知ることができる。

またiPhone Xは、最も安いモデルであっても日本の価格で10万円を超えるというかなり高額なモデルだ。にもかかわらず、より安価なiPhone 8/8 Plusよりも、iPhone Xに人気が集中したことは、いかにアップルに新規性が求められていたかを示していたといえる。

そしてiPhone Xの好調は、アップルの業績にも大きく反映されているようだ。アップルは2018年第1四半期(2017年10〜12月期)の売上高予測を840〜870億ドル、日本円にして約9.5〜9.9兆円と予測している。2017年度第1四半期の売上が784億ドル、日本円で約8.9兆円だったことを考えると、大幅な売上増を達成する可能性があるわけだ。

●iPhone Xの要素が新iPhoneに!?

○新iPhoneは「iPhone X化」が進む?

ゆえに今年も、アップルの業績を大きく左右するのはやはりiPhoneとなる可能性が高い。だが今年はアップルにとって、新たな新機軸を打ち出す年ではないと筆者は見る。

確かに昨年は、長く続いた従来のiPhoneのスタイルを大きく変え、買い替えを促す意味でもiPhone Xを投入する必要があった。だが既に新機軸を打ち出した今年は、普及価格帯のモデルにiPhone Xの要素を取り入れ、全般的なリニューアルを図っていくことを優先するものと考えられるからだ。

具体的には、前面をディスプレイが占めるデザインや、Face IDなどが、iPhone 8クラスのスタンダードモデル、そしてiPhone 8 Plusクラスの大画面モデルにまで導入されるものと予想される。スタンダードモデル以上の全モデルにiPhone Xの要素が入ることで、ラインアップ全体でリニューアルを図るというのが、今年のアップルの大きな取り組みになるのではないだろうか。

その際問題となってくるのは、新しいiPhoneを製造するのに必要な部材調達の難易度が上がっていることだろう。特に気になるのは、生産できる企業がまだ非常に限られている、有機ELディスプレイの採用だ。当面の間、有機ELディスプレイの調達はサムスンディスプレイに依存せざるを得ず、価格低下を見込みにくいからだ。

それゆえもし全モデルに有機ELを搭載するとなると、従来モデルよりも価格が上昇してしまうこととなる。価格を考慮するならば、液晶ディスプレイのモデルと、有機ELの2モデルが登場する可能性もあるかもしれない。

●課題は新興国でのシェア拡大

○先進国は安泰だが新興国戦略が課題

もしスタンダードモデル以上のモデルチェンジが進み、あまり価格が高額にならないのであれば、iPhoneの販売の中核となっている先進国での販売は好調に推移するものと考えられる。特にiPhoneの人気が高い日本では、大ヒットが確約されていると言っていいだろう。

もし日本でiPhoneの販売増を阻む障壁があるとすれば、総務省や公正取引委員会など、キャリアのiPhone販売手法や、中古iPhoneが国内で流通しないことなどを疑問視している国内の行政機関だ。だが現在総務省内で進められている「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」などの様子を見る限り、iPhoneの市場シェア独占に対抗する決定打は、まだ見いだせていないという印象を受ける。

一方で、現在のアップルにとって大きな課題となっているのは新興国での販売である。アップルはあくまで高価格・高付加価値のビジネスを展開しており、元々の端末価格が高い。それゆえ低価格が求められる新興国でのシェア拡大が難しいというジレンマを常に抱えている。実際中国では、富裕層にこそ継続的な人気を獲得しているものの、一般層はミドルクラスに強いOppoやvivoなどの国内メーカーに押され、シェアを落としている状況なのだ。

それゆえアップルは近年、新興国攻略にも力を入れてきている。特に最近力を入れているのがインドであり、インドでのiPhone販売拡大に向け、低価格モデルの「iPhone SE」を現地製造するなどの取り組みを進めてきた。だがやはり低価格モデルに強みを持ち、躍進している中国メーカーと比べると、思うように市場シェアを伸ばせていないのが実情だ。

先進国での人気が継続しているとはいえ、先進国の市場は飽和傾向にあることに変わりはない。それだけに今年、アップルが新興国向けにどのような施策を打ち、それがシェア拡大へと結びつけられるかが、今後の同社の動向を見据える上でも重要になってくるのではないだろうか。そうした意味でも、今年はiPhoneのスタンダードモデルだけでなく、新興国を狙ったiPhone SEの後継モデルの動向も注目されるところだ。