経験値豊富な長友にとってW杯は特別なもの。前回の借りを返すべく、ロシアの地に挑む。写真:松尾祐希(サッカーダイジェストWEB)

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 日本の背番号5に深く刻まれているのは4年前の経験だ。
 
 11日、日本代表のDF長友佑都(インテル)が母校の明治大で学生たちを対象に講演会を行なった。
 
 今回の講演会に集まった学生は総勢920名。立ち見が出るほどの盛況ぶりで、会場に入り切らなかった後輩たちは別室のモニターから先輩の言葉に耳を傾けるほどだった。その明大生たちの前で長友は40分に渡って自身の経験談などを熱く語り、約5か月後に幕を開けるロシア・ワールドカップについても言及した。

「いよいよ来たなという感じ」という言葉で、4年に1度の大舞台が待ち遠しいことを伺わせた長友。その一方で、「僕が選ばれるかまだ分からない。なので、危機感を持って毎日を過ごしているし、特に2018年はそう思ってやっている」と語り、自身のポジションが約束されたものではないと話した。そして、簡単な戦いにならないことを覚悟。「ワールドカップというのは僕らや日本からすれば、すべてのチームが格上。どこと戦っても厳しい戦いになる」と語気を強めた。
 
 2010年の南アフリカ、2014年のブラジルと2度のワールドカップを経験した男は最後まで慎重な姿勢を崩さなかったが、そう考えるのには訳がある。4年前の苦い経験があるからだ。
 
 前回のブラジル大会で長友は本田圭佑(パチューカ)や香川真司(ドルトムント)などと意気揚々とブラジルの地に乗り込んだが、初戦のコートジボワール戦で逆転負けを喫した。さらに、残りの試合でも1勝もできず、グループリーグ敗退で大会を去る結果に。そこで自身の脳裏に深く刻まれたのが、初戦の重要性だった。
 
「僕は2010年と2014年のワールドカップを経験しました。南アフリカではある程度の結果が出せて、ブラジルは惨敗。なので、初戦の重要性は凄く感じている。今大会は初戦でコロンビアと戦うのでそこで結果を出せないと厳しい。精神的なところも含め、僕らは前回コートジボワール戦で敗れ、ネガティブなところがあったのかなと思う」
 
 長友はワールドカップの難しさを経験したからこそ、初戦が重要になるのだと理解している。「前回のブラジルワールドカップの時に惨敗して、4年間エネルギーを注いできて傷が残っている。その傷はワールドカップでしか返せないので、4年間常に思って強い気持ちでやってきた」という男はロシアの地でどのようなプレーを見せるのか。まずは本大会のメンバー入りに向け、インテルで自身の価値を証明するつもりだ。
 
取材・文●松尾祐希(サッカーダイジェストWeb編集部)

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