初登場2位『キングスマン』、紆余曲折を経て人気シリーズに成長!

写真拡大

 2018年最初の週末の映画動員ランキング。もちろん1位は引き続き『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。しかし、2015年に始まった英国産スパイ映画の新しいシリーズ『キングスマン』の2作目、『キングスマン:ゴールデン・サークル』が大方の予想を上回る好スタートをきって、僅差でピタリとその後につけている。数字を比較してみよう。『最後のジェダイ』は1月6日、7日の土日2日間で動員22万8000人、興収3億4300万円。一方、『キングスマン:ゴールデン・サークル』は同2日間で動員22万4000人、興収3億3000万円。このような稀に見る大接戦はウィークデイに入ってからも続いていて、『最後のジェダイ』にとっては思いがけない伏兵が現れたことになる。

参考:スマートな映画の歪な続編!? 『キングスマン:ゴールデン・サークル』に漂う、徹夜明けの雰囲気

 そもそも、『キングスマン』はこれまで日本においてあまり恵まれたシリーズとは言えなかった。1作目の『キングスマン』は、監督マシュー・ヴォーンにとって2010年の『キック・アス』で一躍知名度を高め、2011年『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、2014年『X-MEN:フューチャー&パスト』(原案と製作)とヒット作を放った上で挑んだ作品であった。しかし、配給権のあった20世紀フォックスは「アメコミ映画以外のマシュー・ヴォーン作品に需要なし」とでも見込んだのだろうか、日本公開を見送るという決断を下した。その後、海外での大ヒット&大評判を受けて、ようやくKADOKAWAが配給を引き受けることが決定。結局、日本公開は欧米からタイミングが半年以上遅れることとなった。もちろん未公開のままになるよりはましだが、日本においては、この規模のエンターテインメント大作としては異例の冷遇を受けたことになる。

 公開タイミングと公開スクリーン数の悪条件を跳ね除け、口コミやソーシャル・メディアで評判が広がることで動員を伸ばし続け、最終的に興収約10億円のスマッシュ・ヒットとなった『キングスマン』。そんな他社配給による地固めを経て、ちゃっかり今回の『キングスマン:ゴールデン・サークル』では20世紀フォックスが配給のファースト・プライオリティを行使しているわけだが、全国673スクリーンという万全の公開体制を背景に、前作のオープニング2日間との興収比で288.6%という好成績を記録した。

 2015年12月に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開されて以来、スピンオフ作品『ローグ・ワン』を含めこれで3年連続『スター・ウォーズ』関連作品が正月映画の主役となっているわけだが、かといって、その時期に公開される他の外国映画がノー・チャンスというわけではない。『フォースの覚醒』の勢いがまだ続いていた2016年2月には『オデッセイ』が興収35億4000万の大ヒット。『ローグ・ワン』の翌週公開という勝負に出た『バイオハザード:ザ・ファイナル』は、『ローグ・ワン』をトップから引きずり下ろして、2週連続動員1位、興収42億円という大ヒット。いずれもSF作品、アクション作品ということでスター・ウォーズと客層が被りそうな作品ではあるが、「スター・ウォーズには興味はないけれど洋画のエンターテインメント大作は観たい」というニーズが意外に分厚いことを、この3年間の数字は証明している(あるいは、映画ファンにとって「スター・ウォーズは別腹」ということなのかもしれないが)。

 『オデッセイ』のような30億超えクラス、『バイオハザード:ザ・ファイナル』のような40億超えクラスの大ヒット作となるのはさすがに難しいだろうが、もし今回の『キングスマン:ゴールデン・サークル』が興収20億を超えれば、それでも前作からの倍増ということになる。続編についてはまだ詳細が明らかになっていないが、当然のように計画されている。『007』シリーズは別格として、日本では苦戦しがちな海外のスパイ・アクション映画。今回の『キングスマン:ゴールデン・サークル』のスマッシュ・ヒットによって、日本でも久々にスパイ映画のヒット・シリーズが生まれたこととなる。(宇野維正)