CESでは、ミドルレンジの「Xperia XA2」「Xperia XA2 Ultra」「Xperia L2」の3機種を発表したソニー。モバイル関連では、Xperiaブランドを冠するスマートデバイスも展示している。

スマートフォンビジネスを語るソニーの平井社長

 一方で、スマートフォンやモバイルは、ソニーにとって数ある事業の中の1つ。会社全体での業績が大きく回復しているなか、モバイル事業はまだ完全に復活を遂げたといえない状況が続いている。数を追わない戦略を掲げてからは販売台数も低下。では、ソニーはスマートフォンやモバイルを、事業全体の中でどう位置づけているのか。同社の社長兼CEO、平井一夫氏が、報道陣からの質問に答えた。

――スマートフォンについてはなかなか利益が出せない。どう取り組んでいくのか。

平井氏
 スマートフォンビジネスについては、何年か前から、シェアや台数よりも、まずは利益を出すこと、黒字になることが大事という方針でやっている。ソニーの将来戦略にとって、スマートフォンは「コミュニケーションビジネス」だと考えている。冗談半分だが、私は、「人間同士がテレパシーで意思疎通できるようになるまでは、何らかのデバイスを使うことが必要で、ネットワークも必要だ」と言っている。今はスマートフォンを使っているが、かつてはそれがフィーチャーフォンだった。その意味で、スマートフォンにもどこかでパラダイムシフトが来ると考えている。

 むしろ、その次のパラダイムシフトを作るぐらいの意気込みで、積極的にコミュニケーションビジネスには取り組んでいかないといけない。スマートフォンは、“ラストワンインチ”(ユーザーとサービスの間を埋めるための魅力的なデバイスという意味合いで、平井氏がたびたび使うキーワード)以上の近さで使っていただく商品だ。今のスマートフォンビジネスは継続して、引き続きプレイヤーでいたい。

 携帯電話会社各社とのリレーション(関係)もキープしたいし、クアルコムとのパートナーシップもキープしたい。それをやっていないと、次のパラダイムシフトがあったときに何もできない。それが、スマートフォンをコミュニケーションビジネスだと考えているということだ。

――そのパラダイムシフトが起こるまでの短期的な視点では、Xperiaをどうしていきたいと考えているのか。

平井氏
 ベタな話ではあるが、ユーザーの皆さんに本当に評価していく機能をどう追加していくかという話になる。特に日本では、マーケットシェアがある。あとは製造現場を含め、どうコストダウンをしていけるか。品質をさらに上げ、返品率を下げていけば、人件費も下がる。その意味で、奇策はないといえる。

 そういったことをやっていくのが1つ。あとはまだまだ大きくしなければいけないビジネスだが、「Xperia Hello!」(2017年11月発売のコミュニケーションロボット)などの周辺分野も含め、スマートフォン以外での収益をどう確保していくのか。これが(収益に対して)1つのドライバーになると考えている。

――格安スマホやSIMフリーのラインアップはどう考えているのか。

平井氏
 これは地域とマーケットによって、いろいろな考え方がある。今回のCESではミッドレンジの商品を発表したが、一般的にいわれる格安スマホだと、ローエンドで台数をどう稼ぐかのビジネスになってしまう。そこにリソースを注力するより、ミッド〜ハイエンドで勝負するというのが、基本的な考え方だ。

CESでは、ミドルレンジモデル3機種を発表。うち2機種を展示した

――2018年はAndroidの10周年でもある。Androidには功罪あると思うが、どう考えているのか。

平井氏
 ご指摘のような功罪はあったが、私の観点では、OSに投資するのではなく、OSは所与のものとして、違ったところでどう差異化するのかという課題を突き付けられた10年だった。その意味で、いい商品もあれば、ちょっとこれはという商品もあったが、違うところにフォーカスするということは考えさせられた。

 それは、ソニーにとっても悪いことではない。ゲームチェンジを経験したのは、いいことだと思っている。