2017年3月1日の合同企業説明会の様子。ここに参加した先輩たちの中には「もう少し早めにやっておけば」と後悔している人は少なくない (撮影:尾形文繁)

大学受験と就職活動は個人競技に近い。親やキャリアセンターなどの支援があるとはいえ、戦うのは個人である。そして、結果は明白だ。勝つ者もいれば、負ける者もいる。そして失敗から後悔や反省が生まれ、若者は学ぶ。その「学び」を、HR総研が行った、1つ上の先輩(2018年卒生)のアンケート結果から検証してみたい。

大多数が「早く始めておけば」と後悔


学生の声で最も多いのは「もっと早くしておけばよかった」である。つまり、やらなかったことを後悔、反省しているのだ。やらなかったことには、就活の全メニューが含まれている。「自己分析」、「業界研究」、「企業研究」にはじまり、「SPI」や「ES(エントリーシート)」、そして「面接」への対策などだ。2018年卒で特に目立つのは、「インターンシップ」への言及である。大学ランクや文系理系を問わず、インターンシップにもっと積極的に取り組むべきだったと反省する学生は多い。

「夏のインターンシップになるべく多く参加しておくべきだった。その時点で勝負の半分以上が決まっている企業も少なくない」(早慶クラス・文系)
「もっと早くからインターンシップにたくさん参加して企業研究するべきだったと感じます」(上位私立大・文系)
「もっとインターンに参加しておけばよかった。早くからインターン選考対策を行うべきだった」(旧帝大クラス・理系)
・「もう少し早く夏のインターンシップに応募すればよかった」(上位国公立大・理系)
「インターンシップに参加できなかったことが、ここまで就活に影響するとは思わなかった」(上位国公立大・理系)

インターンシップの開催時期のピークは、夏と冬の2回。夏に参加できなくても、「冬のインターンシップに参加すればいい」と考える学生も多いようだが、勘違いしてはいけない。すでにインターンシップは就活の定番イベント。インターンシップで実際に選考が行われるから、夏のインターンシップから積極的に参加する姿勢が必要だ。もっとも、今さら夏のことを言っても始まらない。今からでも間に合う冬のインターンシップがあれば、ぜひ積極的に参加しておこう。

インターンシップが就活に有利に働くことはデータからも読み取れる。HR総研の2017年6月調査(対象者数178社)によれば、約半数が「インターンシップの参加者のうち、優秀な学生は考慮する」、約3割が「インターンシップ参加者には採用情報を提供する」となっている。「インターンシップ参加者だけを選考対象にする」も1割弱あった。

ただし、参加しすぎたと反省する学生も、たまにはいる。「インターンシップを受けすぎた。SPIをもっとやればよかった」(早慶クラス・文系)。

「インターンシップ」という呼称で実施されるイベントの中身は単一ではない。日本私立大学連盟(私大連)は、昨年11月に「ワンデーインターンシップ」という呼称の廃止を求める提言を公表している。本来のインターンシップは、学生の成長のための就業体験の場であるはずだが、短期のインターンシップの内容は単なる企業説明会であることもあり、「学生に無用な混乱と負担を招いている」と私大連は批判する。

企業の”現実と建前”にいらだち

今回の調査でもインターンシップの中身に驚く学生がかなりいた。

「3月になり、行きたい企業に出会ったとき、すでにインターン生などが選考に進んでいたり、採用担当者の方と仲よくなっていたりと、自分はその子たちと比べて遅れていると感じたとき、もっと早くから企業研究を行い、インターンに参加すればよかったと思った」(その他国公立・文系)
「インターンシップと掲載されていたのに、実質選考だったことに驚いた。ちゃんとホームページに『選考』と書いていてほしい」(上位私立大・文系)
「インターンシップから選考が始まっていることが意外だった。夏のインターンに積極的に応募すべきだった」(早慶クラス・文系)

選考を伴うインターンシップを批判する大人は多いが、学生はそんな価値判断をしていない。

「選考につながるインターンシップをもっと知っていれば受けたかった。私が参加したインターンシップは、インターン生優遇が特にないものだった」(旧帝大クラス・文系)
「インターンシップが内定につながる企業をリサーチして参加すべきだった」(上位私立大・文系)

このような声からわかることは、「インターンシップ=選考」を学生はむしろ歓迎していることだ。学生の苛立ちは「表面上だけ経団連の取り決めを守るのをやめてほしい」(上位私立大・理系)のように、企業の採用活動の建前と現実が乖離していることにある。

理系学生の場合、文系学生以上にインターンシップ参加の負担が大きい。文系と違って、時間の自由が少ないからだ。

「研究室との両立がとても苦しい。もっと前から就活準備をしておけばよかった。3年後期まで平日は毎日授業があり、そのせいで参加できないインターンシップが複数あった。にもかかわらず、インターンシップが選考につながることもあるとは、理系の人間は理系職に就くしかないのではと感じた」(その他国公立・理系)

かつて就職ナビの解禁日が10月1日だった時期もあった(2012年卒まで)。こうした就活の早期化に対し、「学業の阻害」という批判がなされたが、現在の3年夏からはじまるインターンシップも理系学生に大きな負担を強いているようだ。

Webテストでは”替え玉受験”が横行?

適性検査の準備不足を反省している学生も多い。中には無邪気な学生もおり、「適性検査が、性格検査だけかと思っていたら、能力検査も含まれていたこと」(上位国公立大・文系)と驚いているが、名称が「適性検査」であれば、こういう誤解があっても不思議ではない。

「適性検査」という名称ではなく、「SPI」と書く学生がもっとも多く、「Webテスト」という表記もかなりある。適性検査には「玉手箱」や「TG-WEB」、「SCOA」など、たくさんの種類があるのだが、アンケートを読む限りでは、多くの学生にとって、SPIが標準になっているように見える。

Webテストには、SPI以外でも多くの種類があることを知らなかったので、その辺りをもっと調べておけばよかった」(上位私立大・文系)と書いている学生もいる。志望企業が使っている適性検査の種類を調べ、対策を練る必要があるのは言うまでもない。

適性検査はWebテストで行うことが多いが、問題もある。次のように書く学生がいるところを見ると、”替え玉受験”はある程度行われているようだ。

「Webテストを他人にやってもらっている人がいるのは理不尽だと思った」(上位私立大・文系)
「SPIを解禁後から対策するのは愚策。勉強するなり替え玉を調達するなり、何らかの対策の目処は解禁前につけておくべき」(上位私立大・文系)

「替え玉を調達」することを「対策」と呼ぶ学生がいることに、驚きを隠せない。

適性検査対策の重要性を説く学生は、適性検査で苦戦した文系に多い。言葉は「検査」だが、内容はかなり高度だから、大学受験に類する勉強が必要だ。対策本を丸ごと読了し、問題を一通り解く必要がある。

「もっとTOEICなどの資格を取っておけばよかった。またSPI対策をしておけばよかった」(早慶クラス・文系)
「SPI対策を早く始めればよかった。最近になって苦手であることに気づき、対策に追われ、エントリーシートや企業研究がおろそかになってしまっている」(上位国公立大・文系)
「とりあえずSPIは勉強したらどうにかなるので、2月までに完璧に仕上げておくべきだった」(その他国公立・文系)

理系でも「SPIをなめていた。少しでも対策し、十分に睡眠をとってから受けるべきだった」(上位国公立大・理系)と書いている学生がいるが、この文章の印象では学力不足ではなく、体調管理の重要性を説いているように読める。

「オワハラ」や「サイレント」の洗礼も


上のロゴをクリックするとHRプロのサイトへジャンプします

自己分析やエントリーシートについての記述も多いが、内容は「もっとしっかり早くにやっておけばよかった」と言うものだ。

ほかに目立つのはグループワークやグループディスカッションに対する感想だ。うまくいったというものはなく、「グループディスカッションでわがままな人がいて、うまくいかなく選考で落ちたこと」(その他私立大学・理系)のように、他学生への批判が多い。

最後に就活を通して学生が人事に対して反省を求める意見を紹介しよう。学生に対して、「約束は守ってください」「時間厳守」「社会人としてのマナー」とうるさいが、すべての人事担当者が品格のある行動をしているわけではない。

「不合格の場合は連絡をしないと言われておらず、結果によらず連絡が来ると思っていたが来なかった」(上位国公立大・文系)
「オワハラが実在するのは驚いた。また、よいようにおだてられて内定を軽く受諾したり、与えられた情報を信用してしまう学生が相当に多いことも衝撃だった」(上位私立大・文系)

不合格の連絡をしない「サイレント」や、「オワハラ」(就活終われハラスメント)は、社会の実相を若者に教えるためではない。たぶん、単に時間に追われて通知が面倒だったり、目の前の学生がほしくてたまらないので強迫めいた言動を取ったりするのだろうが、大人げないと思う。これもまた就活の現実である。