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●5G NRの標準仕様の初版が策定完了

現在主流の「4G」の次の世代となるモバイル通信システム「5G」。これまで実験レベルにとどまっていた5Gだが、昨年12月に第1弾の標準仕様が策定されたことで、いよいよ実用化に向けた動きが加速することとなる。今年は5Gの商用化を見据えた第一歩というべき年になりそうだが、その将来を見据える上でも注目されるのが、あの世界的なスポーツイベントである。

○昨年末に5G NRの仕様策定が完了、商用化に目途

ここ数年来、NTTドコモなど大手キャリアが力を入れている、次世代のモバイル通信システムの「5G」。下り最大20Gbpsを実現するなど、現在主流の「4G」(LTE-Advanced)よりはるかに高い性能を実現するもので、日本ではNTTドコモが、東京五輪が実施される2020年に合わせて、5Gの一部仕様を用いたサービスを提供するとしている。

だが実際のところ、通信業界の中でも長い間5Gに関する関心はあまり高まっていなかった。5Gの早期実現に熱心なのは、4Gの普及がいち早く進んだ日本や韓国など一部の国にとどまっていたため、仕様策定が進まず一時は2020年の商用サービス実現も危ぶまれた程だ。

しかしながら2017年に入ってその流れは大きく変わり、5Gの早期実現に向けた動きが急加速したのである。実際2月には、世界各国のキャリアや通信機器ベンダー22社が、5Gの仕様策定を進めている標準化団体の「3GPP」に対して5Gの早期策定を求める共同提案を実施。それに応える形で3GPPは3月に、2019年の商用化を可能にするべく5Gの無線通信方式「5G NR」の仕様策定を前倒しすることを表明したのだ。

そして3GPPは昨年12月に、5G NRの標準仕様の初版策定が完了したことを発表。5Gと4Gと併用するノンスタンドアロンの5G NRの標準化が今年3月までに完了する見込みとしている。NTTドコモでは2020年に、ノンスタンドアロンの5G NRを用いたサービスを提供するとしていることから、一連の3GPPの発表によってその実現に向けた目途が立ったことになる。

これまで5Gに関する取り組みといえば、標準化の進展に向けた将来像や技術のアピールに関する内容が多くを占めていた。だが仕様が決まった今年からは、サービス開始に向けたより具体的な取り組みが増え、商用化に向けた動きが大きく前進することは間違いないだろう。

●サービス開始を見据えたドコモの取り組み

○技術からサービスへ移りつつある5Gのアピール

5Gの技術研究に力を入れており、3GPPでの標準化作業にも尽力してきたNTTドコモが昨年実施した5Gに関するイベントを見ると、専門的な要素技術の展示ではなく、サービス開始を見据えた具体的な内容が増えていることが理解できる。

中でも同社が5Gのアピール機会を急速に増やしたのが、5G NRの仕様策定前後にかけて、つまり昨年の11月から12月にかけてである。実際、昨年11月には東京・お台場の日本科学未来館で、「見えてきた、ちょっと先の未来〜5Gが創る未来のライフスタイル〜」を実施。5Gの特徴である大容量通信を生かした8K映像の伝送実験や、低遅延を生かしたロボットの遠隔操作など、一般消費者にも分かりやすい内容の展示を実施して5Gの魅力を伝えていた。

またNTTドコモは、NTTグループの最新テクノロジーを活用した体験を提案するプロジェクト「FUTURE-EXPERIMENT」も展開。11月に実施された「VOL.01 距離をなくせ。」では、アーティストのPerfumeとのコラボレーションを実施。5Gの低遅延を生かし、世界3ヵ国に離れている3人のメンバーのパフォーマンスを、ずれや遅れが生じることなくリアルタイムに1つの映像に合成して配信するというイベントを実施していた。

さらに、11月29日の東京パラリンピック1000日前のカウントダウンイベントに合わせて実施された「VOL.2 視点を拡張せよ。」では、5Gの大容量通信を生かし、車いすフェンシングの試合風景を9台の2K解像度のカメラで撮影。それを一部に5Gを組み込んだネットワークを通じて離れた会場に送信することにより、試合会場から遠く離れた場所から、多視点でスポーツ中継を楽しめる取り組みを披露している。

今年は5Gを活用した具体的なサービスをアピールする機会が一層増え、多くの場所で5Gに関する取り組みを目にする機会が増えていくだろう。もっとも現在のところ、そうしたデモに用いられているのは実験用の大型の機器であるため、5Gのサービス提供が現実的ではないように見えてしまうが、実は既にクアルコムが5Gに対応したモデム「Snapdragon X50」を開発しているほか、インテルも昨年に5G対応のモデム「XMM 8060」を発表。5G対応デバイスを開発可能にするための準備も着々と進んでいるのだ。

●5G到来に向けて注目すべきこと

○5Gの今後を見据える上で注目される2つのイベントとは

そして今年、5Gの動向を見据える上で重要なイベントは2つある。1つは2月26日からスペイン・バルセロナで開催される、世界最大の携帯電話見本市イベント「Mobile World Congress」(MWC)だ。昨年もMWCでは多くの企業が5Gに関する展示を積極的に実施していたし、22社が3GPPに対して5Gの仕様早期策定を促したのも、このイベントに合わせてなされたものだ。

そうしたことから今年も、MWCでは5Gに関する展示が一層増えると考えられる。例えばスマートフォン型の5G端末が発表されるなど、より現実的な形で5Gのデバイスが登場したりすることもあるかもしれないだけに、MWCでの各社の展示には期待が持たれるところだ。

そしてもう1つ注目すべきは、2月9日より実施される平昌冬季五輪である。なぜスポーツイベントである平昌五輪に注目すべきなのかというと、その開催国である韓国が、日本同様5Gの早期展開に最も力を入れている国の1つだからだ。

しかもスマートフォン世界最大手のサムスン電子が、五輪の最高位スポンサーとなっているほか、韓国大手キャリアのKTも、平昌五輪のスポンサー顔を連ねている。そして両社は平昌五輪に向け5Gの試験サービスを実施するとの報道がなされており、平昌五輪に合わせて韓国で5Gに関する展示やアピールが積極的に実施されると考えられるのだ。

仕様策定に目途が立った今後、世界的に5Gに対する機運は高まってくるものと考えられるが、その前哨戦として2月に実施される2つのイベントには、大きな注目が集まることとなりそうだ。2020年の商用サービス化を占う上でも、今年は5Gから目が離せない年になるだろう。