1月、たった10分でやれる「年間25万円節約法」
毎日やらなくてもいい。ちょっと貯めておいたレシートを10分も眺めれば、おカネが貯まる人になれる(写真 : CORA / PIXTA)
前回、家計簿アプリとキャッシュレス化でほぼ自動的におカネを貯める「年間25万円節約法」を考えました。しかし、「やっぱり現金だからこそ節制しやすい、管理しやすい」という人もいるでしょう。そこで、今回は現金派の人が手間をかけずに家計管理を行うための方法を考えていきます。前回も言いましたが、年末年始は家計を見直すのに最適なタイミング。簡単なので、ぜひこの1月に実行してみてください。
「電子決済」をすると、「2割増し」で浪費しがち?
おカネを貯めるうえで、カードや電子マネーなどには目もくれない「現金派」が多いのはなぜでしょうか。
「カードを使うと、おカネを使った実感が得られない」と話す人は少なくありません。
実際、電子決済は現金に比べて消費が増え、「浪費しがち」になりかねないことを示すデータは昔から多くあります。いろいろな方が言っていますが、たとえば精神科医のデビッド・クルーガー氏の『「おカネ」のシークレット』(三笠書房)などでも、「クレジットカードを使うことで、支出が23%以上増加した」という実験結果が紹介されています。以前参加したECサイトの電子決済勉強会でも、偶然ですが、「オンライン決済サービスを導入することで、客単価が23%増加した」という内容が紹介されていました。便利に支払いができると、平均的に2割程度消費が増えてしまう傾向は、確かにあるようです。
一方で、2017年にJCBが行った「キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2017」によると、キャッシュレス派のほうが、むしろおカネが貯められるというデータもあるのです。1年間の貯蓄実績は、キャッシュレス派が平均52万円で、現金派は平均31万円という結果でした。「カード会社の調査だからこういう数字結果になる」、ということではないと思います。
いろいろな方とおカネの話をしていると、おカネの使い方が上手になるには、いくつかのステップがあると感じています。おカネの情報に敏感で、かつ浪費をうまく抑えられる人は、むしろ徹底的にキャッシュレス化をしていて、JCBの調査結果にうなずけるところもあります。
一方で、おカネとの付き合いを苦手だと思っている人は、確かにカードだとおカネを使いすぎてしまうようで、2割増しになるかもしれないという情報にも信憑性を感じます。
では、本当に貯まるのはどちらなのでしょうか。いくつかのステップがあると書きましたが、私は、最終的には「現金でもカードでも消費行動が変わらない」ことを目指していきたいと考えていますが、おカネの管理に苦手意識がある人は、まずは現金でトレーニングを積むという選択もありそうです。
現金派はレシートを味方につけて分析する
さて、では、現金でトレーニングを積むとして、具体的にはどんなことをすれば、おカネは貯まるでしょうか。
前回の記事では、「家計簿アプリを使うと、キャッシュレス化できて管理もしやすい」とお伝えしました。現金派でも、もちろん家計簿アプリで記録することも有効ですが、アナログ的に「レシートを徹底的に使いこなす」ということでも家計分析が可能です。
まず、試していただきたいのは、「とにかくレシートを捨てない」というシンプルなルールです。レシートを捨てないだけで、捨てていた頃より、うんとおカネに意識が向くようになります。そのうえで、以下の3つの点に注意をしてみてください。
(1)まずは「物理的な量」で自分の消費を感じる
最初は、ためたレシートは、ただ専用の箱やクリアファイルなどにストックしていくだけで大丈夫です。毎晩家に帰ったら、あるいは週末にまとめてレシートを取り出してよけるだけで大丈夫です。
お財布に入れたままだと、お札とレシートの見分けがつかなくなりますし、ぱんぱんになったお財布を見ると、ついレシートを捨てたくなってしまうため、箱かクリアファイルを用意したほうがいいでしょう。
レシートを捨てずにためてみると、その量が膨大なことに気がつきます。たまったレシートのカサや、長さから、「自分はこんなにも消費をしているのだな」と実感できます。
これだけでも、レシートを捨てていた頃から比べると、大きく一歩前進です。
(2)「買う必要がなかったもの」の金額を、集計してみる
さて、次に、時間にほんの少しだけ余裕ができ、ちょっと分析できそうなタイミングがあれば、1週間分のレシートだけを取り出して計算してみます。1カ月だと購入した時の気持ちを思い出せませんが、1週間分くらいなら思い出の振り返りのような楽しさも感じられます。集計をする際は、すべての項目を書き出して集計してもいいですが、手軽でお勧めなのが、「不要だったと感じた支出の合計金額だけ計算してみる方法」です。
具体的には、レシートを見ながら、購入した時の場面を思い出し、不要なものには蛍光ペンをひき、それらを合計するのです。1週間で、要らなかったと思う買い物が5000円以上あれば、1カ月で2万円、年間で24万円も浪費していることになります。意識をしなければ気になりませんが、このように、「1年での浪費額」を出してみると結構気になって、お財布の紐が固くなる効果が得られます。前回とはアプローチの方法は違いますが、年間でほぼ25万円を貯めることが十分可能です。
また、マーカーを引いていると、ついおカネを使ってしまうシーンはこういうところなのかと、「自分のクセ」を発見できることも多いのです。
気が向いたときだけでOK
(3)気が向いたときだけレシートを集計する
(2)のように1週間単位で時間がとれなくても、気が向いた時に集計するというように、ルールを緩める方法もあります。レシートをためておきさえすれば、分析はいつだってできると考えれば気軽ですね。食費、被服費、交際費、スキルアップ費、日用品くらいに支出項目を分けてみて、エクセルに金額を打ち込んで、集計してみます。店舗単位で集計し、自分がよく使っているお店を見つけ出すのも、傾向がわかってとても面白いです。
実は、先日、この手法を用いて、レシートを1カ月分まとめてエクセルに記帳し、集計することを試した人が、「1回打ち込んだだけで、どこでどう使っているか、『振り返り』ができた。入力と振り返りを含めて10分しかかからなかった」と驚いていました。エクセルを使い慣れている人にとっては、むしろラクな方法と言えます。エクセルを使い慣れていない人は、気が向いた時だけ計算機をたたいてノートにまとめるのでもいいですね。
このように、気が向いたときでいいので、ためたレシートを集計して、何にいくらくらい使っているのかを確認するだけでも、家計の現状を把握することができるのです。「毎日記録して確認する」ことは大変でも、気が向いたときに集計するだけであれば、手軽ですよね。
「キャッシュレスでも現金でも、消費行動が変わらない」のが理想的ですが、なんとなくおカネを使いたくなってしまうタイプの人が、そのままの状態でキャッシュレスに進むのは危うい側面もあります。まずはレシートを徹底的に味方につけて、自分のおカネの使い方を把握することからスタートするのもよいはずです。