定年後の生き方に迷ったら「子どもの頃の自分」がヒントになる

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定年退職後に、何をすればいいか、何を張り合いにして生きればいいかがわからない、という人は少なくない。そんな時、「子どもの頃、好きだったこと」や「なりたかったもの」を思い出すと、展望が開けるかもしれない。(ビジネス書作家 楠木 新)

過去の自分も友達

「人生100年時代」ということが普通に語られるようになった現在では、会社員の役割をこなすだけでことが足りる時代ではなくなった。定型的な一つのモデルだけで生涯を設計することはもはや不可能である。

 60歳の定年退職者がいつまで生きるかという平均余命で見ると、男性は85歳前まで、女性は90歳近くまでになる。定年後も男性で25年、女性だと30年近くの寿命がある。

 もちろんこれは素晴らしいことであって、歴史上もかつてなかったことだ。ただ寿命の延びがあまりにも急激だったので、それに対する働き方、生き方が追いついていない。そのため立ち往生してしまう人もいるということだ。1万メートルのトラック競技だと思って走っていたら、途中でマラソンに変更されたみたいなものだ。

 新進気鋭の落語家である笑福亭たまさんの噺で「マイセルブス」という新作落語がある。介護状態になった80歳の自分の臨終のときに、40歳のホームレス、50歳のロックミュージシャン、60歳のマフィアのボスなどの過去の自分たちが一堂に会してにぎやかに語り合うという噺だ。この主人公はいろいろな立場や職業を経験した過去の自分たちに囲まれている。

 長くなった寿命に対応するには、自分一人だけではなく、ともに暮らしてきた家族、地域の仲間や学生時代の友人と協力することも必要だろう。私はそれに加えて、過去の自分とも肩を組みながら進むことが大切だと考えている。

 核家族になり、地域の人間関係も薄れているなかで定年後を乗り切るには、過去の自分にも手助けを求めることが一つのポイントになる。

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