iPhone、iPadは10周年明けの2018年は、どこに向かい、どう進化していくのか

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2017年はiPhone、iPadにとって大きな節目となる一年でした。
記憶に新しいところで、トレードマークと言えるホームボタンを廃したiPhone Xの登場は予想されていたとはいえ衝撃的でした。

iPhoneは、登場から10年という節目となる2017年を終え、
2018年の今年は、どのような進化をしていくのでしょうか。

○iOSはiPhoneとiPadで別モノになっていく?
2017年にリリースされたiPhone、iPad向けのオペレーションソフトウェアの「iOS 11」

これまでにもiPhoneとiPadでは、その画面の大きさの違いからiPadだけでしか利用できない「Split View」という、アプリの2画面表示が提供されていました。
iOS 11ではiPhoneとiPadで大きくUIに変更が加えられています。


macOSのように、アプリケーション起動中に別アプリを呼び出せるDock


iPad向けのiOS 11では、同社の「MacBook」などに搭載されているmacOSのように「Dock」が表示、利用できるようになりました。
「Dock」とは、画面下部によく使うアプリを並べ、呼び出すことができる機能です。

Split Viewとあわせ、パソコンのように広い画面で複数のアプリを表示し、切り替えて利用できるように変わっています。


まるでPC向けのソフトウェアのように多機能なアプリも登場



また、iPad ProとApple Pencilの組み合わせは2015年に登場して以降クリエイターから高い評価を得ています。
2017年にはiPadの広い画面を活かし、PC向けソフトウェアと遜色ないUIで利用できるアプリまで登場しています。


スマートキーボードとの組み合わせでよりPCに近づく


また、iPad Proには、周辺機器として「スマートキーボード」があります。
スマートキーボードを組み合わせることで、まるでPCのように文字入力できるようになりました。

これまでもBluetooth接続のキーボードで同様のことができたわけですが、ソフトウェア側でもパソコンライクな操作性に対応してきたことで、スマートキーボードと一体化したiPad Proは「パソコンの代わり」となるデバイスに近づいたのです。

今までのiPadはiPhoneと比べ
・画面が大きい
・大きく広い分、コンテンツの視聴に向いている
・書類なども見やすい
というメリットしかなかったわけですが、2017年は「ポストPC」のポジションを狙うガジェットに進化したのです。

一方、他社をみても、スマートフォンに専用アダプタを取り付け外部モニタと接続することでパソコンライクな操作感を実現する機種が2017年には登場してきてはいます。

Appleの今後は
・iPhoneはスマートフォンとして成熟させる
・薄型ノートPCの代わりに持ち歩かれるiPadをパソコンに近づける
という、ハッキリとしたビジョンを、2017年に示したとも言えそうです。

○iPhoneはどのように進化していくのか
そしてiPad以上に気になるのがiPhoneの進化です。

冒頭にも書いたように、ホームボタンを廃したiPhone Xの登場は「10周年記念モデル」以上に「次の10年間をどうしていくのか」を推測したくなる、非常に面白い試みと言えるからです。


今までと大きくスタイルを変えたiPhone X


実際、発売日にiPhone Xを購入し二ヶ月ほど使った筆者の感想も、iPhone Xは「より自然に使えるスマートフォン」になったと感じています。

例えとして、レースゲームをやっている最中に左に曲がりたくて身体が左に傾いてしまうような感覚に似ています。
ジェスチャー操作に慣れてくると、実際に設けられたボタンを押す、画面上のボタンに指を伸ばすより、本をめくるように左右に指を動かすことのほうが「戻る」「進む」といった動作として自然だからです。

もちろん、それ以外にもアプリの切り替えを行う操作など、今までと違う操作感に戸惑うことはありましたが、操作に慣れてくるにつれて、全てが自然な操作に感じられます。


一週間以上の天気をサジェストされても見やすくなったiPhone Xのディスプレイ


iPhone Xで縦に広くなったディスプレイは、Webサイトやメールなどの一画面あたりの情報量が増えるというメリットがあります。
しかし、それ以上に「Siri」で何かを調べたり、音声操作の結果をサジェストしたりする際に見やすく、快適になっています。

今までのiPhoneは「直感的」と評されてきました。
iPhone Xでは、自然に使えるスマートフォンに進化しようとしているようです。

音声アシスタントとして歴史の長いSiriを活かしたパーソナルアシスタントとしてのスマートフォンをより強く打ち出していくのではないかと考えています。

最近のAppleは、以前のようにトレンドを作るより、他社製品のメリットを取り入れて利便性を高めるようになっています。

しかし、進化の節目を過ぎた2018年の今年は、
iPhoneとiPadにとって、大きな進化を見せてくれると期待しています。


迎 悟