【元川悦子の日本代表にこの選手を呼べ!】未来の日本を担う188僂梁膩DF。ベルギー移籍の動向次第でロシア滑り込みも? 冨安健洋

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「世界的に有名な選手になりたいですし、もちろんA代表に行って中心としてやりたい気持ちもあります。そのためにも海外にはできるだけ早く行きたい。しっかりステップを踏んで上のレベルに上がっていきたいです」

▽昨年5月のU-20ワールドカップ(韓国)直前、近未来の日本代表を担うと目される188僂梁膩織札鵐拭璽丱奪・冨安健洋(当時福岡、現シントトロイデン)は大いなる野心を口にしていた。

▽当時18歳の彼はU-20日本代表の主力として韓国に赴き、中山雄太(柏)とともに最終ラインを力強く統率。ベスト16入りの原動力となった。しかし、日本はラウンド16で最終的に準優勝するベネズエラに延長の末、0-1で敗れてしまう。悔しいことにその失点に絡んだ冨安は「苦い経験を忘れることなく今後に生かさないといけない」と自らに言い聞かせ、自己研鑽に励み続けた。

▽その努力は昨季のアビスパ福岡でのJ2・35試合出場という目覚ましい働きにつながったが、第1目標だったJ1昇格は果たせなかった。それでも個人として前々から希望していた海外移籍の道は開けた。彼は今月からベルギー1部のシントトロイデンへ赴くことが決定。フィジカル色の強い異国のリーグで、より一層の高みを目指せる状況になったのだ。

▽かつて吉田麻也(サウサンプトン)がオランダ1部のVVVフェンロで欧州での一歩を踏み出し、2012年ロンドン五輪での活躍を機にイングランド・プレミアリーグへステップアップしたように、高さの部分で外国人選手に引けを取らない冨安には10歳年上の先輩と同じようなキャリアを積み重ねられる可能性がある。現時点ではスピードや強さなど足りない部分は少なくないが、鋭い戦術眼、冷静沈着な1つ1つの対応、メンタル的な落ち着きといった強みがある。こうした長所は19歳時点の吉田を上回っているかもしれない。

▽非凡な能力の一端は、2016年リオデジャネイロ五輪直前のU-23ブラジル代表とのテストマッチでも如実に表れた。出場時間は25分足らずだったが、ネイマール(PSG)やガブリエル・ジェズス(マンチェスターC)らを擁する攻撃陣に物怖じすることなく真っ向からぶつかり、攻守両面で持ち味を出したことで、評価を一気に上げた。ベルギーにはネイマールのような爆発的な速さ、ジェズスのようなパワフルさを備えた選手が少なくないだけに、そういう面々と常日頃から対峙してスピードや当たりの強さに慣れていけば、早い時期にA代表でプレーできるメドが立つこともあり得るのだ。

▽今のヴァイッド・ハリルホジッチ監督率いる日本代表センターバック陣を見ると、吉田を筆頭に、昨年後半から存在感を高めている槙野智章(ケルン)、2014年ブラジルワールドカップ経験者の森重真人(FC東京)、2018年ロシアワールドカップ最終予選終盤に出ていた昌子源(鹿島)、昨年12月の東アジアカップ(E-1選手権)でAマッチデビューを飾った植田直通(鹿島)、三浦弦太(G大阪)らがロシア行きの候補者。けれども、吉田と槙野以外は不安要素が少なくない。森重はケガで昨シーズンの大半を棒に振り、残る半年間でどこまで本来のパフォーマンスを取り戻せるか分からないし、昌子もE-1選手権・韓国戦で評価を大きく落とす結果となった。植田と三浦は代表経験値が乏しく、ワールドカップで戦えるかどうかは全くの未知数。そういう意味では、冨安とほとんど条件的には変わらないことになる。

▽仮に冨安が新天地・シントトロイデンで瞬く間にセンターバックの定位置を確保し、ある程度の仕事ができることを実証すれば、ハリルホジッチ監督も一気に若武者の抜擢に踏み切るのではないだろうか。指揮官は1〜2月は日本に戻らず、欧州視察に回るというから、そこで冨安が琴線に触れれば、サプライズ選出も起こり得るのだ。

▽近未来の日本サッカー界を考えても、吉田の後継者たる存在をそろそろ作っておく必要がある。「日本はセンターバックの人材不足が大きな問題。そこを何とかしないといけない」と吉田も常日頃から危機感を口にしているほどだ。188僂猟洪箸噺さを誇る冨安が風穴を開けてくれれば、今後に光が見えてくる。むしろ、そうなってもらわなければ困ると言っても過言ではない。

「ベルギーに行ってから、守備の駆け引きの部分など積極的に仕掛けるディフェンスで、ボールが入る前にどれだけ優位に立てるかを意識したい。吸収と改善を繰り返しながらしっかりと成長し、まずは試合に出られるように頑張りたい」と本人も欧州挑戦に向けて強い意気込みを口にした。その言葉通り、屈強なフィジカル誇る外国人FWと互角に渡り合う駆け引きや攻撃的守備を短期間で身に着けてくれれば、ロシアに手が届くかもしれない。日本中に驚きを与えるような急成長を19歳の大型DFには大いに期待したいものだ。【元川悦子】長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。