産休から復帰しましたが、努力の方向性がわからなくなりつつあります(写真 : プラナ / PIXTA)

→安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

以前、長期の育休明けの職場復帰についてアドバイスをいただいた原と申します。その節はありがとうございました。
その後、何とか無事に職場復帰を果たし、今はまた公務員として仕事をさせていただいています。
ここから、今回の相談です。実は、4年近くのブランクの間に組織の人員削減がかなり進んでしまい、自分でもできると思える仕事がほとんどなくなってしまいました。これは長期の休暇という非常に贅沢な権利を行使した結果なので誰も責めることはできません。すべては私の責任です。
復帰して2年になります。一時は長時間の残業と残った時間をすべて独学につぎこんで挽回しようとしましたが、かえって体調を崩し、今は比較的負担の軽い仕事をさせてもらっています。
正直、来年も同じ組織にいられる自信がありません。にもかかわらず、挽回の努力をする余力もありません。4年の育休の間にコミュニケーション能力も落ちていると思います。
努力の方向性がわからなくなりつつあります。安井様は以前の相談で、小さい子どものいる女性を採用されていたと書かれていました。そのなかで仕事を続けている女性にはどのような特徴がありましたか。それがコミュニケーション能力のようなものの場合、自分で何とかできるものなのでしょうか。よろしくお願いいたします。
公務員 原(仮名)

落ちているのは仕事に対する自信だけ


この連載の記事一覧はこちら

育児休暇明けに復帰されたのですね。まずはおめでとうございます。育児に仕事にと非常に大変な日々を送られているかと心中を察します。

さて、4年間の育児休暇を経て復帰をされたものの、コミュニケーション能力が落ちているのでは、ということを不安に思われているようですが、落ちているのは仕事に対する自信だけでしょう。

普段のコミュニケーションに問題ない人が仕事におけるコミュニケーションに悩まれるケースの大半がこの仕事に対する自信のなさに起因します。

コミュニケーションとはご存じのとおり、会話のキャッチボールであり、双方が相手に自分の伝えたいことを伝達し、または相手の言いたいことを聞くという行為から成り立っています。

そのような中、こと仕事にかかわるコミュニケーションにおいては自分の言いたいこと、つまり業務の内容などに関して自信がないとなかなかコミュニケーションへの第一歩が踏み出せないということが起きます。

また、相手にうまく自分の言いたいことが伝わらない、相手の言うことをよく理解できない、ということも起こりえます。

前者についても後者についても共通しているのは、仕事(業務)にかかわる自信や理解度のレベルの違いです。

なぜならば、仕事におけるコミュニケーションの前提と言いますか、内容の大半は当然ながら仕事に関する話であり、そこがベースとなって会話が構築されていくからです。

したがって、そのベースとなる業務内容などに自信がないと円滑なコミュニケーションが取れなかったり、会話への一歩を踏み出せない、ということになります。

自信のなさは2つの要素から構成されている

そしてこの自信のなさはおそらく2つの要素から構成されています。

知識や経験不足による自信のなさと、完璧である自分を求めすぎるがゆえに間違えることに臆病になってしまうことからくる自信のなさです。

原さんの場合はおそらく後者の要素のほうが強いのでしょう。

育児に仕事に、すべてをいきなり完璧に回そうとする必要はありません。おそらく現在は原さんにとっては、自分のペースで一歩一歩着実にできることを増やしつつ、仕事に対する、いや、自分自身に対する自信を取り戻していくことに注力するべきフェーズなのです。

誤解を恐れずに言えば、4年間のブランクは非常に長いブランクです。であるがゆえに、育児もこなしつつ「たったの」2年間ですべて完璧に持っていこうとせず、完璧にできない自分を責めるのではなく、目の前のことを着実にこなしつつ、できることをどんどん増やしていき、結果として育児休暇以前の自分を超えるような、そういったことに注力するべきでしょう。

その際に2年とか3年とか、年数で考える必要はありません。

大事なことは最後に、それがいつであれ、以前の自分が持っていた自信を取り戻すことです。

簡単に言えることではないのは重々承知のうえですが、そう考えますと、もう少しリラックスして、より長期的な視点でもってご自身のゴールを定めてみてはいかがでしょうか。

そうすれば必ず、現在悩まれている仕事上のコミュニケーションに関しても自然に自信を持ってこなせるようになるはずです。

ご存じのとおり、育児も仕事も長期戦です。であるからこそ、両者ともに短期的に結果が出なかったとしても、短期的にはダメだと思ったとしても、大切なことは長期にわたって継続することです。

そして両者ともに1人でこなす作業ではなく、相手のいる話です。仕事におけるコミュニケーションも会話のキャッチボールの相手が必ずいるはずです。

そのような関係において、私たち個々人がすべきことは、自分自身を見失わずに、自分への自信を持ち続ける努力をすることでしょう。

育児と仕事を両立している人たちは…

ちなみに私の周りにいらっしゃる育児と仕事を両立されている人たちの特徴は、一概には言えませんが、おそらく時間軸の設定、目標設定、そして気持ちの切り替えがうまい人が多いのではと思っています。

すべてを今すぐ完璧にできないという前提を持ちつつも、完璧な状態をいつか達成するためにご自身たちのペースで頑張っていらっしゃるのではと思います。

育児にも仕事にもこれといった模範解答がないがゆえに、そういったスタイルが私も正解だと思います。

原さんは努力の方向性が見えなくなってきていると書かれていますが、方向性が問題なのではなく、時間軸と目標の設定が問題なのでしょう。

育児休暇前の自分をスタート地点として考えるのではなく、現在の自分をスタート地点として、過去の完璧な自分像をあまり過度に現在の自分に押し付けないようにしましょう。そうでないと、持てる自信も持てませんよ。大丈夫。一歩一歩前に進んでいれば、必ず以前の自分と以前の自信を取り戻せます。

原さんの今後のご活躍を応援しております。