健康増進法の改正で「加熱タバコ」も規制の対象の見通し(depositphotos.com)

写真拡大

 最年少プロが大活躍し、引退したレジェンドが大ブレイクし、とどめに史上初の「永世七冠」が達成されるなど、列島中が「将棋」の明るい話題で盛り上がった2017年――。

 そんな棋界の朗報を尻目に、喫煙者たちはますます肩身を狭くし、減るいっぽうの憩いの場を探し求め、少しでも煙に巻くよう「加熱式タバコ」への転向組も増えた一年であったろう。

 今日の趨勢下では、とかく煙たがれる存在に追い込まれた「紙巻きタバコ」に比べれば、加熱式タバコの一服は、ある種「亡命先での(つかのまの)安堵感」みたいなものなのかもしれない。

 敢えて(つかのまの)と付け加えたのは、この「亡命先」の存在自体が、最近、脅かされつつあり、来年はいよいよ「王手!」に追い込まれても不思議ではない形勢が読み取れるからだ。

 人気上昇中の加熱式タバコの近未来に関して曰く――5年かけて「段階的増税」の方針、紙巻きタバコの「70〜90%程度に引き上げ」検討、各社で「値上げ判断に差が生じる」可能性も......。

 そして師走のとどめ的話題が、国立がんセンターと厚生労働省がそれぞれに相次いで公表した「電子タバコ」に関しての非推奨説と改正案だろう。いずれも「2018年の王手」必至をうかがわせて余りある見解である。

<加熱式禁煙術>は否定された

 電子タバコを「禁煙への通過点」として本気で捉えている喫煙層が、いったいどれくらいいるのか、その数字は知りようがない。それを言い訳代わりに、例の蒸気をプカプカとまき散らしている人はたくさんいるだろうが。

 しかし、国立がんセンターなどの研究チームが今回発表した調査結果は、その効能(力)を論破するに足る数値を示している。注目の調査は2015年1〜2月の期間中、インターネットを通じて男女798人(20〜69歳)を対象に行なわれ、被験者はいずれも「過去5年間に禁煙に取り組んだ」層に限られた。

 禁煙外来を訪れたり、禁煙補助剤を使用したり、それこそ「通過点」としての電子タバコで試みたり、各自が「どの方法を採用したか」、その「結果は成功か・失敗か」を尋ねた。

 比較に際しては、喫煙開始年齢や婚姻状況などの個別的影響を差し引いて計算。集計の結果、電子タバコを使って禁煙を試みた人の数は153名、そのうち「成功者」は39名だった。

 そして「電子タバコ成就派」とでも呼ぶべき彼らの成功率を、その手段を使わない人々の成功率と較べてみたら「37%低い」との惨敗ぶりが読み取れたのだ。

 また、ニコチンを含まない治療薬の処方(禁煙外来)を受けた禁煙成就層の場合、それを受けていない人々よりも「86%高い」という好結果も認められた。

健康増進法の改正案で「加熱タバコ」も原則禁煙の対象に?

 テレビ番組で「IQOS芸人」の熱烈愛煙トークが起爆剤となって、日本でも大ブレイク中の加熱式タバコ。その支持層は「禁煙(移行)ツール」としての潜在的可能性を称え、一方の否定派は「禁煙意欲の減退」や「愛煙増加」のリスクを危惧するが、今回の公表結果が後者に有利なのはいうまでもない。

 非使用者の禁煙成功率よりも「37%」低かった結果を報じる際も、各メディアは「1/3に低下」や「4割低く」と数値の表現はさまざま。

 ただし、研究班の「断面調査であって限界や制約はある」との前提談を引きつつも、全体の論調は「電子タバコは使わないほうがいい」「電子タバコにおける禁煙の有効性は否定された」と足並みを揃えている。

 そして、12月21日付の各メディアで報じられたのが「加熱タバコも原則禁煙の対象」として、厚生労働省が年明けにも健康増進法の改正案(早ければ今年の通常国会に提出の方針)を検討中との王手ネタである。

 かいつんでいえば、”賊 Τ惺擦任六羇きタバコ同様に「禁煙」、飲食店でも「原則禁煙(基準を満たした分煙用喫煙室を設けた場合は飲食中も喫煙可)」、E絞淕明150平方メートル以下や資本金が一定額以下の店は例外で「喫煙」を認める等々。

 狙いは当然、3年後の東京オリンピック・パラリンピックまでの施行だが、そこはお約束である与党との協議次第。新たな受動喫煙対策の成就に向けては「緩い規制」の着地点もあろうが、電子タバコ愛好派がじわりじわりと追い詰められる新年になることは間違いなさそうだ。
(文=編集部)