デジタル広告の不正行為のおかげで、ブランドセーフティの取り組みはモグラたたきどころではない状況が続いている。

2017年は、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)のマーク・プリチャード氏がブランドセーフティについて訴えたり、アドテクが誤解を招くようなコンテンツに利益をもたらしている実態が明らかになったり、YouTubeでさまざまな広告スキャンダルが起こったりするなど、デジタルメディアバイイングの危機が表面化した1年だった。

そこで、ブランドセーフティの現状を5つのグラフにまとめてみよう。

自らの責任を自覚しているブランド



ブランドセーフティであれ、広告詐欺であれ、データ漏えいであれ、混乱が起きた原因の多くは広告サプライチェーンの複雑さにある。だが、問題のあるコンテンツの近くに広告が表示された場合、誰よりも失うものが大きいのはブランドだ。

米DIGIDAYが行なったブランドのマーケター30人を対象に行った調査で、ブランドセーフティの確保に関してもっとも責任があるのは誰かと尋ねたところ、自分たち(ブランド)と答えた回答者がエージェンシー、ベンダー、またはパブリッシャーと答えた回答者より多かった。さらに、広告詐欺の阻止に取り組んでいるトラストメトリクス(Trust Metrics)のCEO、マーク・ゴールドバーグ氏は、ブランド広告主がブランドセーフティに関する議論を主導すべきだと語っている。彼らが関心をもたなければ、誰も関心をもたなくなるというのがその理由だ。



ブランドのYouTubeからの撤退



2017年3月、米大手通信会社のAT&Tやベライゾン(Verizon)といったブランドがYouTubeから広告を引き上げる出来事があった。きっかけは、テロ活動を助長するような動画の横にブランド広告が表示されていることを暴露したタイムズ・オブ・ロンドン(Times of London)の記事だ。このときに広告を引き上げたブランドの多くは数カ月でYouTubeに戻ってきたが、この一連の出来事によって、ブランドセーフティはエリート好みのバズワードになった。

ブランドセーフティという考え方は数年前から存在していたが、下のGoogleトレンドのグラフをみればわかるように、この言葉が検索された回数がもっとも増えたのは3月だ。



暴力的なコンテンツの拡散



ドラッグ、著作権侵害、セックスなど、広告主が距離を置きたがるようなコンテンツがインターネット上にはたくさんある。広告評価企業のインテグラルアドサイエンス(Integral Ad Science:以下IAS)は、広告主の顧客のために暴力的なコンテンツをブロックしているが、その理由はたいていブランドセーフティだ。

IASでグローバルセールス戦略担当バイスプレジデントを務めるトラビス・ラスク氏によれば、広告主は性的な内容のコンテンツや違法ダウンロードと比べ、暴力的なコンテンツにいつも神経をとがらせるわけではないという。ネット上では、暴力的と分類されるコンテンツの方が、そのほかの微妙な内容のコンテンツより多くみられる。



ブランドセーフティ戦略



2017年11月、動画広告プラットフォームのティーズ(Teads)は、大手ブランドのCMOとバイスプレジデント計100名を対象に、ブランドセーフティに関する調査を行った。その結果、ブランドセーフティに関する懸念がいままでにないほど高まっていると答えた回答者が、全体の80%近くに達した。

この懸念に対応するため、約半数の回答者が、過去1年以内にエージェンシーおよびベンダーとの契約内容を見直したと答えた。また、3分の1の回答者が、サードパーティの広告測定サービスをキャンペーンで活用するケースが増えたと語っている。

「マーケターはいま、お金の使われ方に対するコントロールを強化することに力を入れている」と、調査会社フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のシニアアナリスト、スーザン・バイデル氏は述べている。



プログラマティックの危機



IASによれば、ディスプレイ広告と動画広告では、モバイル向けでもデスクトップ向けでも、直販よりプログラマティックバイイングの方が、ブランドの広告が危険なコンテンツの近くに表示される可能性が高い。直販ではブランドが取引相手を確認できることを考えれば、これは当然の結果だ。これに対し、プログラマティックプラットフォームは、広告を数千ものパブリッシャーに同時に配信するように設計されている。こうしたプラットフォームが取り扱っているロングテールサイトでは、低価格で売られた広告が、質の低いコンテンツやセンセーショナルなコンテンツの横に表示される。



P&Gのプリチャード氏は米DIGIDAYの最近のインタビューで、「ブランドセーフティを担保するためにやるべきことはまだ残っている」と語っていた。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)