韓国時代劇『六龍が飛ぶ』

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テレビ東京では昨年12月14日の朝8時15分から、韓国時代劇『六龍が飛ぶ』の放送(毎週月〜金)が始まっている。

高麗末期から朝鮮王朝へと移り変わる王朝交代期を描く同作は、全65話の大作。朝鮮王朝建国の祖・李成桂(イ・ソンゲ)、その右腕・鄭道伝(チョン・ドジョン)、朝鮮王朝3代王となる李芳遠(イ・バンウォン)などの実在人物と、個性豊かな架空のキャラクターが登場する。

俳優陣も豪華で、ユ・アイン、キム・ミョンミン、シン・セギョンなどが主演しており、韓国では最高視聴率17.3%を記録した。

韓国の時代劇を楽しむうえでオススメなのは、史実の知識を知っておくこと。ドラマでは描かれきれていない歴史背景や人物関係を知ると、作品鑑賞にぐっと深みが増すからだ。

特に『六龍が飛ぶ』には、史実の人物と架空の人物が登場するだけに、歴史人物の実像を知っておくと、違いと共通点を楽しむこともできる。

ハングルを作った偉大な王の父親

まず、本作でユ・アインが演じているイ・バンウォンは、朝鮮王朝第3代王・太宗(テジョン)だ。

朝鮮王朝時代の最も優れた王とされている第4代王・世宗(セジョン)の父親に当たる人物。ハングルの創製者としても知られている世宗は現代の韓国でも尊敬されている王で、1万ウォン札の肖像画にもなっている。

そんな世宗の父イ・バンウォンも、数多くの韓国時代劇に登場してきた有名人物で、権力を得るために手段を選ばない野心家というキャラクターで描かれることが多かった。

史実においても、イ・バンウォンは野心家といえるだろう。イ・ソンゲの五男として生まれた彼は、父とともに高麗の旧勢力を倒す大きな役割を果たしている。しかし、彼が王位継承者として指名されることはなかった。

10人以上の側室を抱えた野心家

その不満は「王子の乱」(1398年)として爆発しており、イ・バンウォンは王位継承者であった異母兄弟を殺害している。

そして兄(第2代王・定宗)を王位につけた後、自らが第3代王となった。手段を選ばない強引さはあるものの、王位を継承したあとは国の基盤強化に尽力しており、朝鮮王朝の基盤を築いた人物とも評されている。

またイ・バンウォンは、10人以上の側室を多く抱えた人物という記録も残っている。歴代王のなかでも最多タイという人数だけに、彼の人間性がうかがえるエピソードだろう。

(参考記事:王と女性たちの“夜の営み”は国家の存亡を懸けた真剣勝負…驚きの真実と秘話

そんなイ・バンウォンの気性の激しさは、父親譲りだろう。彼の父で朝鮮王朝の始祖であるイ・ソンゲは、クーデターによって新たな王朝を切り開いた武人だ。

イ・ソンゲは晩年に苦悩

もともと高麗の武臣であったイ・ソンゲは、1388年にクーデター「威化島(ウィファド)回軍」を起こして、時の王を王座から引きずりおろして実権を握っている。

そして1392年に自ら王位につき、朝鮮王朝の初代王・太祖(テジョ)となった。

イ・ソンゲの晩年は、王位継承権をめぐる血なまぐさい争いによって、苦痛を味わったという。

朝鮮王朝時代の王は、非常に過酷な日々を過ごしていたとされるが、イ・ソンゲの苦悩はそれ以上だったのかもしれない。

いずれにしても、500年を超えて続く朝鮮王朝の建国期を描いた時代劇が『六龍が飛ぶ』という作品なのだ。

ドラマとともに史実を知ってみると新たな発見があるかもしれない。

(文=慎 武宏)